店の内側からスロープのない階段に進む車椅子の男性が見えた。手助けに行こうかと思ったらダッシュで後ろから駆けつけた息子さんらしき子供。慣れた感じで階段を登る二人。バリアフリーにするべき場所ではあるけれどバリアフリー工事の前に自ら解決しているタフガイ二人に乾杯。
勿論、この親子に甘えてバリアフリーを遅らせるなんてことは言語道断。ただ、現実問題として世界中の全ての場所をバリアフリーにするには予算も時間も天文学的なものとなるのも事実。障害を持つ人々とそれを納税というかたちで支える人々が「バリアフリーにすぐしろ!」「いやすぐは無理だ!」「予算がない!」といった論争に終始するのではなく、お互いの歩み寄りがなにより必要なのだと思う。この親子のように文句を言うわけでもなく努力(協力)して、まだバリアフリーではない社会ではあっても、その社会に歩み寄ってくれれば、むしろこういう場所に積極的に税金を投入してこの親子が1度もなにかにつっかえることなく買い物なり散歩なりが自由にできる社会は税というコスト負担があろうともまんざら悪いものでもないと思うのが人情というものだ。
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