米カリフォルニア大学の中村修二教授が経営に参加するベンチャー企業のカーイ社(米カリフォルニア州)は、緑色のレーザー光を連続的に出す半導体素子を開発した。すでに市販される赤色、青色のレーザーと組み合わせれば、携帯電話やデジタルカメラで使える超小型のレーザープロジェクターが実現する。素子開発で先行する日本企業との間で新市場開拓の競争が激化しそうだ。
開発したのは波長523ナノ(ナノは10億分の1)メートルの緑色レーザー光を出す半導体素子。窒化ガリウムを用いた。2010年の上期にサンプル出荷し、年末までに製品の生産を始める予定だ。製品化を明らかにした企業は初めて。
ソース元:
NIKKEI NET
こうなることは解ってはいたけれど日本とシリコンバレーとの狭間で揺れ動いている身としては非常に心に重くのしかかるニュース。
中村教授の話題になると、必ずと言っていいほど出てくる企業名が日亜化学工業。同教授が在籍していた後に青色LED技術の特許譲渡対価を巡る訴訟、そして和解は日本企業と技術者との関係性を語る上で最も具体的な事例となった。
同社を退職後に中村教授はカリフォルニア大学に引き抜かれている。
この中村教授と日亜化学工業との件については賛否両論で、ミジンコとしては一概にどちらが良い悪いといった単純な話ではないと考えている。ただ事実として中村教授は渡米して、今回のニュースの通り、また結果を出した。しかも日本企業も力を入れている分野での強力な競合ベンチャーを育成、将来的には大成功させる可能性を窺わせており、しょ~~~じき言って日本のレーザー産業に於いても、単純に経済的な面を見てもかなり痛い。
今後、携帯電話に搭載する超小型プロジェクターで映像を観るなんて時代になるやも知れず、その時に中村教授が保有する特許が鍵になるかもしれないのだから。
先端技術への投資というものは本当に精神的に参るものなのである。ミジンコが言うんだから説得力があるでしょ(涙)
なにしろ結果が出るのかすらも解らないまま、5年、10年と時が過ぎていくこともままあることなのだから。
それでも結果が出ると信じて行う先端技術への投資ってのは日本を元気にすると信じている。10のプロジェクトの内、2、3のプロジェクトが10年後に生き残って、更に製品化できるようなものにまで行くプロジェクトが1つだったとしても、大いにやる意義があるのが新技術の確立ってやつだと思う。
一昨年ブログにて、定額給付金で2兆円をバラ撒くくらいなら先端技術を保有する企業を買収した方が日本のためと述べたことがある。米国、ドイツ、フィンランド、ノルウェーなどに代替エネルギーに関する新興企業が台頭してきており、それらの企業を次々に買収して日本企業にしてしまった方が目先の2兆円よりも国民に多大な恩恵をもたらすと考えた故のことだった。
今思うのは「子ども手当て」でバラ撒く分を研究者たちが日本に残りたいと思えるような環境作りと彼等への成功報酬にまわした方が結果的には国民も減税などの恩恵に与れるってこと。なんでもかんでも研究者たちに金を配れと言っているわけではない。ただせめてシリコンバレーの研究者と同程度の環境と成功時の報酬を約束すれば良いのだ。英語が大して得意ではない研究者ですら海外に渡ることが増えているらしい。それだけ研究者への見返りに日本と国外でのギャップがあるのだ。ましてや英語が堪能な研究者たち(←日本の研究者はほとんどそう)にしてみれば、敢えて日本で頑張る理由が希薄過ぎる。
余り公には語られているところを見たことがないが、日本の半導体産業は技術の進歩の面では壊滅的な状況。長年、日本の優秀な技術者たちが日本を去っていったから。そりゃ給料が5倍で、成功報酬が1000倍(←大袈裟ではなく)ならば、海外の大学や企業に移るのは人情ってものだ。彼らがどんなに日本を愛していようが、愛国心だけで日本に残れというのは余りにも酷だ。
金をバラ撒くことをチラつかせた民主党が先の選挙で勝利したわけだから、日本人の多数決では「子ども手当て」を出せってことなのだろうけれど、ミジンコとしては、使えるお金があるのならば日本国内で技術特許を保有できる方にお金をまわせないものかなぁと思う次第、ほんとに。
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