非常に考えさせられる内容だとして既に240万回も再生されている動画。ピザ屋で「おなかが空いているから」と言いピザを貰おうとする青年。全員に断られる。仕掛け人の二人がホームレスの男性に事前にピザをあげてから、その後にピザを1切れくださいと青年がお願いするとホームレスの男性はピザをくれた。
動画ではこれを感動的なものだとしているがそうとは感じなかった。動画作成者は「持てる者は恵んでくれずに持たざる者は恵んでくれた」といった流れに持っていきたいようだが、アメリカ国内のピザ屋でピザをくれとねだってきた者にピザを安易に渡すことは非常にリスクがあり無理というものだ。そんな怪しい人間と関わりを持つことはアメリカ社会では先ず考えられない。本当におなかが空いているからそんなことを言ってくる可能性はほとんどなく、麻薬の売人がなんらかの隠語を混ぜて寄ってきたのかもしれないし、そもそもピザ屋の店内でピザをくれと言ってくる見た目もホームレスとは思えない青年は怪しいなんてもんじゃない。店内で青年の願いを断った客たちの判断は間違ったものとは思えない。残念ながらアメリカ社会では怪しい人間とは関わらないことが安全な生活の大前提としてある。治安の良い日本であろうとも同じことだろう。
対してホームレスの男性の行為は感動的ではあるが元々そのピザはホームレスの男性が苦労して得たものとは言えない。それでも自分の食事を見ず知らずの青年に分け与える行為はなかなかできることではないと思うが、そういう人の良さが彼がホームレスになってしまった遠因ではないかと勘繰ってしまう。だからこそこの動画は考えさせられるのだ。
この動画を作成している青年はイギリスからロスに渡りこういう興味深い動画を数多く作り生計を立てている模様。つまり大人気YouTuberなのだ。確かに考えさせられる動画ではあるがホームレスの男性はこういう動画を作成されていることに同意しているのか疑問ではある。顔にボカしがかかっているものの、ピザ屋の客たちもまるで悪い人たち扱いだがあの状況で妙に積極的な青年にピザを渡すわけがない。考えさせられる内容ではあるが、それはYouTuber、いわゆる興味深い動画を作成しては広告料を稼ぐ人々の在り方も考えさせられる内容でもある。
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