都知事選で共闘した細川護煕元首相と小泉純一郎元首相の2人が、脱原発をめざす一般社団法人「自然エネルギー推進会議」を設立する模様。発起人には小泉、細川両氏の他に哲学者・梅原猛氏や歌舞伎俳優・市川猿之助氏、作家の瀬戸内寂聴氏、赤川次郎氏ら計13人が名を連ねる予定とのこと。また、賛同人には吉永小百合氏ら数十人が参加予定。細川元首相がこの社団法人の代表理事を務める予定。
よくもまぁこれだけの叫ぶだけの面子が集まったものだ。原発事故前も事故後も忙しすぎて小声でしか叫んでおらず(←当社比)、あまり叫ばずに残しておいたエネルギー(体力)を代替エネルギーの研究開発に投じてきた身としては、再生可能エネルギーの現状と先端技術について勉強のべの字もしていないのに脱原発と代替エネルギー開発促進をゴチャ混ぜにして活動するこういった組織にはもはや苦笑いすら出ない。こういう自然エネルギーの普及促進を訴え、同じタイミングでの脱原発を訴えている集団の無責任さというべきか、もっと具体的にいえば「危うさ」を示す例え話を最近思いついたので皆さんにご一読いただきたい。この例え話は今まで当ブログの管理人であるミジンコが散々訴えてきた「そりゃ脱原発をしたいけれどそれではリスクが高過ぎる」ということを子供でも簡単に理解できるはずだ。原発は運用にも廃炉にもリスクがあるというのに、本来の意味での脱原発派であるミジンコがなぜ再三再四に渡って原発推進派ではなく脱原発派や原発即時ゼロ派を批判しているのか分かり易いかと存ずる。
まぁ、掲題のとおりなのだ。暗闇でなにかを探すよりも明るいところで探す方が簡単だ。電気がついていないと真っ暗な部屋があるとする。ミジンコ宅の寝室などはそうだ。そこでシーリングライト、つまり天井などにある部屋全体を照らす照明が点灯しているときにベッドの横のライトをつけておかないとシーリングライトを消したと同時に部屋は真っ暗になり、ベッドの横にある照明の位置さえ分からなくなる。ところがミジンコは望まない訓練の成果もあってか暗闇でも結構夜目が効く、そういう自分への過信もあって先にベッドから離れたところにある壁のパネルにあるスイッチでシーリングライトを消して部屋が真っ暗になってから壁のパネルでは操作できないベッド横のライトを点けようとするのだ。このベッド横のライトは手が触れると点灯するタイプ。ほとんどの場合は部屋が真っ暗であろうともなんの問題もなくベッド横のライトを点けることができる。部屋の家具などの配置が頭に入っているので暗くともそれほどライトをつけることに苦労しない。この行為をこの細川・小泉両氏の自然エネルギー推進会議とやらはオススメしているというわけだ。先に原発を無くしてしまえ!代替エネルギーは誰かがやってくれる!ってやつだ。確かにミジンコの例え話というか実体験として部屋のシーリングライトを消してもベッド横のライトを点けることにほとんど成功する。但し、ミスもする。ライトの近くに置いてあったグラスのことを失念して何度倒したことか。フロアーに置いてあった分厚い雑誌を蹴ってしまい何度痛い思いをしたことか。何度ミジ妻と衝突事故を起こし(こちらだけ違う理由で)死にかけたか。犬たちを踏みやしないかと慎重になりベッドに戻るまでに普段の倍以上の時間がかかったりもする。
暗闇の中、ベッドに戻るくらいならば大した問題は発生しない。それでも最初からベッド横のライトを点けておけばシーリングライトを消してもなんの問題も無く部屋を歩けた。こんな当たり前のこともなかなか順序立ててできないものだ。滅多に失敗しないから何度でもやってしまう。脱原発に関しては1度の失敗が致命的だ。原発に代わるエネルギーがまだ確立されていない時にまだ使える原発を全て廃炉にしてしまうリスクは計り知れない。シーリングライトを消した後にベットの横のライトが点けられないのではなくライトそのものが無い状況をわざわざ作る必要はない。代わりが無いときにはGO!ではなくSTOP!だ。原発に代わるほどのエネルギー源がまだ確保できていないときにわざわざ廃炉技術の研究開発も継続させなければならない原発を放棄するべきではない。
日本では今1基も原発が動いていないのだから大丈夫だという無責任な者がいる。そういう人々は、この記事
「安易に原発即時ゼロを主張してこの貿易赤字を無視する無責任さ」で指摘している貿易赤字については見ようとしていないどころか全く知らない者さえいそうだ。イヤミにしか聞こえないだろうが吉永小百合さんは日本の貿易赤字がここまで深刻なものとなっていることをご存知だろうか?歌舞伎俳優・市川猿之助氏は?作家の瀬戸内寂聴さんは?ご本人たちにはなにを言ってもイヤミにしか聞こえないだろうが素朴な疑問として自然エネルギー推進会議の中核メンバーのお歴々の中に原発が現在稼働していないからこそ発生している燃料輸入による莫大な貿易赤字について考えていないどころか今もって知らない面々がいるような気がしてならない。
史上かつてない莫大な貿易赤字は現実だ。国債発行による国の借金とは別に毎年十数兆円の貿易赤字を何十年も出し続けられるわけがない。企業倒産が続出して脱原発の実現よりも先に日本経済が破綻してしまう。経済を維持する為にはエネルギーは必要であり原発をゼロにする前に先ずは代わりのエネルギーを確保しておくことがそんなに悪い計画だろうか?他になんの照明器具もない状態のときにわざわざシーリングライトを消して「なにも見えないよ~」と文句を言っていたら馬鹿丸出しだ。その馬鹿丸出しなことを原発ゼロを訴えながらも代替エネルギーのことは知らない!誰かがやってくれる!と豪語するハイパー無責任な集団がわざわざ社団法人を設立するというのだ。このままずっと真っ暗なままの生活をしてでもシーリングライトをとにかくぶち壊せー!と言っているようなものだ。先になんらかの明かりを用意しないとお先真っ暗というやつだ。それではまるで国民全員を巻き込んだ無理心中だ。
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