今年はアクション大作の公開が立て続くので「マッドマックス 怒りのデスロード」は夏本番の上映を回避したかのようにビミョ~な時期の公開となっている。世界興行収入ランキングで10位以内に入っている「ワイルドスピード スカイミッション」と「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」の公開の狭間にこの「マッドマックス 怒りのデスロード」は公開されていることからも日本公開は相当に慎重に時期を選んだ感がある。しかも「ターミネーター ジェニシス」や「ジュラシック・ワールド」と夏場は大作公開が続くので「マッドマックス 怒りのデスロード」は6月以外に時期が無かった感すらある。
そんな狭間の公開の「マッドマックス 怒りのデスロード」ではあるがアクション大作としては今年の公開作ではアタマひとつ抜けていると断言したい。アタマひとつクレイジーなのだ。アクション大作豊富な2015年、群を抜いて狂っている。原題の「Fury Road(狂気の道)」は伊達ではない。同シリーズは基本そのどれもがイカれているのではあるが、今回の新作は最強に狂っている。流石にジョージ・ミラーだ。世界最強の狂った監督は健在なのだ。実はミジンコ、とっくの前に同作品を観たのであるが何を言ったところで同作品の凄さは伝える力量がないと感じるほど同作品がイカレポンチーノなので黙っていた。それに余りの迫力なのでここでオススメすると劇場で死んじゃう人がいるんじゃないかと心配だったのだ。が!つい最近
わらびも「爆音上映を観てもう1度行く」というほどジェットコースター苦手な人間でも大丈夫と確認できたので当ブログで紹介する所存。
先ず、シリーズを通して最大の見所であるカーチェイスなのであるがその迫力をシリーズ全4作品の各シーンを挙げてフォントサイズで表現したい。
マッドマックス(初代)の冒頭でナイトライダー(暴走車)とマックス達警察車両とのカーチェイス→
MAD MAX
マッドマックス2のラスト、マックスが運転する大型トレーラーとヒューマンガス軍団との攻防→
MAD MAX
マッドマックス3のラスト、爆走列車とそれを追う砂漠の女王軍団→
MAD MAX
新作「マッドマックス 怒りのデスロード」での最初のカーチェイスシーン、フリュオサ大隊長率いるウォータンクと警護のクルマとバイク数台と襲いかかるヤマアラシ軍、そしてその戦いに追いつくイモータン・ジョーの軍団→
MAAAAAAAAAAAAAAAAAAD MAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAX!!!!!!!!
控えめに言ってもこのくらいの迫力。散々観たシリーズの新作だからといったことでの盛った話ではなくて、本当にこのくらいの大迫力。CMなどで多少は迫力あるシーンが流れてはいるがあんなのはごく触りの部分に過ぎず、いわば脇役とも言えるヤマアラシ軍ですらこの迫力なのだ。そしてそんな戦いが2時間続く・・・・・おっちゃん、死ぬかと思ったよ・・・・・。
フリュオサ率いる少数の車両の右手から迫る2台のトゲトゲクルマ。縄張り荒らしに挨拶だぜヒャッハー!という感じ。こんな↓クルマ。どうやって車検を通したんだ!
迎えるフリュオサ大隊長と子分たち。全然怯んでいない。凶暴 vs 凶暴なので当然話し合いが行われるわけもなくいきなり火薬の付いた槍をヤマアラシに投げつけるはヤマアラシはボウガン撃ってくるわで平和解決を求める人が一人もいない地獄。
更に左手からもヤマアラシ2台おかわり。そして後方からもデカアラシが1台。デカアラシにはショベルカーが積んであり、ショベルアームでフリュオサ大隊長の大切なウォータンクを小突いてくる暴挙。タリバンとかISILとかが真似するので止めて欲しい魔改造だ。現実でそんなのに襲われる身にもなって欲しい。
そして後方から追いつくイモータン・ジョーとその軍団。こんな↓奴等が追ってくるのだ。
なんだよ、コイツ、色々とおかしいだろ!怖すぎるわ!こんなのが新聞の勧誘員だったら契約しちゃうかもしれない。
イモータン・ジョーはウォーボーイズという戦闘員たちを育て上げており、彼等は死を恐れずに転生を信じている。つまり戦いで名誉ある死を迎えると転生してもっと良い人生が待っていると信じているのだ。だからむしろ戦闘での死を望んでいる。イスラム過激派の幹部たちが末端の戦闘員にやっていることと同じだ。但し、イモータン・ジョーの軍団では謎のルールがあり、銀色のスプレーを口の周辺に噴きかけてから特攻すると尚良いらしい。致命傷を受けたウォーボーイの一人が口元に銀色スプレーをかけてから「みんな俺を見ろーーー!」と叫びヤマアラシに爆弾槍とともにジャンプ、爆発炎上するヤマアラシ。それを見て仲間のウォーボーイたちは「よく死んだーーー!!!」と賞賛。もうやだ、こんな世界・・・・・。
そんな北斗の拳のケンシロウでも生き残れるか定かではない世界でも一応は主人公のマックスは輸血用の袋としてしっかり生存。主演のトム・ハーディーはまたしても猿ぐつわをかけられている始末。「ダークナイト ライジング」のベイン役のときもマスクで顔を覆っていたのでほとんど顔が出ていなかったが今回もかなり長いこと猿ぐつわが取れない。ジョージ・ミラー監督はわざとそういう設定にしているドSなのだろう。
今回、マックスの影が薄く、一番インパクトのあるシーンが冒頭で口からトカゲのシッポを出してムシャムシャのシーンである理由はシャーリーズ・セロン演じるフリュオサ大隊長と影の主役とも言えるウォーボーイのニュークスの存在感だ。↓このスキンヘッドがニュークスだ。余命いくばくもないことを悟り、なんとか戦いの中でイモータン・ジョーに認められて死にたいと考えている若者。前半では「この軟弱クソヤロウが!邪魔しないでさっさと死にやがれ!」と思っていたが後半では「ニュークスもっと頑張れ!超頑張れ!おまえはまだまだやれるぞ!ガソリンをもっと吐け!」と応援してしまうのだから、これもジョージ・ミラーの魔術だ。
このウォーボーイ・ニュークスのキャラが余りにも立っている為にマックスの影が薄くなってしまった感がある。更に名前も出てこない脇役ではあるのにそのインパクトたるや映画史に残る存在なのが↓コイツ。
このギターから炎を噴出しているギターリスト。この車両は後部に太鼓部隊もいる。ガソリンの奪い合いで殺しあっている世界なのに延々とギターから無駄に火炎を撒き散らすコイツは・・・・・。そもそもこのロックな車両、戦闘的にはほとんど何も貢献していないのだが場が盛り上がる。いいのかそんな車両で!?
とにかく大迫力なのだ。CGではなく本当の迫力とはこういうことなのだと実感する作品だ。この作品ばかりは大型スクリーンで観ないことには勿体ないと感じ、遅ればせながら記事にした次第。カーチェイスの迫力で言えば過去100年間で最強だ。MADなんてもんじゃない。
MAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAD!!!なのだ。
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