この件を語ると本1冊が書けるくらいになってしまう。ブログの記事なのでなるべく単刀直入かつ端的に述べたい。詳細を調べる作業は皆さんに丸投げになってしまうけれどご容赦願いたい。なにしろ列挙できる事例が万をゆうに超えると思われることなので。
よく消費税のパーセンテージが語られるときに「海外では何%」という意見を見聞きしないだろうか?要は諸外国、アメリカの場合は州ごとになるけれど、そういった日本以外の消費税の方がもっと税率が高いという話。ある意味では日本は消費税率が低いのだからもっと上げるべきだとも取れる意見について大きな違和感を感じる。今年だけでも二十数ヶ国に滞在し、それらの国で仕事をしたり友人も数多くいるミジンコの意見を信じていただける人たちも多いかと思ったので記事にしたい。
消費税率が高い国はそりゃ沢山ある。日本の5%は凄く低いというのもパーセンテージだけ見ればその通りだ。
しかしながら国ごとの国民の生活の実情がまったく異なるというのに消費税率だけ見て高い低いということは間違っている。日本はなんでも高いのだ。日本で庭付きの家がいったいいくらするだろうか?勿論のこと、場所によって価格は変わるわけだが通勤圏内で駐車場付きの一戸建ては会社員には人生最大の買い物だ。アメリカでも欧州でもBRICSでだってそりゃ家の購入は人生最大級の買い物ではあるがローンを一生払うというほどの買い物にはならない。ケース・バイ・ケースとはいえ、例えば2,000万円で駐車場2台付きプール付きでバスルームが複数あるような家が2,000万円なんていうカリフォルニアの住民にしてみれば最大級の買い物にかける負担が少ない分で生活雑貨を買う余裕が生涯に渡って日本人よりもあるのだ。先日、自分の地元であるお世辞にも発展しているとはいえない東小金井の駅前でマンションのチラシを配っている大手不動産会社の営業マンと少し話をした。チラシに載っている失礼ながら広いとは言えない物件の数々の価格は3,500万円~6,000万円だった。正直いって「あの場所で6,000万?」と思った物件があった。駅から近くもなかった。日本の不動産は本当に高い。ちなみにカリフォルニアでは5,000万円の物件は日本人の感覚からすると豪邸に見える。田園調布に並ぶような豪邸の数々はカリフォルニアでは5,000万円かそれ以下なのだ。
アメリカだけの話ではない。消費税率が高いとはいえ、不動産が日本よりもずっと安い国は多い。この最大級の買い物である家についての負担が数千万円単位の差があるのだとしたら、日本人が納めている5%は至極妥当な消費税率だとは感じないだろうか?
更に燃料費ではどうだろう?日本のガソリンはとてつもなく高い。灯油もとても高い。なにしろガソリンなどに妙な税がかけられておりその税が廃止になるはずがゾンビのごとく復活させた政府がいるのだから。ガソリン値下げ隊などと称していた政党が与党になった途端に「そんなことありましたっけ、ウフフ」なのだ。これだけでも暴動が起きる国もあることだろう。
大体、アメリカでいえば燃料のタイプにもよるが日本の1/3くらいの感覚。ガソリンが安いのでクルマでの移動での出費も精神的苦痛も少なくて済む。精神的苦痛というと大袈裟に聞こえるかもしれないが、日本でずっと3ナンバーのハイオクしか受け付けないクルマに乗っていた頃「ハイオク満タンで」と言えば一万円札で支払ってもお釣りは僅かで「満タンにするたびにCDアルバム2~3枚を買えたなぁ・・・・」という感覚だった。今はもっと大変なことだろう。
灯油もとんでもなく高い。昨年は「18Lで1,380円」と灯油販売の巡回車がアナウンスしていてもうイヤになった。18Lなんてすぐに使い切ってしまう量だ。その度に1,380円とは酷い。一方、アメリカでも欧州でもボイラーから家中に通したパイプで家全体を暖める方式が普及している。ボイラーに使う燃料が日本よりもずっと安いからこその普及だ。日本みたいに灯油が高かったらさすがに今のように普及していないと思う。住人が凍死か破産かになってしまう場合すらあるだろう。
生涯に負担する燃料費が数百万円いや下手をすると一千万円以上高い(安い)としたらどうだろう?だいぶ人生設計が変わってきやしないだろうか?
日本は世界有数に燃料費負担が厳しい国だ。消費税くらい低く抑えてくれてもバチは当たらないだろうに。
更に消耗品はどうだろう?生活雑貨などだ。単品の価格だけ見ればアメリカなどの先進国も消耗品は高い。しかしながらアメリカの場合はまとめ買いでコスト負担が大幅に減る。日本にもコストコが進出しているので利用された方々ならばご理解いただけるかと。まぁ、それは百歩譲って日本でも工夫次第としても、「この国はこれは安い!」と言い切れるものが本当に少ない国が日本だと思う。なにが日本は安いだろうと考えてみるに、水道水がどこでも飲料水として利用可能なところで(正確にはそうではないが)無料で水が飲めるということはあるとは思う。別に主食の米が格安なわけでもない。衣類が安いわけでもない。高速道路ではお金を取られる。高速道路の建造にもお金を負担したのにその後も非常に高い通行料を取られている。首都高の料金なんて日本人が暴動を起こさない民族である証明だ(苦笑)
学費はどうだろう?これも安いとは言えない。子供を大卒まで育てるためにかかる費用は莫大だ。学費については日本よりも高い国が数多くあるわけなのだけれど、だからといって日本だって安いわけじゃない。資金的に余裕で子供を大学に行かせている家庭なんてそうは多くないはずだ。
総じて生きるためのコストがとても厳しいのが日本という国なのだ。家も高い。燃料も高い。消耗品も高い。高速道路に乗ったら料金が発生する国なのだ。そして学費、教育費も別に国が全面的に負担するわけでもない。ああ、そういえば、政権与党は朝鮮学校の無償化には尽力していたが・・・・・。
消費税だけの税率を見れば日本の5%はそれほど高くないように見えてしまうかもしれないが他の生きて行くためのコスト負担が総じて高い国なのだからむしろ5%でも高いくらいなのだ。そこにはまったく触れないで野田政権も自民党もまるで政治家の当然の権利かのごとく消費税増税に動いている。政治の傲慢さの表れだ。
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