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言うまでもなく政府が邦人2名の命を奪ったわけではない。今回の政府対応についても重箱の隅をつつくような批判をしている政治家や活動家たちを時折見かけるが、その批判が余りにも的外れ過ぎて議論に値しないほどだ。日本政府の人道支援についての声明を故意に歪曲して捉え、邦人2名拘束・殺害を無理矢理にでも肯定しようとしたテロ組織には一片の大義はなく、日本政府も日本人も被害者だ。こういう事件にまで政府批判を絡ませるとはISILの思うつぼだ。邦人が拉致拘束され、遂には殺害されたのだ。この怒りを殺人集団であるISILに向けるのではなく、邦人2名救出に尽力した政府に向け、政権の退陣要求をするデモ参加者はISILにとっては都合の良い存在と化している。本当の平和を願うならばISILに与するようなことは即刻止めて、日本人殺害の実行犯たちに怒りの矛先を向けるべきだ。
ISILは今やシリアやイラクでその勢力を弱めている。アメリカ軍などの空爆でその戦力を激減させており、兵力3万人などと称されてはいるが初期の頃からISIL参加者であるいわば戦闘慣れしたメンバーたちが数多く死亡している。空爆による死亡者は6,500名と推定され、生粋の戦闘員であるいわゆる傭兵たち、つまりは一応は宗教だとかの建前はあったもののISILで一旗揚げようと試みた職業軍人たちが6,000名ほどおり、この6,000名が戦闘ができるだけにタチが悪かったのだが僅か半年で3,000名は空爆などで死亡したようだ。イラク政府軍やシリアの反政府軍やクルド人たちとの戦闘でもたいぶ戦闘員たちを失ったようだが、なにより大きかったのが空爆だ。ISILの戦闘員たちがどんなに蛮勇を誇ろうが、どんなに戦闘経験が豊富であろうが、ミサイルからは逃げられないということだ。
戦力的にも弱っているISILは油田などの資産を奪取することも難しくなり、既存の油田も破壊されて収入源を日々失っている。ところが世界中から集まって来る人生に行き詰ったならず者たちはISILが公開している給与や生活待遇を求める。ISIL初期の構成員たちのような戦力を期待できないものの、クズ人間らしい態度といえばそうなのだが、テロ組織にも好待遇だけは求めてくる世界中のクズ人間たちにISILも困り果てているというのが本当のところだ。焦りに焦ったISILの少しは知恵が働くメンバーはひたすら誘拐・人質ビジネスに躍起になっているが到底誘拐ビジネスではISILの維持費には及ばない。もうどうにもならないところまでISILは追い詰められているが故にISILとの交渉は支離滅裂になるのだ。人質解放交渉をやっているように見せて実はISIL自体も何をやりたいのかが分かってはいないのだ。だからこそISILの行動を分析しているらしき日本人の専門家(?)たちも何も具体的なことが言えない。当たり前のことだ。何がやりたいのか分からない人間が何がやりたいのかを分かる人間はいない。
ISILは日本人を脅す声明を出しているがそれはまったく恐れる必要がない。前述のように何がやりたいのか自分たちでも分かっていない集団なのだ。その時々になにかを発表はするが、その方針どおりに動けるわけでもない。はっきり言ってしまえば、ISILとしては日本人を狙うとは言ったものの、日本人を狙えるのかも今後どうするのかも何も決めていないのだ。馬鹿丸出しな言動ではあるのだが、本物の殺人犯たちなので一応はこちらもその言葉を次の被害を防ぐためにも聞かないわけにもいかないというだけのことだ。
日本人が一番避けるべきは日本がISILのターゲットにされたのだと慌てて右往左往することだ。官邸前のデモなんてもっての他だ。10年以上前に9・11でアルカイダは宣戦布告し、そのテロの対象には日本人も含まれていた。WTCで仕事していたり、旅客機の搭乗者だった日本人がテロの犠牲になっている。日本人はとっくの前からテロ被害者だ。その後どうなったのかといえば、ビン・ラディンは米軍特殊部隊に殺害され、遺体の所在も極秘扱いだ。それがテロ被害国の勝利とは言わないが、ビン・ラディン逃亡中の約10年、テロ組織のメンバーたちはずっと追われる身で悲惨な人生を送っており、日本人を含めた多くのテロ被害者を出した国の人々は平穏な生活を手に入れていた。ISILが何を言おうが、母国イギリスでは売れなかった殺人狂のラッパーが動画で陳腐な脅迫をほざこうが、日本人は真面目に生きているし誰も傷つけないが故に平和に暮らしている。日本人が日々を平穏に暮らしていることが既にテロへの勝利ということだ。いちいちISILの言うことを鵜呑みにして大騒ぎすること、ましてや官邸前でデモなんてことこそがテロが有効かとISILを勘違いさせる危険な行為だ。恐れる姿を見せることがテロが効くと殺人集団ISILを調子づかせる。
これは不適切発言ということで広くは言うべきことではないのだろうが、世界の流れとしてももはやテロとの戦闘はテロ組織の構成員を殲滅することしかないという結論に行き着いている感がある。言葉は極端だが「皆殺し」ということが選択肢としてもっとも禍根を断つことになるのではないか?という議論がそこかしこで起きており、そのボルテージは今や最高潮だという印象がある。当ブログの管理人のように、世界をこれだけ行き来しているとそういう雰囲気には敏感になるものだが、もう世界から「赦し(許し)」が消え去ったなという印象にどうしてもなってしまうのだ。そこに日本も加わったのかもしれない。9・11以降でさえも日本にとってはイスラム過激派のテロが遠い存在ではあったがそれももう終わりだろう。それもこれもISILが始めたことだ。ISILの部隊が攻撃され、爆撃され、殺される映像が日本国内で流れたとして、今後は今までよりも日本人にとっては自業自得に映ることだろう。自分が死ぬときに「ザマーミロ」と思われることは不幸なことだ。死ぬだけでも不幸なのに死ぬことが喜ばれるなんて最悪な人生だ。ISILのメンバーたちは死ぬときまで馬鹿にされ、ザマーミロと思われるのだ。愚かな人生を選んだものだ。