ミジンコラム | 画像をちょっとだけ斬る! | ニュースをちょっとだけ斬る! | ハケンジャーたちよ、聞け! |
成田空港では、パリに向かう便に乗る旅行客らから不安の声が聞かれました。
8日間の日程でパリに旅行に行くという仙台市の20代の男性は、「キャンセルも検討しましたが、やっと取れた休みなので予定どおり行くことにしました。不安ですが、何事もなければと思います」と話していました。
スペインのバルセロナとパリを旅行する予定だという愛知県の30代の夫婦は「楽しみにしていましたが、多くの犠牲者が出ているのはつらいです。ツアーの添乗員の指示に従って行動し、危険なようであれば途中で帰国することも考えたい」と話していました。
1週間、フランス国内を旅行するという50代の夫婦は「パリ市内は最後の2日間に行く予定なので、それまでに落ち着いていてほしいです」と話していました。
11月14日 11時42分
ソース元: NHK
唖然。観光旅行ができるのだろうか?
パリ市民には外出禁止令が出され、夜中の市内各所に重装備の強襲部隊が配置され、装甲車両が走り回っている中で外国人観光客がパリ市内のどこを観光するというのか?そもそもフランスは国境は封鎖され、空港に着いたところでそこから先に進めるのかどうかも分からない。
当ブログの常連さんたちはご存知のように当ブログの管理人ミジンコはパリには自らも経営に参加している警備会社の支社を設置している。警備(セキュリティー)会社とは言っても実質的には軍事会社であり、パリにはそういう企業の拠点が数多くある。顧客と人材確保の両面でパリはやり易いからだ。シャルリー・エブド社襲撃事件の前からずっとそうだ。そしてあのテロ以降は更に民間の軍事会社による警備の需要が増している。シャルリー・エブド事件を見れば明らかなのだが、襲撃してくるテロリストたちは準備万端、自動小銃などの火器を用意した上で自分たちは防弾装備までしてくるのだ。巡回中の警察官たちの装備では太刀打ちできない。欧州では政府関係者だけではなく民間企業の要職に就く人物たちがこぞって警備を強化しているのが現状だ。残念ながらかつては映画「ボディーガード」でケビン・コスナーが演じていたボディーガードのような装備では現代のテロリストたちには対抗できない。だから警備とは称しつつも軍隊のような警備会社への需要が高まっている。そんな警備会社がいくら増えたところで無差別テロは防げない。どこを攻撃されるのか分かっている場合でさえ、自爆の為の爆薬を体に巻いた重装備のテロリストたちから攻撃対象を完璧に守り切ることは困難であるというのに、「人が多く集まる場所」を同時多発で狙われては政府ですら混乱するということは9・11から幾度も見てきたことだ。今、パリは戦争が起きているような状況で観光どころか外国人を保護する余裕すらないことだろう。そんな場所に観光という理由で行くべきではない。
このトンデモ観光客を生み出した背景には旅行会社と日本政府の対応の遅さも原因としてある。フランス政府が国家非常事態宣言をとっくに出しているのだから、旅行会社がキャンセルに対して柔軟な姿勢を見せるべきだった。こういう旅行者たちは返金さえあれば「行かない」という選択だってできたことだろう。そもそも外務省がフランスへの渡航制限(旅行理由は渡航禁止)を速やかに発令していれば旅行会社はチケットの全額補償を決めざるを得ない。そういう迅速な政府対応が無いのだから旅行会社は出発時刻になった客をどんどん放出してしまう。
当ブログの管理人のところには逐次パリからの報告が入っているがそれはもう悲惨なものだ。とても観光ができるような状況に数日で回復するとは思えない。シャルリー・エブド社襲撃事件の後、襲撃犯たちや協力者たちが逃亡中に更に犠牲者を増やした。今回のテロは規模も格段に大きく、その生き残りの実行犯たちや協力者たちも数百人規模でフランス国内に隠れているかもしれない。そういうテロリストたちが逃亡中に人質を取ることも考えるであろうし、銃撃戦が起きるかもしれない。逮捕されると悟り自爆をする逃亡犯もいるかもしれない。観光目的で行くにはパリは余りにも危険だ。
当ブログで幾度も述べてきたが「私はシャルリー」という抗議運動は断じて行うべきではなかった。シャルリー・エブド社がイスラム教を侮辱していたことは明らかであり、それを理由とした襲撃を容認しろとは言わないが、自分たちもシャルリー・エブド社だと称しての挑発行為は表現の自由の戦いとはまったく別物のイスラム教徒への誹謗中傷だった。そしてその挑発デモの結果のひとつが今回の同時多発テロだ。もうパリは観光地としては死んだ感すらある。市民たちがデモで人種差別丸出しにした地の因果応報とはこういうことなのかもしれない。シャルリー・エブド社襲撃事件の際にテロを許さないという声とシャルリー・エブド社の風刺画を批判する声は両立できたはずだ。ところが多くのパリ市民はシャルリー・エブド社の過去数年に渡るイスラム教への侮辱行為を表現の自由扱いとして100万人規模のデモだ。表現の自由の履き違えでまたテロを起こされている。