日本でもクリント・イーストウッドの最後の出演作となった「グラン・トリノ」のDVD&ブルーレイが発売された。
映画のストーリー、特に主演の老人(クリント・イーストウッド)の選択には賛否両論ある模様。ミジンコはこの映画自体は素晴らしい傑作だとは思うが、受け入れ難いラストのせいで、これがクリント・イーストウッドの最後の出演作となってしまうことは非常に残念に思う。世界最高の俳優が世界最高の監督でもあるという非常に稀有なケースと同じ時代に映画ファンでいられたことはラッキーだった。
ともかく、今回は作品のレビューではなく、日本での映画「グラン・トリノ」のマーケティングについて。
この映画のDVDかブルーレイでも買おうとオンラインストアを散策していて気になり過ぎる、いやもっと正確に言えば憤慨している件がある。
この作品の説明文の一部にこうある→
「衝撃のラストにイーストウッドの魂が込められた究極のクライムアクション」
どこのサイトの商品説明にもこのコピーが使われている。つまり配給会社と広告代理店と広告会社がこのコピーで行くと決めたってことだろう。
関係各位、誰も作品を観ていないんではないだろうか?
「グラン・トリノ」を観てクライムアクションなんてジャンルだと判断する人間がいるはずがない。劇中に「究極の選択」はあるにはあったが、犯罪ドラマでもなければ、アクションシーンも皆無な作品なのだ。
どこをどう解釈したら「グラン・トリノ」がクライムアクションと判断したのか、この究極のアフォ・コピーを考えだしたヤツに訊きたいくらいだ。
犯罪に対してのクリント・イーストウッドの答えがラストにあるのだが、それがどうして日本で宣伝されるときには「クライム・アクション」になってしまうのか、本当にこういうことを平気でできる人間たちが御大クリント・イーストウッド作品に関わってしまう国内事情が悲劇だ。
こういうテキトーなコピーを付けてしまう奴等ってのは本当はそれほど映画が好きなわけではないということは解る。
作品中でのモン族の女の子とクリント・イーストウッドの触れ合いシーンは映画史に残る名シーン。
なぜにクリント・イーストウッドがここまでアジア人への理解が深いのか正直わからないが、こういう人物が米国にいるというだけでも自分も米国に恩返しをしようという気になる。
アメリカ生まれのアメリカ人で地位も名誉も築いた人物が「グラン・トリノ」や「硫黄島からの手紙」を製作する、そういうところはアメリカの良いところだ。
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