まだ結論を出すにはデータも年数も少なく早計ではあるものの、「取り越し苦労でいいじゃないか」という話。福島で甲状腺がんと確定した子供が57となった。これを福島原発事故により発生した放射線の影響だと断定することはできない。福島の原発事故周辺地域の事故当時の線量は場所によってだいぶ差があったにも関わらず、子供の甲状腺がんの発生率はほぼ同率である為、放射線を受けた影響がイコールして甲状腺がんの発症率とするには無理があるというものだ。そこはデータを冷静に見るべきだ。
子供甲状腺がん発症率は、第1原発周辺で避難などの措置がとられた「13市町村」では0.034%。県中央の「中通り」は0.036%、沿岸部の「浜通り」は0.035%と地域差はほとんどないのだ。詳しくは→
福島の甲状腺がん57人に 県内の全子ども対象調査
上述のように「放射線の影響=甲状腺がん発症率」とは言えないものの、どうにも心配な数値が出てしまっている。甲状腺がんの子供発症率が0.034~0.036%は、いくつかの過去のデータで多少の差異はあるものの100万人に1~2人という子供発症率0.0001~0.0002%と比較すると相当に多い。子供発症率の研究データが数多いために、全国100万人に対して0.2~3人と差はあるものの、極端な比較と捉える向きもあるだろうが全国100万人に0.2人の0.00002%と今の福島の中通り0.036%を比較してしまうと1,800倍もの差となる。全国100万人に対して3人の0.0003%に対してでも120倍の差となる。120倍でも無視するわけにはいかない変化ではないだろうか?なにも無くて自然発症的に120倍も甲状腺がん発症率が上がるとは考え難い。
福島での地域差による子供甲状腺がん発症率にほとんど差がないことにより、そもそも福島原発事故とは因果関係がないとさえ考えられる状況ではあるのだが、原因究明よりも先ずは「子供たちのがんの早期発見」が最優先だと当ブログは考える。原因については後回しでも構わないが、子供たちの体内のがん細胞については1日でも早い発見がその後の根治を考えるに優先するべきことだ。現代の医療ではがんは諦める必要の無い病気だ。重い病ではあるものの、数十年前のように絶望することはまったく無い病気だ。但し、新陳代謝の激しい成長期の子供たちの場合は、その新陳代謝(細胞分裂)の多さと速さにより、がんの進行まで速まってしまう危険がある。それでもがんはもはや人類が戦える相手だ。早期発見、その後の治療で対抗できる病気なのだから、先ずはがんと闘う為の最初の一歩であるがんの発見をしつこいくらい頻繁な検査で対抗することが成長期の子供たちには必要だ。
途中、パーセンテージで恐ろしい数値を出したが、しつこいようだがなぜ120倍から1,800倍などという数値になっているのか、その原因は分からない。もしかしたら原発事故を気にし過ぎている為に、我々大人たちが見落としていることがあるのかもしれない。甲状腺がんという病名で真っ先に思い浮かぶ国はベラルーシだ。彼の地ではチェルノブイリ原発事故の影響と考えて先ず間違いがないであろう若年層の甲状腺がんの多発が実際に起きた。少年、少女たちが成人する前に甲状腺がんと闘い、成人後も転移の恐怖と闘っている歴史がある。ベラルーシの人々の犠牲の上に成り立ったデータとして、甲状腺がんの発症率は原発事故発生時から数えて5年目からグンと上がるというものがある。つまり4年間はそれほど数字が上がらなかったものの、4年を過ぎたところで一気に子供甲状腺がん発症率が上がったのだ。その貴重なデータが今の福島のケースに活かせるのか否かは我々の努力次第だ。福島の5年目に子供甲状腺がん発症率がむしろ下がるなんてことが起きるやもしれない。それならその方が良いに決まっているのだ。予想や懸念が全て杞憂に終わるということでなにも問題がない。
健康診断をしてなにも問題が無かったとしてもそれで損した気持ちになるだろうか?検査費が無駄だったと嘆く大人がいるだろうか?子供たちに使う予算ならば尚更のこと、無駄なんてことはなにもない。確かに1年に1回の検診を1年に4回やろうなんてことになったら、子供たちにとっても面倒臭いことだろう。それでもやるべきだ。どんな原因で甲状腺がん発症率が上がっているのかは分からないものの、上がっていることは確かであり、その上がり方も過去の全国平均と比較すると看過できないほどの急上昇なのだ。この数値が福島原発事故より5年目にあたる年にはもっと上がる可能性も無いとは言い切れない。冒頭で述べたように取り越し苦労で誰も困らないことだ。しつこいくらいに子供たちに検診をさせ、そんな子供たちを思い検診させる保護者たちをまるで極度の心配性のように叩かない社会であるべきだ。どれだけ心配したって損なことなんて無い。がんは早期発見で患者が圧倒的に有利になる。絶対に頻繁に子供たちに検診を受けさせるべきだ。
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