テレビ東京の「LOVE理論」が面白い。くだらなすぎて面白い。基本、テレビ東京の深夜枠のドラマはかっとばしていることが多いがそのほとんどは闇に埋もれる。みんな知らないやろ!2年ちょっと前に本田翼と大政絢がダブル主演していたドラマの存在を!二人で吸血鬼やっていたんやで!
「LOVE理論」とは元々は書籍で同じ著者が「夢をかなえるゾウ」の著者でもあるということで人の心理についての解説が上手いのだとは思う。但し、恋愛にセロリーなんてものが存在するはずもなく、この本を読んだところで効果のほどは怪しいものだろう。まぁ、読んでいない自分が本の内容を否定することは筋が通っていないとも思う。面白いのはその細かい理論の数々だ。先日、ドラマで上っ面だけの優しさでも通用するという理論には笑った。要は男性が室温の心配やらレストランでのリードの仕方など、誰でもできるような優しさでも女性はそれに悪い気はしないというもの。そりゃそうだ。真の優しさなんてものを発揮する場面は平和な世界ではそうはあるわけもなく、例えば男性が身を挺して女性を守るなんて場面はそうはない。つまり本当に女性のことを親身に思い自己犠牲まで伴った優しさなんて発揮する場面はそうはなく、「寒い?」と心配する(ふりをする)ことでも充分に実践的だという理論・・・・だと解釈したが正直よく分からない(苦笑)
ともかく出てくる理論の数々が総じてネタとしか思えないが凄く考えられていることが面白い。役立たず理論なのに綿密に練られているその無駄さ加減が普段楽しんで観ているB級以下の映画に通じる。本気で作っているにも関わらずなんでかギャグになってしまっている作品は狙って笑いを取ろうとしてぜんぜん面白くもなんともない作品よりも面白いものだ。決して品川監督の「Zアイランド」や関根監督の地底人がどうのこうのという作品(タイトルを思い出す気も検索する気もおきない)のことをディスっているわけではない。一生観ないと思うが。
「LOVE理論」ではあの片岡愛之助さんがイキイキとしている。正直、キャスティングを見て目を疑った。いくらでも出演オファーがあるだろうに、なぜに「LOVE理論」なのかと。むしろ黒歴史になりかねないドラマではないかと思えなくもないのだが、ご本人は本当に楽しそうに演じている。「半沢直樹」のときのおねぇ系の役人よりも今回のキャバクラ店長の方がむしろハマリ役にさえ思えるから役者としての技量の凄さが伺える。そもそもこの謎のキャスティングに興味を持ち番組を見始めたのだが、主演の俳優とヒロイン役の女優の両方も凄かった。今放送されている新作ドラマ、CS放送などを含めてもダントツに知名度の低い二人だろう。二人ともほとんど無名というキャスティングは相当に珍しい。勿論、二人とも業界関係各位では勿論その活動を知っているというレベルではあるので無名というのは失礼かもしれないが、実際、街行く人に顔写真見せて分かる人の確立は1/100以下だろう。
この悪く言えば地味な二人が功を奏している。正直言ってこのブログの場合どんな言葉を書こうが検索でかなり上の方にきてしまうらしく、この俳優両名ご本人たちが読んだから撮影途中であろうドラマに変な影響が出てしまうのではないかと心配なので名前を記載しない。要は「ありのまま」だからこそ良いと思うのだ。
主演の俳優のダメ男感が素晴らしい。本当は二枚目なんだろうがメガネをかけるとかなりヒョロい感じになり主人公としては最適。ヒロインの女優は今でこそ順位が上がったものの、当初は伸び悩んでいたキャバクラ嬢役だ。その順位は11位。まさに11位にピッタリだった!例えば今売れに売れている同世代の女優として
有村架純さんやら木村文乃さんやらがその役だったとして、11位の役には無理がある。控えめに観ても1位。順当に見ても1位だろう。街中に行けばすぐに見つかるような美貌とはちょっと次元が異なる。女優やモデル事務所がスカウトを365日外に放っていても何年に1回見つかるかどうかというレベルだ。そんな女優たちがキャバクラにいたとしても現実味がない上にそこでのし上がっていくという話にしてもそもそも見た目だけで1位になるに決まっているのだからストーリーが破綻してしまう。
この「LOVE理論」のヒロインの女優は11位で納得なのだ。まさに11位顔。本当はもっと褒めたいのだが11位だと言われるとそう思ってしまう感じの女優さんなのだ。先日の放送でニコニコ顔がアップになるシーンがあったのだが、その笑顔は可愛らしかったが前歯二本の隙間が気になるという・・・・い、いや、治さないほうが当ブログではかわいいと思うのだが、そういう部分をお直ししていない事務所も珍しいかなぁなんて・・・・・。まさにウィーン・オブ・11位なのだが同ドラマのヒロインなのである。このキャスティングは見事だ。ここまで言うと、もう何を言ってもフォローにならないだろうが、当ブログとしてはこういう女優さんに成功して欲しい。割とマジで企業CMに向いている自然な女性だと思う。
一番の見所は片岡愛之助さん演じる店長が主人公に喝を入れるべく登場するシーンだ。「水戸黄門」でいうところの印籠をすぐに出さないで雑魚侍たちを助さん角さん弥七たちが斬り殺すチャンバラシーンに匹敵する要るような要らないような、でも大事なシーンが「LOVE理論」にもある。キャバクラ内で十数名のダンサーたちが激しく踊り、中央から現れる店長。そして店長の決めポーズ。ドラマのストーリーとは一切関係がないシーンだが毎回このダンスシーンがある。ダンサーたちの人件費もバカにならなかっただろうにこのストーリーとは関係ないダンスを毎回入れてくる。おそらくこのシーンが一番お金がかかっている。後のシーンのみすぼらしさを見れば先ず間違いない。
録画をすると負けな感じがして毎回放送に合わせて帰宅するようになった。出張中は見られないのが残念だが録画してハードディスクにこのドラマのデータを入れるとなんだか人として負けな感じがするのだ。それほどまでにしょーもない内容なのではあるが真面目に作っている割にはコケているドラマよりもよほど楽しめる。恋愛にはまったく役に立たないだろうがドラマとしてはアサイラム関係のテイストもありなかなかのもの。おそらくまったく同じ脚本でもフジテレビが作ると全然面白くないものに仕上がる感じがする、そんなドラマがテレビ東京の「LOVE理論」だ。[11回]
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