日本は世界屈指の技術を数多く有する国ではあるがジェットエンジンに関しては他国の製品に依存している。国内でのジェットエンジンの開発自体が長年中断、もっとストレートに言えば自粛されてきたからだ。その状況もだいぶ変わりつつある・・・・・と思いたいので今回記事を起こしている。(※ 国産初のジェットエンジン「XF5 1エンジン」については後述。)
武器輸出について日本は国外というよりも国内から猛烈に批判され厳しい制約を受けて来た。長年、日本では武器に転用できる技術と目されるものを輸出した企業をまるで犯罪企業のように猛烈に叩く勢力がいるからだ。しかしながら現実的には日本の工業製品は数多く海外で生産される兵器に使用されている。そりゃそうだ。日本の先端技術で生まれた素材や精密加工製品の信頼性は抜群でハイテクの塊である近代兵器の需要にマッチしている。画期的な軽量化や強度を果たした素材、半導体製品、精密機器、それら何れもがハイテク兵器産業の垂涎の的だ。そんな大きな需要があっても日本企業は兵器に使用されると分かっている場合は製品を輸出できないで今日に至る。
世界の兵器産業が日本企業や日本政府の意向を尋ねることなく数々の日本製品・部品を兵器開発に使用しているというのに日本国内の批判の声はひたすら海外の兵器産業ではなく日本国内の日本国籍の企業に向かう。兵器の電子制御部分であろうがモーター駆動部の部品であろうが日本製であることが発覚すれば国内では大々的に報じられ、政府もその製造元の企業もマスコミなどに猛烈に叩かれてきた。日本の機械メーカーがまるで死の商人のように報じられ、日本の産業を萎縮させようとする目論見があるのではないかと穿った見方をしたくなるほどマスコミは叩く。
昨年4月、日本政府は「武器輸出三原則」に代わる「防衛装備移転三原則」を決定した。これは安倍政権の大きな仕事だった。当ブログが国会前のデモについて「バッカだなぁ」と思い「大いなる矛盾」と「情報収集能力の欠如」を感じる最たることは、特定機密保護法案や安保法案の提出・審議の際にはそれこそ「戦争反対!」と猛烈に政府に食ってかかるデモ参加者たちがこの「防衛装備移転三原則」の時にはほとんど騒ぎもしなかったという事実だ。スパイ活動抑止や中国に抗する唯一の防衛構想である日米安保についてはこれでもかというほど噛みついてくるデモ隊がこの「防衛装備移転三原則」については静かなものだった。よくデモ隊が言うような話し合いは通じないからこそ必要となる機密保護法や安保法制には反対しているというのに、実質的に武器の輸出解禁となる「防衛装備移転三原則」はほとんど関知しないデモ参加者たちってどういう頭脳回路なのか謎めいている。この「防衛装備移転三原則」が拍子抜けというほどに昨年すんなり通ったことに当時は驚いたものだ。所詮、国会前でデモをやっている暇人たちの情報収集能力と分析力はその程度ということなのかもしれない。「みんなが怒っている!じゃあ自分も怒ろう!」「みんなが騒いでいない!じゃあボク(ワタシ)も黙ろう!」といった非常に従順な馬鹿ほど使いやすいデモ参加者はいない。そういえばSEALDsへ参加している学生参加者たちなんかは「防衛装備移転三原則」の存在をご存知だろうか?「ぼうえいそうびいてんさんげんそく」と読むのだが知ってたかな?
下記が「武器輸出三原則」だ。ご覧の通りの「兵器に関するものは一切輸出するなよ!」というがんじがらめの三原則だ。
この縛りによって日本企業が静かにしている長い間に平和を恒久的に追求すべき国連安保理常任理事国であるアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国はせっせと武器を輸出して莫大な利益を上げている。
世界の武器輸出額 国別ランキング・推移 (GLOBALl NOTE)
この統計を見て皆さんお気づきになったであろうか?あの「いつもなぜか上から目線」でお馴染みのドイツが第5位にランクインしているのだ。2012年には世界第3位、ドイツは2006~10年に武器輸出額を96%増加し、世界の武器市場でドイツ製兵器が占める比率は7%から11%に拡大している世界有数の武器輸出大国なのだ。武器輸出大国といえば国連安保理常任理事国の5ヶ国が輸出額上位の不動の5ヶ国かと思っていたが近年はドイツがそのシェアを切り崩しているのだ。さすがはドイツ、フォルクスワーゲンの巨大な不正も会長が数名の従業員によるものとして逃げ切ろうとする図々しさ、第2次世界大戦の罪も全てナチスになすりつけてまるで今のドイツとは関係がないように振舞う厚顔無恥さ、日本(人)には真似できないことばかりだ。
当然のことながらこの武器輸出額ランキングには日本は載っていない。シンガポールやチャドでさえ掲載されているが日本は無し。日本はなんという平和国家なのだろう・・・・・と言いたい気持ちもあるがもっと先に来る思いは天文学的な貿易黒字の機会を日本は失っているということだ。世界屈指の技術力を保有し、GDP世界第3位の日本が世界の兵器市場にはまったく参加できていないのだ。(実際はそんなことは全くないが)よく平和国家のように例えられるスイスでさえ13位にいるというのに日本はランクに存在しないまさに0なのだ。
今年、国産初のジェットエンジン「XF5 1エンジン」が完成し、充分な燃焼効率を達成している。これも国産初のステルス機に搭載される予定のジェットエンジンだ。逆に世界のほとんどの国の人々には驚きだろう。日本は今までステルス機はまだしもジェットエンジンを製造していなかったのかと。技術力もあり経済力もあるというのにまさに「Why?」だろう。
戦闘機にしろ、潜水艦にしろ、車両にしろ、その他諸々の武器と呼ばれる製品にしろ、それ即ち「悪」と断罪するような単純な代物だろうか?そんなよく言えば能天気、悪く言えば短絡的な発想で語れるものだろうか?高性能な日本製品は兵器市場でも高い評価を受けることだろう。兵器市場は、日本への経済効果を無視して語れるほど小さい市場ではない。ましてや侵略行為を現在進行形で行っているロシアと中国がランキング上位という苦笑いもできない状況だ。この2国だけはなく他の国々のシェアは日本が参加していないからこそのシェアなのだ。日本が世界の兵器産業に参加していればランキングの国全てのシェアは目減りしていたはずだ。
「武器輸出」と聞けばしかめっ面をする人々が国内と特にアジアの2~3ヶ国にはいるのだろうが、それが今までのように糾弾されていたほどの悪だろうか?むしろ日本製ならば信頼できると引く手数多になることだろう。特に中国の脅威に晒されているフィリピンなどのアジア諸国は日本製兵器を注目するであろうし、それらの国々が高性能な戦闘機や艦船を保有するという状況が力でねじ伏せようとする中国に対しての抑止力となることだろう。日本企業が抑止力としての兵器を輸出して日本の貿易黒字に貢献して、アジア諸国は高性能で長持ちし信頼性も高い日本の兵器によって領土損失を防ぐという特定の国以外の世界ほとんどの国にとっては望ましい世界情勢はそんなに悪い未来ではないと考える。単純に「武器輸出」と聞けばアレルギー反応が出てしまう向きもあるのだろうが日本経済ならびに日本の世界でのプレゼンスについても議論・検討する価値のあることだ。
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