小泉進次郎議員に人気があることも行動力があることも承知している。そんな人気議員ならば尚更のこと、変な方向に行って欲しくはないものだ。実のところ当ブログではこの小泉進次郎議員については父親の小泉元総理と同程度か年齢が若い(議員を長くやれる)という意味ではそれよりも警戒している。何も小泉議員をよく当ブログで批判しているような悪党と断じているような腐れ議員たちと同じように嫌悪しているわけではない。素晴らしい資質を持った議員だと見ている。ただし、数々の能力については同議員についての世間の過大評価に怖さを感じている。小泉議員に対して勉強不足というと、その表現にとても違和感を感じる当ブログをご覧の方々も少なからずおられると思われるが、それでも小泉議員の普段の言動や今回取り上げる件について等、本音で言わせてもらうならば年齢相応ですらないような稚拙な言動が目立つが故に記事にしたい。
小泉進次郎氏、大阪都構想での「注目点は、世代別の動き」 シルバー世代の反対多数で「高齢者の意向に左右された」と分析(ライブドアニュース)
記事の構成も悪意はないだろうが小泉議員に不利な感じがするが、ともかく小泉議員がパフォーマンス的にこういう軽はずみな「分析」とやらを披露したので苦言を呈したい。
要は以下のようなグラフを小泉議員も見たのだと思う。
大阪都構想の賛否を問う当開票日に、このキャプ画像とは別の開票途中でのこのようなグラフ画像がネットのそこかしこで貼り付けられ議論されていた。開票途中のグラフとこのグラフの数値はほぼ同じ。それほど差がないのではあるが議論の的となっていたグラフよりも一応は結果が出た後のグラフの方が数値が正確なのでこちらをご覧いただきたい。
小泉議員も議論されておられた方々も皆が皆とまでは言わないが大多数がこのグラフを見て70代以上の投票が他の世代の意向を覆したかのように捉えて議論している。ソース元の小泉議員の弁(記事では分析とある)もそのようだ。
さて、このグラフからそう読み取ることが正しいだろうか?先に答えを言うと「正しくない」だ。情報分析の基礎の基礎。統計学としても基礎の基礎だ。このグラフから70代以上が他の世代の意向を覆して選挙結果に反映させたとする情報は読み取れない。本当なのだ。そんな分析をした情報官がいたら即刻どこの調査機関でもシンクタンクでも投資銀行でも他のありとあらゆる分析官と称する立場の者がいる会社では懲戒処分だ。要は「それは分析ではない。感想だ。」ということ。
一応は当ブログの管理人ミジンコも元々やっていたYahoo!ブログでのIDにミジンコ的なアナリストと付けていたくらいで投資会社の分析官という職責もあり、今も同じような立場ではあるのでなぜにその小泉議員の分析が分析になっていないか簡単に述べたい。報告書でそんなこと言ったらアホ丸出しだぞ、小泉議員!(若干泣けてきた・・・・)
グラフを見れば明らかなのだがどの世代でも半数近く、50代女性などは半数以上が反対票なのだ。要はどの世代でもほぼ僅差と言って差し支えないほど接戦だったのだ。30代40代の男性というまさに働きざかりの男たちは他の世代や性別よりも多くの割合の賛成票を獲得しているのでまるで働きざかりの男性、つまり最も労働力としても納税額としても社会に貢献している層が、こう言っては酷い表現だが敢えて言わせてもらえば後の世代への責任云々知ったことじゃない高齢者たちによって負担を強いられたと見えなくもないグラフだ。ところがそんな働きざかりの男たちからも3割程度の反対票があり、圧倒的多数での賛成とは言いがたい。
更にこういったグラフの全てが%での表示しかしていない。世代ごとの有権者数とそれに伴った投票数まで添えておかないことには情報ソースとしてはほとんど意味をなさない。まぁ、参考程度というグラフだ。開票直後に作成されたグラフの数々なので作成者を責められないが、そんな簡単な情報で議論を重ねてしまう人々、ましてや国会議員がいるということは非常に由々しきことだ。このグラフを見て「高齢者の意向に左右された!」なんて議員がいたら始末に負えないが本当にいたようだ、嗚呼・・・・。高齢者の人口が他の世代の人口の10倍あって更に有効投票数も10倍あってそしてパーセンテージでも反対票が9割なんて状況でその「高齢者の意向で左右された!」と言うのならばまだ理解できるが、このグラフのような情報だけ見て同じことを言っているような政治家は危うい。ただでさえ死票、つまり一票の格差は長年の問題となっているというのにこのグラフからまるで高齢者が圧倒しているかのように読み解くことはまさに分析力の欠如であり直情的過ぎて分析する立場には向いていない。
