昨日、ながら見ではあったが居間のテレビで流れていた日本テレビの「世界一受けたい授業」を見てどうしても記事にしておいた方が助かる人たちもいると思い記事を書く次第。はっきり言って書くのも面倒な上に「そんなこと常識」なことをこれから述べるので気恥ずかしい気もするが、ほとんどの企業の年度初めの4月ということもあり時期的に被害者を増やさない為にもネットで拾える情報としてここに記載しておきたいことができたのだ。
番組ではマナーについての講座が放送されていた。大学教授の方だろうか、最初しっかりと見ていなかったので講師の方の肩書きやお名前も存じ上げないのではあるが、ともかくマナーについての専門家の男性だった。名刺をしまうタイミングについてレクチャーしていたところで唖然とした。名刺を受け取った後にその記載されている氏名などを覚えたら名刺をしまうのがマナーだと教えていたのだ。4月から新社会人となった皆さん、そんなことを鵜呑みにしてはいけない。名刺に記載されていることをその場で覚えたとしても会議、商談、面談、取引先を会っている状況の細かいところはともかく、テーブルの上に置いた(並べた)名刺を途中でしまうなんてことはしない方がいい。きっと後悔する。
当ブログの管理人は名刺をテーブルに並べた面談の席に人生で何回だろうか、1日3件~8件くらいとして、まぁ、数などは把握してはいないが数千どころか万を超えた回数を経験している。それも国内に限らず、多いところではアメリカでも数千件、欧州でも数百回はそういう会議に出席している。どこの地域でも名刺交換のルールは同じだ。そこまでの経験を踏まえて、話の途中で誰かが名刺をしまうなんて光景はついぞ見たことが無い。ナイナイ、断じてない。名刺をしまうタイミングは会議が大筋で終わったと判断したときだ。要は席を立つ直前だ。
実のところ、名刺の内容を記憶したら名刺をしまうというマナーは以前から聞いたことがある。それを頑なに主張している人にも会ったことがある。但し、それを主張していた人はそれを言い張っている時点から考えても十数年は面談が生じるような仕事に従事していなかった。もっと具体的に言ってしまえば個人事業主を廃業した経験を持つ人だった。つまり実体験を基にして語っている人では無かったので、特に訂正する気も起きなかった。いちいち噛みつかれることは面倒なことなのだ。そういう人がそのマナーとやらを信じ込んだところで大してご本人にも周囲にも影響がないが、新卒1年目の若者たちには大問題だ。マナーだなんだとそれを頑なに信じてしまっては危うい。現代社会では名刺の内容を覚えたからといっていきなりしまうのは相手を不愉快にさせるかもしれないし、例えばその面談で両者の上下関係や利害関係が存在した際、要は売り込まれている側が売り込み側が先に名刺をしまうところを見たら、失礼だと思う以前に馬鹿だと思われるかもしれない。名刺の内容を覚えるなんて基本は置いておいて、名刺をしまうことは会議の終了のサインだ。それが今の会議というものだ。つまり、そういうマナーがあるのだとしても現実として名刺をしまえば終了だと浸透しているのだから、それに則して自分の立場に応じて臨機応変に空気を読んで名刺をしまうべきなのだ。
「他人事」と書いて本来は「ひとごと」と読むべきであっても「たにんごと」で浸透してそれが通じるのだから「たにんごと」で良いのだ。名刺をしまうタイミングにしても同じこと。マナーではなるべく早くに名刺の内容を覚えてしまうことが正しいと伝えられていたとしても、現実には名刺を誰かがしまい始め、それに続いて出席者たちが次々に名刺をしまい始めればそこで会議は終了だ。更に言えば、新卒1年目だと重要な会議に出る機会は限られるだろうが、仮に経験の意味も含めてそういう会議に出席したとして、取引先の大切なお客様や上司よりも先に取引先の方々、つまり初対面の方々から頂いた名刺を覚えたからという理由で真っ先にしまい始める新卒社員。取引先は苦笑い。上司は真っ青だろう。
今の時期、ほとんどの企業では新卒社員たちは研修期間だろう。勿論、名刺交換についてもレクチャーを受けるとは思うのだが、昨晩のように全国放送で大々的にあんなトンデモマナーを放送されてはそれを真に受けてしまう悪い意味で吸収の早い新卒社員もいるかもしれないと心配になった。人間の感情で考えれば簡単なことなのだ。話の途中で相手が何かをしまい始めれば、それは終了の合図だと捉えるのが自然だ。そもそも「しまう」を漢字変換すると「仕舞う」や「終う」だ。終わりということだ。そういう行為を会議や商談の席で行うことが場の空気をどういうものにするのかは新卒1年目でも想像がつくことだろう。
ここまで書いてしまうと、新卒社員の方々には今後は「じゃあ、いつ名刺をしまえばいいんだー!」と混乱するやもしれない。最適な答えは場の空気を読めなのだが、それも緊張しっぱなしの1年目には難しいかもしれない。基本は自分が下の立場(何かを買ってもらう方)の場合は取引先の方々が名刺をしまい始めたら、自分が上の立場(何かを買う方)の場合は自分の上司が名刺をしまい始めたら、業務提携など出席企業が全て同列という場合も自分の上司に従う。これを徹底していく内にいつかは自分でも場の空気を読めるようになる。それに大抵の会議では会議終わりの1分から3分くらいはその場の立場が上のおじさん、おばさんたちの雑談で〆るものだ。それが議題とは関係ない話であろうとも単に場を和ませるために出る話だ。新卒1年目の社員たちは面白くなくとも笑っていればいい。その雑談タイムこそが資料や筆記用具やノート型をしまう時間なのだ。名刺もそこでしまえるのだから焦ってしまうことはない。
[30回]
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