奇跡のような偶然って本当にあるらしい。大人気シリーズ「ワイルドスピード」の新作である「ワイルドスピード ユーロミッション」が公開中の今、「スピードMAX WILD MISSION」が絶賛レンタル中なのである。「ワイルドスピード」の4作目の邦題は「MAX」、そして5作目は「MEGA MAX」。今公開中のは前述のとおり「ユーロミッション」、それらのタイトルと惑星直列くらいの確率で偶然一致してしまったのがこの作品のタイトルなのだろう。「スピード」と「MAX」と「WILD」と「MISSION」とテンコ盛りでお得感がある。
これが日本語版パッケージ。勿論、この女性もこんな高そうなクルマも出てこない。しかしながらカーナンバーの57だけは作品のとおりだ。ひとつでも正確なところがあるのは凄いことだ。普通はこういう系統の作品のパッケージで作品中と同じことが表現されているなんてことは1箇所もない。まさかパッケージを描いた職人は作品を観たのだろうか?い、いや、そんなことが有り得るわけがない。ということはこの絵描きはエスパーだ。きっとそうだ。
これが実際の主人公のレーサー。普段はリムジンの運転手をしている。確かにこの主人公をパッケージに出したところで年に3人レンタルすれば良いほうだろう。パッケージだけファンタジーにしてしまう日本の配給会社の苦労も分かる。でもレンタル料を返せコノヤロウ。
このリムジン運転手な主人公、安全運転をしていたらイヤミな客にもっとスピードを出せと言われその通りにしたら警察にキップを切られて300ドルの罰金となる不運の男。基本的に常に不幸な感じ。
そして物語は常にお金の話。クルマの修理代を払うメドが無いのにレースはしたいという若干痛い生き方が彼の人生を破綻させている。とりあえず離婚、借金、友人無しと悪い方で全て揃っている。息子を動物園に連れていくよりも自分のレース車の修理を優先するのは父親としてどうかと思った。日本でも最大野党の元幹事長が娘の運動会よりも不倫旅行を優先していたりもするので日米どこにでもクズヤロウはいるってことだ。
1時間20分の作品中、ほとんどが金の話。具体的にはいかにお金がないのにクルマの修理費をどうするかという話題や離婚した妻と子供への養育費や家賃の話。レースに関する話よりも借金苦の話が9割。たまにレースシーンもあるのだがそれがまたハラハラもドキドキもしないフツーーーーーな地方レース。どこに「WILD MISSION」があったのかは最後まで観たが分からない。一応ハッピーエンドではあるのだ。この冴えないおっさんは地方レースで優勝してなんとあのデイトナ500への出場を3週間後に果たすらしい。原題「
3 WEEKS TO DAYTONA」を直訳すると「デイトナ500まであと3週間」なのだが、そのタイトルからして最初から主人公が勝つことが想像できてしまう親切設計。タイトルがネタバレとかなかなか斬新だ。
借金まみれで家庭よりもレースを優先してきたダメ親父なのだが息子はかなり賢い。そんな賢い息子はずっと父親と約束していた動物園に到着するや否や、デイトナ500まで時間がないので父親をレースに集中させるべくすぐに動物園をすぐに後にすることを選ぶのだ。そんな息子の言われるがままにレース車の調整に向かう父親。そこは人生で1日くらい息子のために使うべきところだろう。息子は父親を選べない。
[9回]
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