週末、大きな地震の影響をもろに受けて帰宅困難者になったり、単に忙しかったりとテレビを見る暇があまりなく確認できなかったのだけれど、情報バラエティー番組などではMLBで活躍するダルビッシュ選手が家政婦に訴えられた件を報じたのだろうか?この件では正直いってダルビッシュ選手に深く同情している。訴訟大国アメリカならではというべきか、セレブはとかくその訴訟の標的にされるのだ。
日本のスポーツ新聞が僅かながらにその件を伝えている。
ダル訴えられた 犬の世話役かみつかれた 米紙報じる(スポニチアネックス)
テキサス州の地元紙ヒューストン・クロニクル電子版は現地29日付で、レンジャーズ・ダルビッシュが雇っていた家事手伝いのアレクサンダー・ウィトマーさんが、契約違反や過失を理由にダルビッシュと代理人の団野村氏の事務所を相手取り訴訟を起こした、と伝えた。
ロサンゼルス郡上位裁判所に27日に申請。訴状によると、ダルビッシュが飼う3匹の犬の世話役として昨年8月27日に1年契約で雇われたが、9月17日 に1匹の犬にかみつかれケガを負い、解雇された。犬の管理や、かみつくことなどへの注意が不十分だったと不服に思い、訴えを起こしたという。
飼い犬の世話役として雇用された人がかみつかれたことに対して訴訟を起こしたのだ。要はあくまでも犬の世話役としての雇用だから犬の躾(しつけ)は飼い主の責任という訴状の模様。当初、犬の世話係が訴訟というニュースをアメリカのニュースで知ったときにはかまれた後で不当に解雇されたこと、つまり不当解雇で訴えたのかと思ったが、飼い主としての管理不行き届きで訴えた模様。いやいやその管理をあなたに任せるためにあなたを雇ったんじゃないですか!といったことは法廷で争うことになるらしい。アメリカのこういう訴訟って本当にどうなのよ?と思う。
冒頭で述べたがダルビッシュ選手は狙われたなと感じた。こういう訴訟でも何百万ドルもの損害賠償を請求できる訴訟が起こせるときがあり、要は何十億円もの資産を保有するいわゆるセレブリティーズは隙あらばこういう訴訟を起こされる。言い方は悪いが「何割かよこせや!」と言われているようなものでセレブの皆さんには同情している。こうやって知り合ったばかりの人々から隙あらば訴えられて資産を賠償金で削られていくのだ。
日本では余り大きなニュースになっていないがセイコーの米法人・セイコー・コーポレーション・オブ・アメリカを訴えた日本人女性(在米25年ほど)の97億円もの賠償金を求めた訴訟についても憤っている。勿論、セイコー側にまったく非が無いとは言わないが、そこまでの賠償金を入社10ヶ月の従業員が行い、まるでその企業を徹底的に叩こうとする姿勢には疑問なのだ。そりゃセクハラ・パワハラは問題ではあるが、原告側、特についている弁護士が過去にも日本企業から巨額の和解金を獲得したといったなんともいえない経歴もあり、素直に「大企業の横暴だ!」とは言い難い。
訴訟大国アメリカとはいっても訴訟に辟易としている国民も数多く、アイムソーリー法を取り入れている州も増加傾向だ。例えば事故が起きた際などに現場で謝った人がいても、それは罪を認めた、即ち賠償責任があると認めたとはならないという法律だ。あくまでも人としての当たり前の感情として、事故で誰かに怪我を負わせたり損害を与えたりした場合に、先ずは加害者(かもしれない人)が謝ってもそれは法廷での判断材料からは除外するというものだ。そんな当たり前のことを法律で定めなければならないことが今までの訴訟合戦の酷さを物語っている。
ダルビッシュ選手の件ではそりゃかみつかれて怪我をしたのならばその世話係の人には気の毒なことだったが、世話係なのにかまれたということは飼い主としては不安にもなる。もしその世話係が大怪我をしてしまった場合を考えての解雇は当然とまでは言わないがリスクヘッジとしては致し方のないことだ。その解雇についての訴訟ではなく、犬の管理不足について訴訟を起こしているところがなんとも賠償金目当てな感じがして嫌な感じがする。管理不行き届きによる傷害事件ともなると雇用主の責任に懲罰的な意味合いも含めての賠償金が狙えると踏んだのだろう。そんな入れ知恵をした弁護士がいたということだ。この原告、昨年9月のことを今まで弁護士探しに費やしていたとも取れ、恐らくはかなりの数の弁護士には断られたのだろう。そりゃ訴訟大国でもこの訴えはあんまりだ。
アメリカでは特に資産家たちについては、「なるべく人を直接雇わない」ということが主流になってしまった。どういう意味かというと、仲介業者からの紹介でしか家政婦にしろ、庭師にしろ、その他、家のメンテナンスを行う人たちを雇わないのだ。雇った人々が家の中でけつまずいて怪我しても訴えられ、しかも巨額の賠償金を請求されるのでほとほとセレブたちも訴えられ疲れなのだ。仲介業者を介すると、基本的に訴訟はセレブ本人にではなく仲介業者に行われる上に仲介業者はそういう訴訟に慣れた(慣れちゃいけないんだが・・・)ものなのでセレブ自身はトラブルを回避しやすい。そういう点ではアメリカ生活にまだ慣れてしない部分もあったのだろうか、ダルビッシュ選手は迂闊だったとも言える。気の毒ではあるが・・・・。ダルビッシュ選手はこの原告を雇ってしまった時点でもう手遅れだったのだ。
こういう訴訟がまったくないとは言わないがそれでも流石にトンデモ訴訟がアメリカの百分の1もないであろう日本にいると安心ではある。思えば我が家にも家のことを色々とやってくれ、犬たちの世話をしてくれている人たち(最近、キパ子が本業で忙しいので3人目登場!)がいて、そりゃ作業中にアタマの上に電球落下させたり、風呂場でオーバーヘッドキックのようにスリップ転倒して打撲を負ったり、生まれたての小鹿のモノマネをしてダイニングテーブルに頭突きして脳波検査に行くことなったり・・・・って全部キパ子なんだけど!まじで大丈夫かよ!(涙)・・・・ともかく、そんなことが起きても「訴訟!」とはならなかったようだ。良かった、日本で。
[21回]
PR