安保法制とそれに対するデモ参加者たちから幾度も飛び出している意見として「おまえが前線(戦闘地域)に行け!」という趣旨のものがある。例えば安倍総理や猛烈なバッシングを受けている自民党・武藤貴也議員に対して左翼系の活動家たち(デモ参加者たち)がツイートなどで罵詈雑言を並べ立てた上で総理や議員が戦場に行けという旨のことを叫んでいる。そして東洋経済はわざわざ議員に電話をかけてこんなしょーもない質問をしている。
東洋経済「戦争になったら、武藤さん自身が最前線で戦う覚悟はあるのか」とネットでいわれています。
武藤議員「そもそも権利行使を限定容認するというと、なぜお前が戦場に行けというように論理が飛躍するのかわかりません。」
一応、東洋経済の記事はこれでもまだ武藤議員の言い分を大きく取り上げている方なので公平性はあるとは感じた。議員の言葉尻だけを取って猛烈にバッシングしている各メディアよりもよほどマシだ。武藤議員の「利己的」という発言についてもその言葉をいきなり「戦争に行かない人は利己的」とデモ隊や活動家は都合の良いように捉えてそれこそ鬼の首を取ったように批判しているが、同議員は別に「戦争に行け!」という意味で言っているわけではないことは明らかだった。これではもう特に与党・自民党の議員は発言したらもうお終いという状況であり、「あー!言ったーー!」ととにかくありとあらゆる発言を歪曲して捉えて悪魔の発言のごとく猛烈に批判するマスコミや活動家たちのやり方は余りにも愚劣だ。
これは本筋とはそれるが先日、武藤議員を囲む取材陣の中に普段はワイドショーネタなどにも狩り出されている女子アナたちが複数いるところを見た。彼女たちは一様に深刻な面持ちでまるで凶悪犯を囲むかのようにエレベーターに乗る直前の武藤議員から一言でも取ろうとチャレンジしていたが武藤議員は挨拶の言葉だけでそそくさとエレベーターに乗っていた。若い女性たちが凶悪な発言をした男を囲んでその真意を問うといった構図を作りたかったことが見え見えのやり方で視聴者は大変だと感じた。普段そんなに大勢の女子アナを狩り出すような取材をしていないだろうに。いちいち気を張ってワイドショーを見る視聴者はそうはいないと思うが、何気なく見ている映像に色々なイメージ操作が盛り込まれているものだ。
さて本題なのだが、首相は勿論のこと政治家、いわば国政を担う者たちは戦場で戦うべきではない。それでは指揮命令系統の根本から破綻する。軍人が戦場で戦い、政治家は国の内側からその戦闘の許可と支持、そして責任を負うべきだ。場合によっては政治家は死刑を含めた厳罰を受けるやもしれない。そういうすべての責任を負った上で政治家は戦闘地域ではなくてなるべく安全な場所から指揮を執るべきだ。首相をはじめとする国会議員に「おまえが前線に行け!」などという主張は余りにも幼稚だ。そういう無茶苦茶な批判をする人々は普段から責任の所在を意識して仕事をしていないのだろうか?基本、立場(階級)が上に行けば行くほど現場からは離れるが何かあったとき、つまり有事の際の全責任を負うのが上の者の職責のひとつだ。
そして現代の戦争において前線などいう考え方はもはや存在しないことを述べておきたい。それに伴って後方という考え方もほとんど意味をなしていない。曖昧なイメージいえば銃やロケット砲などを有視界のところで直接撃ち合っているとそこが前線という気がしなくもないが、それは正確ではない。一応、勢力図でいうと拮抗している部分に点線でも引けばそこは前線という感じがしなくもないがそれも明確な線引きができるはずもなく、そもそも皆さんもご存知のようにテロ組織やテロ支援国は攻撃対象国の本土を狙ってテロ攻撃している。戦場が固定化されてそこでしか攻撃されないという状況はもはや存在しない。例えば欧米諸国が中東で圧倒的な戦力差を見せ付けてテロ支援国とテロ組織に甚大なダメージを与えても、延々に一応は後方扱いであろうその欧米諸国の本土が幾度もテロ攻撃をされている。そこが戦場とは言えない場所であっても民間人の犠牲者多数だ。この現代において「だったら戦場に行け」といった主張は非常に現実無視のお花畑理論だと断じたい。日本も例外ではなく、何気なく歩いている街並みがテロの標的にされている可能性があるわけで、今もって前線に行け云々を恥ずかしげもなく語っている人々こそが今の戦争の悲惨さを理解していない。
誰だって戦争なんて望んでいない。だからこそ戦争をやり難くする仕組みが必要だ。日本の安保法制は日本を攻めたら大変なことになりますよとほぼ1国に伝えるために必要なのだ。そのほぼ1国とは勿論のこと覇権主義を隠そうともしない中国であるが、その国名を政治家が口に出すと波風を無理矢理にでも立たせて更に戦争に近づける連中が日本国内にもいるのだから始末におえない。防弾チョッキの厚みを増したら防弾チョッキを脱げと国内の活動家たちや中国は悪びれもせず言っているのだ。その国内の活動家とやらがデモ中に中国で使われているが日本では使われていない漢字のプラカードを持っていたりするのだから悪い冗談のようだ。防弾チョッキが大爆発して誰かを殺すわけでもなし、その防弾チョッキに銃を向けている強盗犯を責めるできなのだ。それは渦中の武藤議員も散々述べている。その主張、つまり反戦デモは国会前ではなく中国大使館前でやるべきだという同議員のツイートに対しては誰もまともな反論ができていない。そりゃそうだ。完膚なきまでの正論なのだから反論のしようがない。そういう議員はやっかいなのでマスコミは徹底的に打ちのめそうとすることも悲しいかなこの日本ではよくあることだ。
戦場には戦闘訓練を受けた者以外は邪魔者にしかならない。そもそも戦闘に参加したからといって責任を取ったことにはならない。政治家が危険な目に遭えば責任はチャラなんて法律があるのであればそれこそその国はお終いだ。プーチン大統領なんかは大喜びしそうな法律ではあるが国民は堪ったものじゃない。戦争された上に政治家の責任まで放棄されては国は滅ぶ。安保法制を推進する安倍総理や議員たちに戦争に行けと喚き散らしているデモ参加者たちはそういう無責任国家が望みだろうか?さすがに無責任大騒ぎデモ隊なだけある。何から何まで無責任だ。
[39回]
PR