ヤマト運輸からのご挨拶より
東日本大震災の被災地の水産業・農業の再生と生活基盤の復興に向けて「宅急便1個につき10円を寄付する」という私たちの活動は、3月31日をもって終了し、寄付金の合計は約142億3,600万円になりました。
宅急便をご利用いただいたすべてのお客様に心から感謝いたします。
こういう寄付の集め方、いや実際には募金活動ではなくてヤマト運輸が本来は同社の利益になる部分を寄付金に充てているわけなのだけれど、ともかくこういうやり方はとても受け入れやすい寄付のカタチだ。誰かがが過度に負担するわけでもなく、それでもヤマト運輸のように事業規模が大きな企業がこういう活動をすると約1年で142億円以上もの震災復興のための資金が調達できたわけだ。これは素直に拍手喝采だ。
ヤマト運輸も利益の一部を自社ではなく被災地に譲ることとなったわけだけれど、同社のイメージアップにもこの活動は大きく貢献したであろうし、節税にもなったはずだから142億円とまではいかないだろうが得るものは大きかったはずだ。大企業(グローバル企業)が社のイメージアップを1%UPさせるための広告戦略費は大体30億円とか聞いたことがある。これは非常に曖昧な数字で300億円をかけたからといって企業への好感度が簡単に10%も上がらないというのはミジンコの実感としてある。そんなに簡単な話ではないのだ。ヤマト運輸が震災復興よりもイメージ戦略を狙ったわけではないだろうが結果的にヤマト運輸の好感度は大きく上がったはずだ。こういう誰も損をしていない寄付が素晴らしい。
ファンから莫大な寄付金を預かった挙句に後からパンダの誘致に使うと発表して大ブーイングを受けたジャニーズ事務所とはえらい違いだ。そもそも企業というものは社会があってこそ望むような利益が上げられている。だからこそ企業は社会に還元するべきなのだ。これはもう義務とも言える。紛争が起きていたり、治安が最低の社会では企業活動はままならず、利益を上げることも非常に難しくなる。軍事産業でもない限りは、平和で秩序ある社会だからこそ企業は成長できる。このヤマト運輸のような寄付のあり方こそが企業が社会に成長させてもらった恩返しとしての模範解答のようなものだ。
宅配便1個につき10円も寄付とは思い切ったことをヤマト運輸もしたものだ。宅急便1個10円分のコスト削減には今まで尋常ではない努力が積み重ねられてきたことだろう。その努力の結晶1年分をヤマト運輸はまるごと被災地支援にまわしたということになる。さすがにどんな場所にも、時には配送車のタイヤをキャタピラーに改造してまで届けるだけのことはある。採算を考えればできないようなこともヤマト運輸はやってきた。月への移住やスペースコロニーが完成した暁にもクロネコのロゴをその地で必ず見かけることだろう。
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