実は結構近くでこういう戦闘に何度も遭遇していた。
革命軍の方が攻撃機や攻撃ヘリのみならず巡洋艦に搭載するような大型の武器を平気でTOYO〇Aのトラックの荷台に溶接してバンバン撃っていた。撃った瞬間にタイヤがひん曲がったり、発射の勢いでクルマの方が吹っ飛んでいる場合もあった。
銃撃を受けているその場で“隠れる前”に自分の銃のマガジンを装填するド素人の革命軍兵士たち。「アタマを出すな馬鹿!」と何度警告しても頭を出してキョロキョロせずにはいられないただの兄ちゃんやおっさんたちが1日で革命戦士という肩書きになっていた。
NATO軍はそんなド素人たちに空爆で圧倒的な支援。最新鋭の攻撃機がこれでもかっていう位の空爆。リビア軍の対空砲では音速で飛ぶ攻撃機はマグレ当たりしか有り得ない。実は地上軍の砲撃なんてものは必要無かったのだろう。西側の思惑どおりで進んだ革命という名の侵略戦争に見えて仕方がなかった。
ミジンコの部下たちでさえ冗談混じりとはいえカダフィ大佐の拘束は不可能ではないと考えていた。そのくらいリビア軍は正規兵も傭兵たちもカダフィを守り切るような体制では無かった。あれだけアメリカを挑発し続けていた国が実は軍事力では傭兵に頼らなければならないほどの貧弱さだったのだ。だからこそ僅かな革命の気配にも異常なまでに恐怖したカダフィ政権は秘密警察による抹殺、虐殺の日々だった。
カダフィが逃亡した際の車列は各国が衛生で捕捉していたはず。カダフィがリンチをされて殺される前にNATO軍だろうがアメリカ軍だろうが散々リビアの裏で暗躍していたフランス軍だろうが駆けつけてカダフィを生きたまま拘束できたはずだ。大袈裟に言っているわけではない。先進国の特殊部隊が現地で待機していて衛生で全て捕捉している対象の保護(拘束)に駆けつける時間は長くとも十数分といったところだ。普段はアッという間にヘリが飛んできて対象者を保護なり逮捕・拘束するなりしている国々がカダフィの件では動かなかった。いつもと違う。何度も見たことがある。紛争地域でいわゆる小物を捕まえるときでさえ、気がついたらやってきていた特殊部隊が数分で状況を一変させてアッという間に去って行くのを。なんでか今回はそのすぐに駆けつける部隊がどこにも見当たらなかった。カダフィにそこまで死んで欲しかったということか。
リビアでは本当にミサイルポッドでさえただの市販車の荷台に載せて撃つ。危険だという概念が無い人たちが多いのだ。要は知らないのだ。銃撃戦すらも経験が無い人たちが革命軍としていきなりバンバン撃ちあったのだ。その銃では暴発すると何度警告しても誰も止めようともしていなかった。暴発がどういう結果になるのかよく分かっていないのだ。そんな無知な人々が表向きは革命を起こしたということになっている。
違う違う。西側諸国が全てお膳立てしてリビア革命軍が勝利したかのように見せているだけ。本当においしいところを持っていって今後リビアを支配するのは西側諸国だ。革命軍の素人戦士たちがなるべく早くにそのことに気がついて彼等の主権を守ることを願う。今はなにを言ったところで全部カダフィが悪かったということになってしまう雰囲気だが、リビアが抱える問題はそんなに単純な話ではない。独裁者を倒すことは当然のことだ。ただし革命軍が利権を狙う強国に翻弄されるキッカケが独裁政権の崩壊では素直に支持ができない。
本当にどんな武器でも荷台に載せるのがリビア人だ。後先を考えているのならばミサイルを市販車の荷台に載せて発射しない。撃った方が死ぬ場合があるのだから。
荷台に武器を溶接する業者まで誕生していたリビア。本当に正気の沙汰とは思えなかったが大型のヘリ用のロケットランチャーを荷台に載せていた。撃ったら死ぬとは考えていないドライバー。そりゃちゃんと撃てるときもあるかもしれないが・・・・・。
そういう国だからといって強国が食いものにして良いはずがない。革命軍のトンデモ行動を見て、「(馬鹿だから)扱い易そうだ」と思っている豊かな国の政治家や官僚たちがいるのだろうがそうはさせない。リビアだろうが他の混乱中の国であろうが、徹底的に教育の機会を創出し、いずれはその国の国民が高度な学問を自国で修められる国にしていけばいいのだ。革命は独裁者が死んだから終わりではなく、その国が他国の思惑に振り回されないようになったときにやっと一息つくべきだ。
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