余りに荒唐無稽なことなのでずっと腹に据えかねていることがある。TPP参加の是非についての議論で頻繁にTPP参加に反対している経済学者や政治家、はたまた一般の人々のブログやツイートで飛び出すこれらの言葉→ 「日本がTPPに参加したら日本の医療制度は崩壊する」や「国民皆保険制度がアメリカの保険会社によって滅茶苦茶にされる」などなど。
それはどこの誰から聞いた話なのだろう?何時何分何十秒に誰ちゃんから聞いたのん?それ言ってた人って何者?予言者?ノストラダムスみたいな人?
・・・・・と茶化して訊きたくなるほど、その根拠がオバケみたいに実態が見えてこない。
えっと、TPPに参加すると日本の医療制度がダメになるってどういう論理?バタフライエフェクトみたいに最初のきっかけ(TPP参加)がなにかしらの事象に影響を与え、ドミノ倒しのように最終的には・・・って話?
本当に皆さんには注意して欲しい。確かに一瞬聞いただけでは「TPPで日本の医療は崩壊する!」を「え~、そうなんだ~」と納得してしまいそうになる。
では、「なんで?」と疑ってみると、その説になんの根拠もなく、分析ではなく予言レベルの推察だということが見えてくる。
ストレートにつなげて見て欲しい。
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アメリカの保険会社が日本国内でも営業を仕掛けてくる。
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日本の国民皆保険が崩壊する。
なんなんだ、この説は・・・・・(汗)
アメリカの保険会社が嫌ならば国民皆保険制度に加入したまま日本の医療を受ければいいじゃないか!なんで?なぜなの?アメリカの保険会社の営業を断れない人たちなの?
勿論、「アメリカの保険会社が日本に進出して・・・・」から始まるTPP反対論者たちのトンデモプロセスくらいは内容は把握している。でも結局は上記の1と2の流れってことじゃないか!なんでアメリカの保険会社が来たからといって日本で日本人が安く入れて低所得者に非情に優しい保険制度を諦めてまでアメリカの保険制度に入ると決めつけている人たちがいるのだろう?アメリカの保険に入らなきゃいいじゃねーかよ!
なんともTPPも一度入ったら抜けられないと嘘の国際常識を用いてTPP反対を唱えている人々はいつもこういう思考回路で恐ろしい。アミダクジとかできるのかな、こういう人たちって・・・・・。アメリカなんて京都議定書は抜けるわ、後から後から明らかに日本の輸出潰しで関税かけてくるわ・・・・少しはアメリカ人の図々しさを見本にしなくてもいいから知っておいて欲しい。
むしろオバマなんて国民皆保険制度が素晴らしいと考えて政策の柱にしている。それでオバマが支持率を著しく落としたのはご存知だろうか?なぜか?国民皆保険制度は平等な制度ではないから。
要は誰かが誰かの負担をしている制度なんだ。もっとはっきり言ってしまえば、高額所得者が低所得な人々の医療費を負担している制度。働ける若者から中年がシルバー世代を支えて自分たちが病院に行く暇がないって制度。違うだろうか?現実はこれだ。なんでその手術が安くできたのか?手術していない人たちが圧倒的多数だからだってば!全員が仕事からリタイアしていて長期入院が必要な国家だったら国民皆保険制度なんて成り立つわけがないんだってば!もっと言えば、ずっと国民皆保険を支えていた人たちが支えた分(払った分)だけ使わないまま亡くなっていること(ほとんど医療を受けないまま天寿をまっとう、事故死、急な病死など)が制度を支えている。とても言い難いことだけれどこれが現実じゃないか!
