先程、TPP交渉は参加各国の大筋合意に至ったとの速報あり。長く難航したTPP交渉ではあったが参加各国それぞれにとってメリットのある合意だった。国内のマスコミはやたらとTPPのネガティブな部分ばかりを取り上げている傾向が強いが、我々消費者からしてみればメリットは大きい。野菜も肉も国内の物価は余りにも高い。税金で第1次産業を援助しながら国民は「安い食品」ではなく「高い食品」を買い、しかも食料危機が訪れようとも第1次産業が国民に何ら支援を行うわけではないことは20年ほど前のコメ不足の時に露呈していた。おかしな話だった。小学校の社会科で古米や古々米なども含めて米はいざという時の為に備蓄されているものなのだと学んだはずなのだが、実際に米が不足したら備蓄米が無料や安値で開放されるでもなく、国民はタイ米などに頼るはめになったのだ。
米農家にしろ、酪農業者にしろ、畜産農家にしろ、野菜農家にしろ、TPPについての取材を受ける農家の人々はひたすらTPPについての恨み節を語り政府の方針を批判しており、しかも国の補助なしではやっていけないという意見をウンザリするほど聞いた。他の産業の経営者が堂々と「国の補助を受けないとやっていけない」とインタビューを受けたらそれこそその会社の株価暴落だろうに。基本、経営は第1次産業を含めて採算が合わないのであれば、それは事業形態が破綻しているということだ。そこは経営の抜本的な見直しが必要とするべきところをなぜか第1次産業の経営者たちは「補助金ありき」でインタビューに答えているのだ。このイビツな構造の下、延々と国民は増税に苦しみながら高い食品を購入するべきだろうか?当ブログは大声で述べたい。否!だ。
TPPについての嘘八百を散々吹聴する人々がいたことも大問題だ。なんの根拠もなく、まるで日本がアメリカに侵略されるような話を広める人々がいる。実際は日本は随分と旨味を取り、アメリカは随分と譲歩している。製薬会社の特許有効期間は日本が推奨していた8年で合意された。巨大な製薬メーカーを多数要するアメリカとしては12年が譲れないところではあったのだろうが他のジェネリック医薬品に頼りたい国々は5年を要求。落としどころとしての8年となり、アメリカ政府は自国の製薬メーカーの怒りを鎮めるために交渉を長引かせて頑張っていますアピールに必死だった。TPP参加国はアメリカの言いなりになるどころかまったく引かずに日本はまるで仲裁役であり指導役と化していた。色々な国々が勝手なことを言い、それを日本が諌めるの繰り返しとなるとなんでか国内マスコミはほとんどその様子を報じなくなった。日本がTPP交渉にて指導力を示している姿は報じない権利を日本のマスコミは行使したようだ。
保険にしろ、医療にしろ、まるで日本はアメリカに侵略させるようなことを吹聴する人々がいる。そういう人々はその吹聴したことが何年経っても起きなくとも何の責任も取らない。人々の不安を煽り、そして受けるべき恩恵を喪失させようとする輩がいるということだ。まるで日本人になるべく仇をなそうとしているかのようで本当に腹立たしい。日本の保険も医療もアメリカどころかどのTPP参加国にも侵略され駆逐されることはない。今までマスコミが「日本がこうなって危ない!」と報じたことが1度でもそうなっただろうか?その逆ならば枚挙に暇がない。元々、日本国内には海外の保険会社が進出しており、いきなり激変をするというほうが強引な理論だ。保険会社の競争激化はとっくに起きている。医療についてはアメリカすら実現できていないどころかオバマ政権支持の大ブレーキと化した国民皆保険構想を日本はとっくのとうに実現しているのだ。TPP否定派がなにをもってTPPで日本の医療が崩壊すると吹聴しているのかまったくもって理解できない。繰り返すがこの日本では国民皆保険が既に完全に実施されているのだ。その皆保険であるからこそ「保険診療」と、保険適用外の「自由診療」を並行して使うことは原則的に禁止されている。国の認可を受けた治療と認可していない治療をゴチャ混ぜにして保険適用の医療部分だけは国民皆保険分を適用してくれというのは通らないのだ。これを「混合診療の禁止」と言う。国民皆保険があるというのに日本国民がTPP後に混合診療を選択して本来は保険が適用される医療についても保険適用外の診療費を払うだろうか?国民皆保険というアメリカではまさに驚愕の不平等システムを実現している日本、いわば「支える側」と「支えられる側」が確実に存在する社会において、そもそも日本の医療がTPPで崩壊すると主張していること自体がナンセンスなのだ。TPP後に混合診療が増えることを国民皆保険下で経営が成り立っている医療機関が望むわけねーだろうが!と経営者の視点からは容易に推察できることだろう。先ず民間の医療保険が普及し(←何度も言うが既に国民皆保険があるのに?)、その民間医療保険で治療する病院を黒字化するまで頑張る(←無理だろ、どう考えても・・・)を望む経営者がどこにいるのか?
