民主党の階猛(しな たけし)議員が仕分け人として発言した内容が聞き捨てならない。
「政策仕分け」が大学の未来にメス?(MBSニュース)
20日から始まった政府の新しい事業仕分け。今回は政策に関して提言する仕分けということで、扱うテーマも大きいのが特徴です。21日は大学改革が議題となりましたが、果たしてどのように切り込んだのでしょうか。
「失敗は素直に認めたほうがいい」(仕分け人 階 猛 衆院議員)
21日、仕分け人が失敗と指摘したもの。それは先日、計算速度世界一の座を守ったばかりのスーパーコンピューター「京」です。
仕分け人によりますと、「京」は計算能力こそ世界一ですが、当初目指していた「異なる計算技術を統合させた計算機をつくる」という目標を達していないのだといいます。
「失敗とお認めにならないんですか?」(仕分け人 階 猛 衆院議員)
「初期に目指した形態を達成できなかったということは言える。一定期間に10ペタ(=1京)を達成してリンパック(性能計測)1位は達成した」(文科省の担当者)
「また来年更新されますよ、世界一は。結局、皆さんがやったことはそれほど意味があったことなのかどうか」(仕分け人 階 猛 衆院議員)
(後略)
本当に民主党にはこういう議員しかいないのか!?
階議員のキャリアを見ると岩手一区選出。元長銀の社員でサラリーマン時代に司法試験に合格している。東大は二浪した後に入学しているのでコツコツ型の根性の人なのかもしれない。小沢グループに属し、石川知裕代議士の逮捕を考える会に参加している。政務官が会の活動に参加していることを追及した自民党の西田昌司議員の指摘に対して政府の人間として誤解を招く行動であり自粛すべきだったとして陳謝している。そりゃそうだろう。政府の人間が検察の議員逮捕・起訴についての活動に対して異議を唱えるなど言語道断だ。そんなことが平気で行われる日本はもう独裁国家に片足つっ込んでいるようなものだ。
さて、京が失敗だったという階議員の追及についてだが・・・・・・
もう余りのモノ言いに呆れ果てる。京のどこが失敗だというのか?初期設計と異なる仕様になったら演算能力が世界最速でも失敗だったとするこの議員の思考回路はどうなっているんだ?
つっこむのもバカバカしい話なのだが、階議員の言う「異なる計算技術を統合させた計算機をつくるという目標」が目標だったことなどただの1度も無い。京の話でそんな目標はただの1度も目標などになったことは無いはずだ。ベクター型とスカラー型を統合させるプラットフォームの話をしているのだろうか?正直、余りにも意味不明な指摘なので階議員の指摘自体が曖昧なのだが、異なる計算技術を統合させるという途方もなく複雑な設計はスパコンの開発競争、すなわち演算能力の競争で考えれば足枷にしかならないのだから、むしろその当初の仕様を変更した京開発陣の英断だったと言える。
より良い選択肢を選んでも失敗とされてしまうのでは開発者たちの立つ瀬がない。この階議員のはじめに追及ありきの追及には文科相の官僚もよくぞ堪えたと思う。
そして階議員の許し難い発言が↓これ。
「また来年更新されますよ、世界一は。結局、皆さんがやったことはそれほど意味があったことなのかどうか」
階議員はいつか追い越される競争では世界一になったところで意味がないと言っているのだ。
ふざけんなっ!!!!!
だったら記録が更新される競技は全て意味がないということになってしまう。そうじゃないだろうに!その時点で1位であることには大きな意味があるじゃないか!
そもそもこの階議員は他の仕分け人の多くと同様にしてスパコンがなぜ1位を目指さなければならないのか、その本質を理解していないようだ。例の
蓮舫の「2位じゃダメなんですか?発言」を受けて、あれだけノーベル賞受賞者のお歴々を含めた日本が世界に誇る科学者たちがスパコン開発の必要性を訴えたというのに、民主党の仕分け人はそれを全く理解していない。勉強する気がないのならば仕分け人をやるんじゃない!
記録はいつかは抜かれるものだ。そうだからといって1位を目指さない、1位になっても意味がないという考えは余りにも愚かだ。
将来は抜かれるであろう記録でも、その時点で達成した記録には大きな意味がある。一朝一夕には樹立できない記録ならば尚更だ。スパコンの技術開発はまさにそれ。開発を止めて何年も経ってからまた1位を狙えるような簡単な技術ではない。1年間、計画を止めただけで致命的なほど過酷な競争なのだ。だからこそ、スパコン栄えて国栄えるなのだ。いい加減に仕分け人たちはスパコン開発を隙あらば邪魔して日本の足をひっぱるのは止めろ!
大体、「将来は〇〇〇なのだから意味がない」というネガティブな発想を政治家がしていることが情けない。それを言ってしまうのならば、どうせ民主党政権もあと2年弱の命であり、民主党の政治家たちも落選するのだろうから今すぐ解散総選挙をするべきであるし、どうせ落選する政治家は今すぐに辞職するべきだとも言える。こちらのほうがスパコンがどうせ抜かれるのだから意味が無いとする論理よりもよほど日本にとってはメリットが大きい。
民主党の思惑がハズレたということも、今回再びスパコン叩きが始まったことに起因するのだろう。要は、民主党はまさかこれだけ足を引っ張った「京」が世界1位を連覇するなどと予想しなかったと思われる。米・中のどちらかのスパコンに完膚無きまでの差をつけられる日本のスパコンという未来図があったのではないかと、今までの民主党の執拗なスパコン叩きを見るに疑いたくもなる。
米国立スーパーコンピューター応用研究所、イリノイ大学、IBMが共同開発を進めていた
BlueWatersは、開発の難しさと当初予定以上の開発費を懸念したIBMが計画から降りた。それでもアメリカでは次々と次世代型スパコン開発計画が浮上しており、さすがに米国でスパコン開発を無駄扱いする愚かな有力議員は見当たらない。
中国は相変わらずの中国だ。スパコン開発では日・米・中が上位争いをしているようには見えるが中国のスパコンには中国独自の技術が皆無だ。中国のスパコン・天河1号は独創性がまったくなく、主要パーツは海外製(米国製)だ。他国のCPU開発などが進まない限り中国製スパコンも進化できないのが現状だ。まぁ、勿論、演算処理装置をつなげてつなげてつなげて~~ってな力技での処理能力UPはできるっちゃできるので今後も中国はその方向だろう。勿論、イヤミだ。
「京」がここまでの結果を出したことは、2年前の仕分け作業の際には民主党にとっては予想できなかったことなのだろう。
階議員は「また来年更新されますよ、世界一は。結局、皆さんがやったことはそれほど意味があったことなのかどうか」と皆さん(「京」の開発者の皆さん)に向けて言い放った。本当にスパコン開発競争というものを理解していない愚かな発言だ。
当たり前のことではあるが、このブログでは敢えて言いたい。皆さん、そう「京」の開発者の皆さんのやったことには大きな意味があったし今後も意味があり続ける。
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