ちなみに生活保護の話題をこのブログで取り上げるといつも医療従事者の方々から「よくぞ言ってくれました!」的なメッセージをいただく。それも沢山。日本の医療機関のお得意さんは市区町村の役所なのだ。生活保護受給者も医療は完璧に受けられるからだ。つまりそういうこと。
で、なんでアメリカ人の多くが国民皆保険を推進しようとしているオバマを嫌い始めたかということ、まさに制度がフェアではないから。上に挙げた話を納得できる労働者ばかりではないということ。この言葉は好きではないが「払い損」だと感じたアメリカ人たちがいるってこと。それが国民皆保険ってこと。そりゃそうだ。ここをご覧の過去何年にも渡って医療をほとんど受けていないサラリーマンや事業主の皆さん、払った分だけの医療を受けていますか?って話。それでも払おう、だから政治に文句を言う権利があると考えるのがミジンコ。しかし、アメリカ人だって日々の生活での節約などを考えたら、今ある「保険会社の枠内に入った人だけ助けますよ」と一見非人道的な制度をフェアに感じる場合だってあるってこと。払った人たちだけでの互助制度の方が納得できる人たちの考えは同意はできないけれど理解はできる。金融危機で保険会社と会員たちが真っ青になったときには無様なものだったけれど。資金を上手く運用できないと地獄行きなのがアメリカの保険制度。まるで綱渡り。
さて、日本の国民皆保険を辞退してまでアメリカの保険会社を選択するという奇特な方々はどの位いるだろうか?
有り得る事態としては高額な医療費を負担してでも先進医療を受けたいという患者にはアメリカの医療は最適かもしれない。日本人としては悲しい話ではあるが、「手術はアメリカ人医師に依頼したい」なんて患者やその家族は現れるかもしれない。それはそれで日本人の患者の選択の幅が増えているということで喜ぶべきことではないだろうか?日本医師会という医師であればなんでもかんでも保護しようとする組織はそういう状況を喜ばないかもしれないが患者からしてみれば「どの組織に所属している医師か?」はさほど重要ではなく「どういう技量の医師か?」が気になるところだろう。扱っている症例数が圧倒的に多いアメリカ人医師が日本に来ることがそんなに日本にとって不幸なことだろうか?だからミジンコは若手医師たちに耳にタコができるくらい症例数を積み上げろとずっと以前から言い続けている。日本も今後は医師のランク付けが公になされる時代となり、海外の医師たちともしのぎを削るようになると見ているからだ。
その医師たちがしのぎを削るという時代、果たして日本のデキる医師たちにとって不幸なことだろうか?否!
先ず、日本人医師でも評価の高い医師たちの年収は上昇するはずだ。日本の医療が海外との競争となれば、今までなかなか海外では評価をされていなかった医師たちが引く手あまたとなることだろう。現にアメリカなどでも日本のゴッドハンドたちは大活躍中だ。アメリカ出身の日系アメリカ人という意味ではない。日本で医師として活躍した後にアメリカに渡ったり、日米を行ったり来たりしている医師たちのアメリカでの評価は総じてすこぶる高い。要は腕が良いのだ。信頼されているのだ。実績を残しているのだ。
アメリカからの最先端の医療技術にはライセンス料が発生する。技術特許というわけだ。これは日本にとってはチャンスだ。逆に日本のゴッドハンドたちが編み出している医療技術の数々をライセンス販売ができるということになる。更にやり方を買ったところで、精神力と器用さの両面でその術式や器具操作はできる医師とできない医師に分かれる。その状況でも日本の医師たちの真価が発揮されることだろう。ミジンコは既に半ば確信している。日本の医師たちはTPP市場で引く手あまたとなることだろう。
病気のときには藁をも掴む気持ちになる。日本の医療が現状その「溺れる者たち」を完璧に救っているだろうか?断じてそうは思えない。そんな時にTPPのおかげで日本では今のところ受けられない最先端の医療を受けられるチャンスが生じたらどんな気持ちになるだろうか?ミジンコだったらその可能性に賭ける。元々、ミジンコの場合はアメリカで医療を受けることができる環境にある。素直に言ってしまえば日本だけで生活している時よりも医療の選択肢があるので安心だ。そんな環境を日本に住んでいる日本人たちも手に入れることができるのであれば、是非ともそうなって欲しいと常々思っている。
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