一部抜粋:
◆現場の苦悩◆
安否確認の壁となっている要因の一つは、「個人情報」への意識の高まりだ。
「元気ですから、自宅に来ないでくれますか」
東京都内で民生委員を務める女性は7月、こんな電話を受けた。女性はこの日、担当区域の高齢者宅を訪問し、留守宅に手紙を置いてきた。電話の相手は不在だった高齢者。ほかにも、来訪拒否の電話が数本あった。
自宅を訪問しても、インターホン越しに「何も答えたくない」と断る高齢者が何人もいた。女性は「個人情報を出すことを嫌がる人が増えており、調査はどんどん難しくなっている」と指摘する。
板橋区で民生委員を務めて27年になる能見京子さん(73)によると、以前は、「近所の人が病気になった」「子供が生まれた」などの情報が耳に入った。だが、今では病苦やリストラといった必要な情報を隠そうとする人が増えた。所在確認に「民生委員の活用」を打ち出す自治体は多いが、能見さんは「民生委員だけでは、全員の状況把握は難しい」と話す。
ソース元:
YOMIURI ONLINE
安否確認に対して協力的ではない理由が理解できない。いや多くの場合の理由はなんとなく想像がつくのだが・・・・・。
こういう場合に「答えたくない」という回答が通じてしまうことはおかしい。義務と権利の関係性の崩壊とでも言うべきか。権利だけ行使して義務は果たさないでは役所以前に納税者への侮辱だ。
年金受給をしている立場で本人もしくは家族が民生委員に門前払いをすることが可能だとは思えないのだが現実にはそういうケースが増えているとのこと。う~ん、なんだか釈然としない。
年金受給をしていないのならば、まだそういう「拒否権」のようなものがあって然るべきなのかなぁと思うけれど、「年金は欲しい、でもなにも答えたくない」ってあんまりだ。それを本人が主張しているのか、もしくは家族が、もう皆さんもミジンコと同じように想像しているであろう犯罪なのかはしっかりと確認していくべきだ。
今回のこの騒動(事件)、タイミング的に自分はくるものがある。祖母が逝ったときに、勿論のこと死亡届を提出したりと煩雑なプロセスを踏んでいく上でどうにもやり切れない気持ちになるときもあり、また火葬という「燃やしてしまう」ことに大きな抵抗を感じたりと、いろんな葛藤がある中で粛々と手続きは進めなければならず精神的に相当参った。
今後、続出するケースになるであろうが、親や祖父母が亡くなったときに、それを内緒にして年金の不正受給なんてことをよくも思いつくものだと人間の一番イヤなところを見ている気がする。
法的にも犯罪なのだろうが、それ以前に人間として踏み越えてはならない線をこんなにも多くの人々が越えてしまっているのかとウンザリする状況だ。
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