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議員の不正を追及する為には法を犯しても良いのだろうか?答えは否だ。では、議員の不正を追及する為には迷惑行為を行っても良いのであろうか?これも否だ。フジテレビの情報番組はそこを理解していないようだ。
大前提としてマスコミによる私刑は断じて許されない。ただのテレビ局が事件の被疑者や汚職疑惑のかかった議員などを追及するまではまだ百歩譲って報道というものであろうが、仮に最高裁で有罪判決を受けた被告に対してであろうとも、テレビ局が量刑とは別の罰を被告に与えることは絶対に許されない。マスコミは法の番人ではない。ところがマスコミ各社は責めやすい相手には容赦なく私刑を加える。抵抗できない相手、反撃があまりできないであろう相手には徹底的に鞭を振るう。
先に触れておきたい件がある。それほど前のことではない議員自殺の件をまとめたページ↓
ネット炎上した岩手県議の自殺にワイドショー困惑 日テレ「スッキリ」とフジ「とくダネ」の対応(NAVERまとめ)
この件について「スッキリ!」のコメンテイター・宮崎哲弥氏はマスメディアにも問題があったと提起し、同じくコメンテイターのテリー伊藤氏は「自殺するほどの問題じゃない」と自殺した議員の心の弱さを指摘した。フジテレビの「とくダネ」で岩手に赴いて議員への取材を試みていたレポーターは今もレポーターのままだ。このレポーターが今も社会問題についてなどをレポートする姿を見かける。なにが正しく、何が間違っているのかを語るには止められるはずだった人の死は簡単ではなく、自殺者本人にしか分からないことだってあることだろう。現実問題として、被疑者の自殺を恐れて何も追及されない状況もそれはそれで問題が無いとは言えず、何が正しいとは言い切れないことではある。但し、冒頭から述べているように私刑はおかしい。どんな犯罪を取材するにあたっても、マスコミが被疑者に罰を与えるという越権行為は許されない。この自殺した県議はまさに追い詰められていた。確かにこの亡くなった県議の病院内での言動やその後のネットでの対応などは議員として到底許されないことではあったが、死刑どころか軽犯罪法にも触れるかどうかといった微妙なところだった。県議としては不適切であったことは間違いないのだが自殺するほどの重罪だったとは思えない。本当にこれは難しい「線引き」というもので、何が正解かがリアルタイムでは判断できないことではある。ではその「判断できない」ことを判断できないのであるからと開き直って暴走することがおかしい。恐る恐る線を越えないように慎重に進み、考え過ぎも含めて線を越えそうな気配を少しでも感じたら引く、そういう機微を感じられないようではジャーナリスト以前に社会人として欠格があると言わざるを得ない。
もっと具体的に例えたい。いや、もっとストレートにとでも言うべきか。人を自殺にまで追い込んでおいて直前まで気がつかなかっただの、自分が原因のひとつであるという自覚すらないクソッタレな人間は取材なんてするべきではない。連日連夜、何日も何日も取材班と称してチーム体制で一人の人間を追い続け、本人だけではなく家族や友人にまで直接ならびに電話での取材攻勢、被疑者は反省するとか釈明するとか以前に落ち着いて考える余裕すら与えられない。被疑者が罪(があったとして)と向き合う暇すら無くなる。家からも出られない被疑者は追い詰められていき、そのマスコミ包囲網については被害者意識を持つ。つまりマスコミ攻勢のせいで被疑者は自己の犯罪と向き合うこともないまま被害者と化す最悪の結果となる。マスコミは犯罪者を私刑で裁いたつもりかもしれないが、肝心の被疑者はなんの反省も贖罪もないまま、マスコミの横暴を背景に更に守りを固める。本当の犯罪被害者たちは置いてけぼりだ。
昨晩、フジテレビ「Mr. サンデー」にて、あの号泣会見で日本のみならず世界がドンびきした野々村竜太郎元兵庫県議員を追い回す映像を公開していた。日帰り出張などの不正を指摘された県議ではあるが逮捕には至っていない。公金横領疑惑を受けて横領疑惑のあった経費を全額返納しているわけなのだが、それと刑事告発は別なので今後は起訴されるやもしれない。公人の公金横領は返金すればOKという問題ではない。勿論、民間でも同じこと。横領をした時点でそれを後から返金しようが情状面で考慮されるかもしれないが犯罪は犯罪だ。しかしながら、その起訴を判断、処理していくべきは検察であり、断じてマスコミではない。例えば納税者である兵庫県民でさえ、勝手に怒りに任せて野々村議員に制裁を加えるといった行為は絶対に許されない。あくまでも裁判、つまり三審制の中で下った判決に基づいてでしか野々村議員を裁くことはできない。明らかに怪しかろうともそれはあくまでもそういう状況としか言えず、裁判の中でしか事実認定はありえないことだ。ではフジテレビが昨晩放送した内容はどうだろうか?まだ裁判の被告にすらなっていない人物が住むと思われる集合住宅の敷地内に侵入して延々と追跡だ。その時の野々村元議員の言動も冷静なものではなかったが、一応はマスコミとは分かる集団ではあっただろうが、男たち複数名が延々と接近してカメラを向け話しかけてくるのだ。誰だって怖い。野々村議員の叫びや体当たり、そしてつながっているのかも不明な電話など、そりゃおかしな部分は少なくなかったが、もっとおかしいのは建造物侵入とストーカー行為(迷惑行為で条例違反の可能性大)だ。野々村議員ではなくたって、知らない人間たちが住居のある敷地内に侵入して一斉に追いかけてくれば怖いし、できれば逃げたくなる。もしその場で警察が介入していたらどちらが逮捕、拘束されるべきかは言うまでもないことだ。
どう見ても野々村元議員はパニック状態だった。あの記者会見と同じく、そんな状態の野々村元議員とまともなコミュニュケーションが取れるはずはなかった。そんなことはフジの取材班だって百も承知だろう。それでも彼らはその動揺して逃げる野々村元議員の充分な尺のある映像を撮りたかったのだ。あんなものは取材でもなんでもない。精神的に追い詰められている人物を追いかけましている狂気の映像だった。
フジテレビの視聴率が低迷しているというのはよく話題になっている。原因はいくつも挙げられている。よく挙げられているのは韓流ゴリ押しを続けていた件、岡村たかしが「イヤなら見るな」と述べた件、フジテレビ前のデモから更にフジの低迷が加速したといった説、他にも色々とあるが、フジテレビが嫌われている理由のひとつとして取材と称しての下劣で卑しい「人(取材対象者)いじめ」が際立っていることも挙げたい。
当ブログ管理人が忘れられないフジテレビの酷い取材:
こういったフジテレビの取材により視聴者は局自体への嫌悪感を募らせていったのではないだろうか?こういう酷い取材のやり方を視聴者は四六時中覚えているわけではないだろうが、時折、今回の野々村元議員へのやり方などを見ては「ああ、またフジか!」となるのではないだろうか?当ブログの管理人ミジンコはまさにそのパターンだ。「この時間帯、フジテレビしかニュース(大きなニュース、メインとなるニュース)がやっていないんだよなぁ」という時、具体的には日曜22:00や平日23:30からのニュースは他局はもう細かいニュースやスポーツニュースに移行しており、フジテレビ一択となる。その仕方なく見たはずのニュースで海外の震災で足を失った青年への突撃取材だの、母を失った少年の映像だの、精神的にもう正常とは思えない人物の自宅敷地に押し入って追いかけまわす映像だの、それらはニュース映像ではなくてただただわざわざテレビで流すことはないことだ。