要は小泉議員のいつものパターンなのだ。世間が喜びそうなことに呼応して自身の人気を維持するというやつだ。ところが今回のようにたまに墓穴を掘る。実は小泉議員の言動を注意深く見ていくとそういう墓穴は少なくないのだが、とにかく叩き辛い好青年なので見逃しがちになる。小泉議員はどういう経緯かは抜きにしても米国のシンクタンクにも在籍していたことがあるのだ。本来は生半可なキャリアではそのシンクタンクには勤められない。だから小泉議員も生半可な人材ではなかったのだろうと思いたいところだが、今回の分析とやらを見るとその資質に大きなクエスチョンマークだ。おかしい。こんな簡単なひっかけ問題のようなことにそのままひっかかる人材が米屈指のシンクタンクにどうやって入ることができたのか・・・・・。勿論、その経緯の推察が小泉議員のご尊父である小泉純一郎元総理とシンクタンクに多大な影響力を持つ米国の人物との関係などからして推察できないことはないが、十中八九の皆さんが同じ思いであろうから今回は脱線しないでその件についてはいちいち書かない。
今、物凄く注目されている橋下市長、当ブログでは猛烈に批判している民主党議員の数々など、良くも悪くも上手さとコスずるさを合わせ持っている。そういった悪くいえば狡賢さというやつは若いときより培ったものであり、単刀直入に言うとそのベクトルは様々とはいえ、多くのコスずるい議員たちは猛烈に勉強をしている(いた)のだ。学歴だけで人を判断することは危険だが、かといって猛烈に勉強してきた人々を否定するのも愚かなことだ。よく言われている「学校の勉強の頭の良さと本当の頭の良さは違う」という言葉は一面では正しいのだが、また別の側面では大きな勘違いだ。学校の勉強だって自然に満点を取れる天才は少ない。むしろちゃんと授業を受けて教科書を丸暗記してこその満点であり、その努力をするという自覚がある生徒はやはり頭が良いのだ。丸暗記が偉いのではなくて丸暗記をする覚悟というものを持てることが凄いということ。そりゃ誰だって勉強しないで遊びたい。
その勉強するということにかけては与野党問わず、相当に励んだであろう議員たちは少なくない。例えば上記のグラフを見て小泉議員のような分析を安易にする議員は特に理系出身の議員には少ないだろう。多少なりとも数値を扱った仕事や学問を修めた者ならば、さすがにこういった情報の少ないデータを基に分析は行わず、勿論のこと結論も出さない。たまにアホ丸出しの議員が目立つことがあるが、あくまでも平均といえば良いだろうか、例えば与党の新人議員の頃からすぐに近い将来の政務官候補に挙がるような議員たちともなると東大・京大の後にハーバードなどのビジネススクールで学んだといった元官僚や企業勤務経験者が少なくない。議員をやらずとも生きていけそうな議員がわざわざ収入減を覚悟して議員になるというケースはある。逆に議席にしがみつかないとただの無職にしかならないようなトンデモ議員たちがどうしても目立ってしまうので税金泥棒というイメージが何十年経っても払拭できないが、あくまで議員の平均でいえば、そりゃもう秀才肌が佃煮にするほどいる。小泉議員はそんな面々の中で自民党の内からも野党からも厳しい目で見られ、足元をすくおうと虎視眈々と狙われている存在だ。言葉を濁さずにいえば、今後は馬鹿じゃやっていけない。見せかけのキレる人物ではなくホンモノにならければならないのだ。今回の浮かれ明後日の方向分析なんてやっている場合じゃない。
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