TPP参加12ヶ国中、最大の受益国となるのは日本なのだそうな。米国に拠点を構えるピーターソン国際経済研究所の分析によるもので、権威あるシンクタンクの分析とはいえ、米国のシンクタンクの見解の全てを鵜呑みにするつもりはない。そうは言っても長年日本政府すらも懇意にしている世界屈指のシンクタンクの分析を無視するのも逆に意固地過ぎるとは思う。同シンクタンクが出している数値そのままを受け止めるつもりはないが、TPPで日本が最大受益国という分析は素直にニンマリしてしまう。そりゃどんな契約にしろ協定にしろ、自分(自国)が有利だと聞いて嫌な気分はしない。
TPP最大の受益国は日本 米研究所 米の恩恵はテクノロジー、銀行、農業(SankeiBiz)
一部抜粋:
自由貿易を支持する米ピーターソン国際経済研究所の調査によれば、TPPが2025年までに各国経済にもたらす年間利益は日本が1位で1050億ドル(約12兆7760億円)。米国は770億ドルで2位だった。
正直いって10年弱で13兆円弱では物足りないと感じた。日本製品のポテンシャルはもっと高いと考えているからだ。いわゆる「フタを開けてみれば」ということが機械製品など以外の農産物や生活必需品で爆発的なヒット商品が生まれると見ている。日本人には当たり前の品質が海外では脅威の高品質と捉えられる商品が膨大な数に及ぶ可能性がある。例えば既に海外でりんごやさくらんぼは高級品として大人気だが他の日本産の農産物もポテンシャルが高いものが多々ある。輸送の難しさはあるだろうが日本の糖度が高いスイカやメロンは海外でも競争力を発揮するであろうし、一応はマンダリンという名前で似たようなものがあるもののそれほど人気のないミカンにおいては日本産の驚くほど甘いものならば海外で大ウケだろう。(※ 米国の店頭で見かけるマンダリンオレンジは日本産のミカンとは比較にならないほど傷だらけであり味もお世辞にも褒められない。なぜキレイなマンダリンオレンジが店頭に並んでいないのか当ブログの管理人の長年の疑問である。)
「フタを開けてみれば」は確実に起きることだろう。米国でも約半数はTPPに反対だったが、その反対派の僅かな割合であろうが自動車や過去のゲーム・プラットフォームで日本に痛い目に遭ったことを教訓としたアメリカ人たちは日本製品を警戒していた場合もあったことだろう。規制条項が膨大な数に及ぶTPPなので緩やかではあろうが、アメリカとしては「ここで負けるはずではなかった」という製品で日本製が席巻する未来がきっとある。
逆に米はアメリカの格安な米が日本の食費を劇的に軽減することだろう。
カリフォルニア米の衝撃 5キロで650円 TPP合意で日本のコメは変わるか?(ウェッジ・インフィニティ)という記事が話題となっている。確かに米5キロ650円は衝撃的だ。国内ではどんなに安い米でも5キロ1,000円前後だろう。しかもこの5キロ650円程度が想定されるカリフォルニア米は日本の米と同じジャポニカ米だ。アメリカではそもそも米が主食ではない上にジャポニカ米は更にマイノリティーではあるのだが、米国での大規模農業のスケールメリットもあってか穀物栽培に関しては日本とは比較にならないほどコストダウンが実現できている為に穀物としては小麦やトウモロコシに比べて遥かにマイナー品種であるカリフォルニア米(ジャポニカ米)でさえ、ここまでの低価格化が実現している。輸送費や輸入代理店からのコストを入れても5キロ650円程度が想定されるのだから日本の消費者はカリフォルニア米が待ち遠しいことだろう。
このニュースが話題になっているわけだが、そこで頻繁に目にした心配事に触れたい。米食民族である日本人として無理からぬことではあるが、「カリフォルニア米はまずいのではないか?」といった疑問だ。実際に「まずい」といった書き込みも目にしたのでこの記事を書くことにした。先に結論を書くが記事タイトルのとおり「カリフォルニア米は美味しい」だ。二十数年間、日米を行き来している当ブログの管理人ミジンコが言えば多少の説得力があることだろう。どちらか一方に住み続けているわけではなく、短期間で日本の米も食べ、カリフォルニア米も食べているのだ。日本に住んでいる人、米国在住者のどちらよりも食べ比べていると言えるのではないだろうか?但し、その「美味しい」には条件がある。
炊飯器だ。
日本の炊飯器の研究に研究を重ねたメーカーの炊飯器でカリフォルニア米を炊けば日本の米と遜色がないほど美味しい米が炊ける。逆にいうと、この議論で「カリフォルニア米がまずい」と書き込んでいる人々はどういう条件でその米を食べたのか気になる。例えばホテルやレストランで出たもの、つまり日本製ではない大型のライスクッカー(炊飯器)で炊いた、こう言ってはなんだが大雑把な炊飯しかできない機器を使用して炊いた米を評しての「まずい」なのではないだろうか?当ブログの管理人は、アメリカでも日本製の炊飯器を使用している。日本でも自称「家電王」なので炊飯器を複数台購入して使い分けており、高額なものでは20万円を超える炊飯器を所有している。そんな高級な炊飯器を使ってみて尚更感じるのは米自体の品質も大事ではあるが「炊き方」がこれでもかっていうくらいに重要なことだ。どんなに高級な米も炊飯器次第で出来上がりがだいぶ異なるのだ。逆に複合米などでも高級な炊飯器で炊くと感動的に美味しくなるのだ。米の品質は無視しろとは言わないが、炊飯器比較の経験から言えば、カリフォルニア米を米国で食べて「日本の米よりも美味しくない」と感じた人々は炊飯についてまでは考慮していないのではないかと感じる部分がある。カリフォルニア米も日本の炊飯器で炊けば本当に美味しく出来上がる。また日本の米だって前述のライスクッカー(←日本製の炊飯器とは同列に語りたくない)で炊けば残念な結果になるのだ。野外で鍋で米を炊いたり、飯盒(はんごう)炊飯をしたことがある方々ならば、ご理解いただけることかと。円滑に蒸気を出す仕組みや釜にまんべん無く高温を伝えることは大変な技術であり、日本のメーカーは何十年もの研究で「極み」とも言える炊飯器の技術を有している。
日本の消費者はカリフォルニア米の味について心配する必要はないのだ。なにしろ皆さん、日本製の炊飯器をお持ちなのだから。10kgで1,000円なんて米でしかも味も美味しいとくれば消費者としては有難いことだ。米を多く使う外食産業も格安志向で再び売上を伸ばすかもしれない。カレーや牛丼の米部分のコストが半減どころか1/3以下になるやもしれないのだ。安い、旨い、速い、が再び復活してくれれば当ブログの管理人としても大変有難い。なにしろ国内の空港などで見かけるカレーなどが「あれ?こんなに高かったっけ?」と思う日々なのだ。安くなるに越したことはない。
残念なのは米に関していえばアメリカとオーストラリアに対しての国別枠合計5.6万トン(開始から3年間)、そこから段階的に13年目以降7.84万トンの枠という「縛り」だ。この段階解除は米に限ったことではないが、主食の米にこの縛りが果たして必要だっただろうか?という疑問が残る。これではまるで消費者へのおあずけ状態だ。なんでそこまで日本の農業を保護して給与上昇が物価上昇に追いついていない現状に苦しむ消費者をじらすのか理解に苦しむ。さっさと安い米を誰でも好きなだけ購入できる世の中になって欲しいものだ。
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