昨日、TBSの報道特集を見た。見たとは言うものの「ながら見」だったけれど。ほとんどPC画面を見つめながらの「ながら見」だった。ミジンコはテレビ画面だけを直視したことはほとんどないのでこれがいつものテレビを見るスタイル。
そういう見方だったのでそれほど集中して視聴していたわけではない「報道特集」だったけれど、それでも内容は大体は把握できた。テーマは「無期懲役の囚人たち」で刑務所内を積極的に取材していた。無期の判決を受けて収監されている囚人たちへのインタビューも沢山していた取材班。囚人たちに受けた刑罰を質問していた。VTRで流していないだけだったのかもしれないが、全ての囚人たちは自分たちの犯した犯罪を述べ、刑の名前を答えて、そして反省の弁・・・というよりも後悔を述べていた。
ところがナレーションで「刑務所から囚人への質問の際にどのような犯罪を犯したかについては触れないようにして欲しい」という旨の要請を受けたとのこと。囚人へのインタビューで確かに無期懲役になるであろう凶悪犯罪の数々について触れられていた。ミジンコが覚えている限りではインタビューに答えていた囚人の全てが殺人罪を含む死体遺棄や強姦を犯していた。死刑だと思っていたところで無期懲役になった囚人のインタビューもあった。死刑か無期かのギリギリのラインで刑務所で一生もしくは人生の大半を過ごすことになった囚人たちを追ったドキュメンタリーだ。
で、刑務所とはいったいどういう趣旨で税金で運用されている施設だろうか?囚人たちが外に出ないようにするために閉じ込めていくためだけの施設だっただろうか?そんな単純な施設では無かったはずだ。
罪を償う施設。例え無期懲役で一生出所できない囚人であろうが彼等が死ぬその時まで自らが犯した罪を反省していくための施設が刑務所のはずだ。
ところがどうしたことか、刑務所、しかも無期懲役刑を受けた凶悪犯たちを収監している刑務所が、取材班に囚人の感情を考慮して「犯した罪」を質問しないで欲しいと申し出たのだ。これはおかしい。囚人たちが自らが犯した罪を思い出せないようにと刑務所が促している。そりゃ囚人は自分の罪を思い返すたびに後悔し落ち込み平静にはいられないのだろう。それこそが刑罰のはずでは?
囚人が犯した罪を思い出さないようになったらお終いだ。そうなっては刑務所とはただの危険人物たちの隔離施設となってしまう。もし現実がそうなのだとしたら死刑廃止論についても結論が出る。囚人、ましてや人の命を奪った無期懲役囚が贖罪をしないのであればそれは即ち更生の機会云々の話どころではない。なんのために収監しているのか、その根底から崩れてしまう。
本当に残念な刑務所の取材班への要請だった。刑務所が囚人が罪を思い出す機会を奪っているとさえ言える。例え苦しかろうが気が狂いそうになろうが殺人犯が殺人について思い出さない日なんてことがあってはならないはずだ。罪を忘れてどうやって反省するのか?なんの為の無期懲役なのか?日本の刑務所はどこもそんな考えなのだろうか?その報道特集の取材班も刑務所の要請に違和感を感じたが故のナレーションでの説明だったのだろう。もし自分が殺人事件の犠牲者だったとしたら。その殺人犯が自分のことはなるべく思い出さないように工夫している刑務所なんて冗談じゃない。むしろ刑務所は毎朝毎晩、囚人が犯した罪を思い出すようにするべきだ。
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