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[アテネ 6日 ロイター] - ギリシャの財務次官は6日、ナチス・ドイツによる占領でギリシャが受けた損害に対するドイツの賠償額は2790億ユーロ(3051億7000万ドル)近くに上るとの見方を示した。
チプラス首相は議会委員会を発足させ、先週から賠償請求に向けた作業を進めていた。戦時賠償とナチス・ドイツに強要された融資の返済、歴史遺産の返還を求める方針。
会計監査院(GAO)は、ドイツがギリシャに2787億ユーロの返済義務があると算定。また、占領時の融資は103億ユーロ相当に上るという。
一方、ドイツは1960年に1億1500万ドイツマルクの支払いを行い、ギリシャへの義務を果たしたと繰り返し主張している。
ソース元: ロイター
大雑把に日本円に換算すると約36兆円の賠償請求。当時の価値を今のユーロに換算してこれが妥当なのか否かは意見が分かれることだろうが、ひとつ確実なことがある。ドイツはこれに対応しなければならないということだ。ドイツ、特にメルケル政権は延々となぜか上から目線で日本の戦後賠償問題に幾度も口を出し、遂には日本の最大野党・民主党の岡田代表に利用されて、なんでか従軍慰安婦問題でまでドイツ政府が苦言を呈したことに一時期なっていた。後にドイツ政府はこの岡田発言を否定しているが、そういうつけ込まれ方をされた要因はドイツ政府が常習的に行っていた日本の戦後補償批判がある。特にここ数年のドイツ政府による中国政府へのリップサービスの為の日本批判は聞くに堪えない条約無視の理不尽なものだ。既に戦後賠償を終え、条約まで締結している日本に対して、ポーランドや旧ソ連などドイツに賠償を求められる立場にあった国々の引き際を心得た態度によって賠償を免れていたドイツの自分のことを棚に上げての日本批判には怒り心頭だ。
さて、この約36兆円の賠償請求。勿論の事、今更になって自国の経済が破綻しているが故のゆすりたかりめいたギリシアの態度にも呆れるが、そのゆすりたかりめいたことを散々受けてきた日本に対してドイツは散々っぱら誠実さを要求したのだ。もう賠償が済んだことに対して更に賠償のおかわりを受け入れるべきだとドイツは言っていた。今更、そんなつもりではなかったとは言わせない。ドイツは賠償補償で戦後直後から現代に至るまで天文学的な補償を行ってきた日本に対して誠意を見せろと主張して中国や韓国の機嫌を良くして貿易黒字を図ろうとしてきたのだ。
この2015年では日本の状況よりもドイツの方が賠償義務が生じている。既に賠償金を支払い、条約も締結している日本にはもう賠償金を支払う義務は国際法上存在しない。ところがドイツはそういう賠償実績も条約もギリシアとの間では有していない。つまりギリシアの今更の請求はイメージは良くないとはいえ、実は国家として請求する権利がある賠償補償なのだ。しかも、この約36兆円という請求は余りにも金額が大きく不条理に思えなくもないが、当時のギリシアが受けた損害、つまりナチスドイツに強請られての「返す気もない融資」や「奪われた資産」をかなり正当な資産査定した上での約36兆円なのでドイツはこれに抗弁する為には真っ当な「そんな資産移動は存在しなかった」という証明を示さなければならない。さて、そんな証明をドイツはできるだろうか?現にナチスドイツはギリシアを蹂躙して資産を奪った歴史的事実が存在するのだ。それが無かったとどうドイツは証明するというのか?
歴史事実云々の話があるにしても本来は70年前の戦争の戦後補償、しかも既に賠償が済んでいる件について毎年、毎月、毎日、それを外交問題として蒸し返す方がどうかしているのだ。それでは建設的な外交を否定している。例えば日本とアメリカがいつまで経っても真珠湾攻撃を議題に出し、広島・長崎原爆投下、東京大空襲を持ち出しての応酬があったとしたら今のような経済大国同士の貿易だけではなく平和活動などでの協調路線があっただろうか?過去の忌まわしい歴史を消し去ったり風化しろというつもりはないが、過去にばかり縛られずに前を向かないことには外交は行えない。それが分かっているはずのドイツが延々とユーロ圏の優等生として足を引っ張る国々への対応に苦しんだ末に中国に活路を見い出すというトンデモ行動に出て日本批判だ。こんな理不尽なファウルボール激突もそうはない。そして因果応報というべきか、ドイツがギリシアに賠償請求をされた。日本人はちょっとは笑っていい状況だろう。
ドイツは日本を諭すようなニュアンスで述べていたことを全て自分たちで行うべきだ。ギリシアへの満額賠償になるかどうかは今後の議論の後だろうが、ともかくいつまでも無視は通らない。日本に特定アジア各国への対応を求めたのだから、ドイツもちゃんとギリシアと向き合うべきだ。しかも同じ第2次世界大戦での賠償補償の話なのだ。ドイツもさすがに言い訳のしようがないことだろう。ゆすりたかりというものは被害者になってみると分かることもあるかもしれない。ドイツはそれを学ぶべきだ。日本は70年間それを学んでいる。