賛否両論、ワーワーギャーギャー、日本テレビのバラエティー番組「世界の果てまでイッテQ!」の企画であるイモトアヤコの登山についてはここ2年ほど議論の的だ。国内では登山ブームのようなものが起きてた後の問題、つまりはブームのようになってしまったが故に激増した安易でマナーの悪い登山者たちへの以前からの登山者たちの怒りのボルテージが上がっているところで登山の素人だった女芸人が次々と世界有数の山々を制覇していく状況はまさに火に油を注いだような感はある。一部の登山家だけだと信じたいのだが狭量で排他的で嫉妬深い登山家はいるのだろう。イモトが活躍すればするほど登山だけで生きている人々の立つ瀬がないという意見は前々からあるのは知っていた。それにしても以下のコメントは本当に酷い。本当にこれが登山関係者の弁なのだとしたら絶望的だ。
エベレストは無理!? 『イッテQ!』イモトアヤコの登山企画に賛否(ライブドアニュース メンズサイゾー)より一部抜粋:
「プロの登山家にしてみれば、イモトの存在は面白くないに決まっている。イモトのマナスル登頂は登山をサポートする『シェルパ』が13人もつき、業界で名の知られた一流のガイドや医師らが同行するなど、あまりにも豪華な陣容でした。費用も数千万から億のお金が使われた。もちろん、事故を防ぐためには当然の対策で一般的なプロの登山家とは別物なのですが、この番組のせいで、登頂に失敗した登山家が 『イモトでも登れたのに』などと言われたら立つ瀬がない。『素人の芸人でも登れる』となれば、登山家たちのスポンサー集めにも悪影響が出る。登山家たちは命を懸けてやっているのに、テレビ局が大金を注ぎ込んでお遊びをやられたらたまったものじゃないですよ。今のような演出で企画を放送するのであれば、ちゃんとフェアに登ってほしいという声が出るのも無理はない」(登山関係者)
フェアに登ってほしいとは一体なにを言っているのか?
イモト登山隊は別に不正をして数々の山を制覇したわけではない。ちゃんと登ったのだ。それは間違いない。
そもそもフェアとはなんなのか?山登りにフェアだとか反則だとか、そもそもマナーはあってもルールが決められているわけではない。唯一ルールがあるとすれば「ザイルを切るか否か」についてなのだがこれも意見が50年経っても分かれたままのようなものだ。後は山では全ては自己責任といったところだろうか?救助する側の命まで危険に晒す海抜7,000mを超えるような高所では救助をされないことに抗議をしないといった暗黙の了解だろうか。実際はそういう暗黙の了解もなかなか上手くは機能しないもので山の事故では結局は後になってから色々と論争になることも多々ある。
この登山関係者とやらの存在すら怪しい。本当にこんな愚痴をわざわざ雑誌の取材で言う登山関係者がいるとは思えないのだ。「フェアに登ってほしい」と誰が言ったのかが本当に気になる。潤沢な資金を背景にした
極地法を批判しているのだろうがそれは言いがかりも甚だしい。極地法については
このベストアンサーが大変分かりやすい。
登頂までにどんな手法を用いようがどれだけ資金があろうがどれだけの数シェルパがいようとも8,000m峰を登頂することは容易ではない。登山、特にアイスクライミングの技量は並大抵のものでは通用しない。体力だけではなく精神力も強靭でないととてももたない。いつ命を失ってもおかしくない場所が8,000m、デスゾーンだ。
シェルパを何名雇用しようがどれだけ一流の山岳ガイドについてもらおうがどれだけ資金力があろうとも8,000m峰から生きて戻ってきたことだけでも凄いことなのだ。イモト批判をしているという登山関係者とやらの登山経験すら怪しいのだ。特に今回のマナスルはフェアだとかそういう観点で語れるような場所じゃないのだ。マナスルにチャレンジした登山家は全て経験豊富なエキスパートたちだった。それでも約5人に1人は命を落としている山がマナスルだ。
シェルパを沢山雇ったことに批判を浴びせている点も山岳関係者とは思えない。シェルパ族への感謝を忘れないことがヒマラヤ登山家たちの絶対だ。ヒマラヤ登山があってこそ今のシェルパ族の貴重な現金収入となっている事実は否めない。シェルパにその仕事に見合った報酬を支払うこと、そしてなるべく多くを雇いシェルパ族の収入が途絶えないようにすることは推奨されこそすれ批判されることではないはずだ。シェルパを多く雇って、それをフェアじゃないとする批判を初めて見た。
資金が潤沢なことも批判の対象になるはずもないのだ。むしろ資金集めに苦労して低予算で無理矢理にでも山に行く登山家のほうが危険なことをしているわけで批判されるべきだ。それにこう言ってはなんだが資金集めも登山家の仕事の内だ。資金繰りに困窮している登山家が潤沢な資金を準備できた登山隊を批判することは筋違いであり恥ずかしい行為だ。
それとイモト批判をしている筋に感じることなのだがイモトアヤコのアルピニストとしての能力を理解していないのではないだろうか?確かに技術的には映像を見る限りでもまだまだ未熟な部分は感じる。経験豊富なミジンコの方がアイスクライミングは上手かもしれない。が!問題は「どこで」やっているのかなのだ。マッターホルンのイモトも凄かったが今回のマナスルのイモトのクライミングも凄かった。上手くはないが凄いのだ。全然へこたれておらず、上に上に行けるあの精神力にはたまげた。恐らくイモト批判をしているという登山関係者たちの誰もイモトのレベルまでに達していない。練習用のボルダリングの壁を登るのとはわけが違う。イモトがチャレンジしたオランダの屋外ボルダリング施設はミジンコも登ったことがあるがあれもはっきり言って山とは違う。ヒマラヤの山、つまり雪崩ひとつで隊が全滅するような環境でもグイグイ登れる精神力が凄まじいのだ。実際に昨年9月にマナスルは一気に12名の命を奪っている。同じことがいつ起きてもおかしくない状況でのクライミングは登山のエキスパートの中でもできる・できないの差が出る。イモトはできたのだ。
ここまでイモトを誉めておいてミジンコは次の目標とされるエベレスト登頂は反対なのだ。マナスル登頂を果たした登山隊ならば成功の可能性は高いだろうが反対。山に取り憑かれているような登山家たちが行くべきところにテレビ番組の企画で無理に行って誰かが命を落としても後悔し切れないことだろう。ここでエベレストを断念したらミジンコは番組に拍手喝さいを贈る。登らない勇気も必要だ。成功の可能性が高くても諦める。これこそが山を愛する人々の正しい決断だ。
そうミジンコはエベレスト企画に反対なのだがここで取り上げた登山関係者とその周辺のイモト批判はナンセンスだと考えている。醜い嫉妬にしか見えないし、そもそも批判の内容がまったくもって正当性が無いからだ。大体、イモトが活躍したらスポンサー集めに苦労するような登山家ならばそもそもイモトがいなくてもスポンサー集めに苦労しているはずだ。自分の不甲斐無さをイモトにぶつけているだけで情けないし見苦しい。
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