AIIBの署名式が29日午前、北京の人民大会堂で開かれた。創設メンバーとして参加を表明した57ヶ国の内、フィリピン、デンマーク、クウェート、マレーシア、ポーランド、南アフリカ、タイの7カ国は29日の署名を見送った。AIIB設立準備事務局は、年末の運営開始まで未署名7ヶ国の署名を待つとしているが、この7ヶ国の署名見送りの理由は説明していない。説明できるような理由ではないと言っているようなものだ。
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アジア投資銀、北京で設立協定署名式 7カ国が署名せず(日本経済新聞)
署名をしなかった7国の中でも特に発展著しいタイ、フィリピン、マレーシアの3国がAIIBに乗り気で無くなったことは中国には痛恨の極みだろう。中国のアジアへの覇権・・・というよりも侵略構想においてタイやマレーシアを囲い込めないことで既にAIIBそのものの当初の予定は破綻していると言える。南沙諸島への中国の侵略でフィリピンがAIIBに参加しなくなることは容易に予想できたが、タイやマレーシアまでAIIBが泥船だと認める方針に転換したことは中国も焦っていることだろう。
現時点ではつまりアジアインフラ投資をお題目にしている銀行にアジアからは日本、タイ、フィリピン、マレーシアは参加していないということだ。これでアジアインフラ銀行と称することには無理がある。野球やサッカーで主力4人も抜けたチームが機能しないように、アジアを牽引し成長著しい4国はこの銀行には参加していないのだ。残りのアジアの国々だけで資金が足りなくなるたびに補填して中国の侵略思想に手を貸すというのか?そんなものがいつまでも続けられるわけがない。
ここまで先に破綻が見えた銀行もそうはない。理事長が最初から中国人から選出すると決まっており、本部も中国、理事会をメールで行うといったトンデモ話までAIIB側から出てくる酷い実態だ。そんなものに当初から参加しないことを決めていた日本やアメリカは人口の多さ以外の要素で経済大国だ。この2国が経済大国になったのには理由があるということだ。
今のギリシア危機でも円やドルが買われている。通貨としての信頼度が高いからだ。その円もドルも参加しないAIIBは投資銀行としては不完全とも言える。人民元が何だって?投資の世界では元が主導権を握る投資銀行なんて悪い冗談だ。
タイ、フィリピン、マレーシアの官僚たちも今やアメリカなど海外の名門大学を卒業した優秀な人材で固められている。そういった優秀な官僚たちは世界経済に精通し、国の未来を思うならばAIIBへの参加がいかに国家への負の遺産となるのか理解しているのだろう。国庫から莫大なお金を出して回収できず、しかもそのお金を返してくれない中国が主導権どころか全権を握るAIIBによって開発された道路や港や橋が利用されて領土を奪われましたではアジア各国の政治家や官僚たちは憤死してしまう。タイ、フィリピン、マレーシアは賢明な判断を下した。それ以前に最初から参加表明をしていない日本が一番賢明だ。
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