東京電力は、検出されたプルトニウムについて「人体に問題になるものではない」としている。
ソース元:
共同通信 速報 2011/03/28 23:59
「人体に問題になるものではない」、そんなプルトニウムがあるんかと・・・・・・。
東電の言いたいことも解ってはいる。濃度としては過去の世界中で行われた核実験の影響で日本にも残っている濃度と同程度なのだから、すぐに人体に影響を与えるわけではないと苦しい弁明をしたということなのだろう。
そんな無茶苦茶な言い訳を考えるよりも先にやるべきことがあるだろうに。今、東電がやるべきことは小出しに情報を出すことでもなく、1週間前の検出データを今更出すことでもなく、プルトニウムがどれだけの危険物質であるかを正確に伝えて福島県民と近隣の都県の住民に考える余地を与えることだ。住民が退避するか否かは住民が決めるべきであって東電がコントロールするべきことじゃない。
このような深刻な状況になった上で、勝手に相手がパニックになると決めつけて情報を出さなかったり、自分たちが責められることを避けるために真実を伝えないことは大罪だ。
放射線の計測装置すべてダウン 東電(asahi.com)
福島県によると、放射線を計測するために設けている約10のモニタリングポストがすべてダウンした、との報告を東京電力から受けたという。県もモニタリングポストを設置しており、独自に計測値を調べている。
↑これではまるでデータを出したがっていないのがバレバレじゃないか!
プルトニウムは危険だ。「人体に問題なし」と「人体にすぐに影響が出ない」では天と地ほどの違いがある。政府の発表もそうなのだが「人体」という言葉のマジックが良くない。可能性として挙げられる病名を隠して人体とすると表現が遠回し過ぎて若干現実感が薄まる。
「ガンにならない」と「ただちにガンにならない」では人生の選択肢が変わってくる。
漏れていないと当初は発表していたプルトニウムが漏れていたことは間違いないのだ。その時は本当にプルトニウム漏れはなかったと東電も判断したのだろう。そこを責めているわけではない。だが、プルトニウム漏れが判明した今、それでも「人体に問題になるものではない」と言われてしまうと、東電は福島原発の近隣住民の何万人が被曝しようともひたすら自社の保身に走る体質に見えて仕方がない。プルトニウムは拡散し難いとは言われているものの、それでも数メートルしか飛ばないってわけではないだろう。実際のところ数百キロメートルの拡散なのかもしれない。実際はどうなのか?その真実を伝えることこそが東電の責任というものだ。
その現実を踏まえて、“逃げられるはずだった人たち”を“逃げられたはずだった人たち”にしないことを切に望む。
全ての情報を開示して、そして「プルトニウムは危険じゃない」とミスリードするような発表を絶対にしない。これが東電が取るべき姿勢だ。その上で国民一人一人がその情報を基にどう生きるかを選択する、これが当然のことだ。退避する人たちもいるだろうし、事情はそれぞれだろうが残る人たちもいるだろう。真実を知らないことには後悔しない選択が難しい。そこを東電に分かって欲しい。
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