報道ステーションのTPP合意のニュースの報じ方に苦笑した。まるで悪い事が起きているかのような報じ方なのだ。日本政府の奮闘ぶりはまったく報じていないアンフェアな報道だった。それに加えて同番組の解説者である憲法学者・木村草太氏の見解に失笑した。このTPP合意で日本の風景が変わるかもしれないとやんわりと述べて不安を煽っていたのだ。それに同調する古館氏。要は日本の農業が激変して古くからの田園風景などが変わっていくかもしれないと、なんともまぁ、日本人の心情をこれでもかというほどつつく言葉を述べていた。そりゃ昔ながらの田舎の風景が変化することはノスタルジィーに浸る機会を失うやもしれず寂しいことではあるかもしれないが、それを言ったら、日本は町工場レベルの工業従事者は年々減少しており、昔ながらの工場はこの数十年ずっと減り続けている。その間、誰か国庫からの資金援助(返済なし)で守っただろうか?そういう工場が銀行からの貸しはがしで追い込まれている最中でも国はろくに助けなかったし、我々国民レベルでも何かをしたかというと正直言って衰退産業に税金投入が是となるようなことは無かった。こう言ってはなんだが当ブログの管理人の古巣のゲーム業界などは国内では衰退の一途だ。ゲーム産業が消滅しようとも国内の風景は変わらないかもしれないが、「寂しい」と感じてくださる人々はいるはずだ。「寂しい」で語ってしまえばどんな産業が衰退したってそういうものだ。
そんな田園風景が変化していくことが寂しいからといって国民は延々と高い食品を買い続けるべきだろうか?延々と第1次産業への国庫からの支援を容認するべきだろうか?それでは株式会社化してJAなどとは別に独自に事業展開して黒字経営、つまり法人税を支払っている農業会社や民間の組合にむしろ失礼な話だ。そりゃ昔からあった農家が廃業して今まで見えていた田園風景が見られなくなることに悲しみを覚えることも人としては当然の感情だろう。その悲しい思いをしたくないという感情によりスーパーにならぶ食品が延々と高値であることを受け入れることは消費者としては厳しい選択だ。この国では主食である米すらも高いのだ。スーパーではたった5kgの米が2,000円前後する。主食が高いなんてなかなか無い状況だが日本では長年そういう状態が続いた上で、なんとその高値で出荷する農家さんを国民は税金で支援までしている太っ腹ぶりだ。そもそも食品が高いという時点で国民はもっと怒っていいはずだ。燃料も高く、電気代も高い、自動車も高く、一生の買い物である住宅までとんでもなく高い、その上、食べ物まで高いという消費者いじめが長年続いている上でTPP交渉中に第1次産業従事者のブチ切れインタビューをニュースで何度も見させられるハメになった。そういった農家さんたちが一度でも補助金に感謝している姿を見たことがない。ブチ切れ気味に「政府が約束を守っていない!」とインタビューに答える前に「国から支援を受けながらもそれを受けないと赤字経営になってしまう状況から何十年も脱していなくて申し訳ございません」と農家さんがインタビューに答えているところをこの数年1度も見たことがない。当ブログの管理人だったら赤字経営の半導体企業(←1社、本当にやっています)が2年も3年も国の援助を受けないと倒産するという状況ならば会社を畳む決断をする。税金に助けられながらでしか経営できないのであれば諦める決断は至極当然のことだ。例え半導体は国を支える産業のひとつであろうとも、それが自力で黒字化できないのであれば税金負担で生きながらえることは国益を損なう。国益を損なってまで続けるような民間企業なんてあるわけがないのだ。
報道ステーションの言う古き良き田園風景を維持する為に高い野菜や肉を選択するべきだとは思えない。海外、例えばアメリカのスーパーマーケット・チェーンのコストコが日本でも展開しているが、同店の商品(主に食料品)の量の多さとまとめ買いでの低価格は相当にインパクトがある。会費はあるとはいえ、コストコに年に幾度も行く機会がある家庭では会費の元を大いに取れるほど量と価格にメリットがあるのだ。地元のスーパーが同じような価格帯になれば家計は大助かりではないだろうか?当ブログでは長いことTTPの後に「分厚いステーキを食べるんだ」といった趣旨のことを述べて海外のバーベキュー風景などの写真をUPしてきた。まだTPPの細かい折衝は続くのですぐにとは言わないが数年後には皆さんが気軽に分厚いステーキを夕食の選択肢として選べるようになることが今から楽しみだ。生姜焼きが今よりもグンと安くなるわけなのだから消費者にとっては悪い未来ではないはずだ。
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