困った。都知事選にそこそこの数の候補者が出馬表明していることは民主主義国家の首都である東京都知事選の状況としては歓迎すべきことだと思う。候補者が少数でしかも国政の与野党が相乗りするようなほぼ当選確実となる有力候補が最初からいる選挙戦よりも、ちゃんと候補者たちが政策を打ち出して他の候補者と建設的な舌戦を繰り広げて有権者にたくさんの判断材料を与える。これこそが民主主義では大切なことだと考えるからだ。
ところが冒頭で「困った」と述べたように候補者数こそ多いものの、どの候補者も都知事として適正を疑いたくなるような人物ばかりだ。猪瀬前都知事が出直し選挙をするものとばかり思っていたが辞任のみで民意を問う行為には移らなかったことが残念だ。都議会で都議たちは総じて猪瀬前都知事を叩いていたが自分たちも都政を停滞させていた。猪瀬前都知事の選挙前の軽率な行動やその後の釈明のいい加減さは批判されて然るべきではあるが、そのすべての結果を考慮した上で都知事を継続するべきか否かは都民が決めるべきことであって都議会や猪瀬前都知事でさえ決定するべきことでは無かった。勝手に辞めて良い仕事とそうではない職責があるということ。結局、都民は猪瀬前都知事を失い、次にはなんとも微妙な都知事候補者たちを迎えることとなった。なんとも皮肉なものだ。
どの候補者が最有力なのか判断に迷う。勿論、誰かは都知事になるわけなのだがどの候補者も東京オリンピック開催までどころか最初の任期を全うできるのかすらも怪しい。失言、不祥事、財政再建は手つかずのまま無茶苦茶な都政を行う可能性が高い候補者たちばかりだ。
細川護熙候補、総理大臣の職責を放り出した人物が芸術活動を経て75歳で再び政治の世界に戻って来ようとしている。後ろ盾の小泉元首相もそうなのだが「脱原発」と言えばいいと思っている典型的な老害だ。そりゃ脱原発はしたい。そんなことは国民の総意だろう。但し、すぐには無理だということも現実だ。代替エネルギー開発は今だ道半ばであり、火力発電所に必要となる燃料輸入のために毎年莫大な貿易赤字を累積していっては原発ゼロが実現する前に日本がもたない。納税者たちが死んでしまうということだ。朝日新聞記者時代に大金の入った財布を記者室で紛失した際に、「財布は買い直せば良い」という態度だったというこの生まれながらの資産家が景気回復もまだまだこれからの日本で原発ゼロを叫ぶ。悪い冗談のようだ。
原発をゼロにするに越したことはない。そんなことは誰だって分かっている。問題は不景気も人を殺すということだ。会社を続々と倒産させ、勤勉に生きる人々の生活を困窮させてまで達成するエネルギー政策って正しいことだろうか?十年以上前、当ブログの管理人であるミジンコが原発のリスクを懸念して代替エネルギー開発の推進を訴えていたときに、今、脱原発を訴えている政治家や候補者たちのただの一人も脱原発を訴えていなかった。そういった最近脱原発を訴え始めた人々のただの一人も代替エネルギーについての議論を行ったところで無知過ぎてミジンコと5分も会話が継続できないことだろう。最近やっと脱原発を言い出したからといって「脱原発をするな」とは言わない。だが、経済の仕組みを無視して脱原発は語らないでもらいたいものだ。脱原発をするための技術開発にも莫大な予算が必要だ。長年の貿易赤字で青息吐息となった日本がどこからその予算を捻出するというのか?増税、増税、また増税で脱原発しか方法がないじゃないか!今でさえ増税で辛い国民がほとんどだというのに、もはや税金のために困窮する国民ばかりとなる日本では夢も希望もない。そこに触れないで安易に脱原発を語るなどとは卑怯だ。原発はリスクはある。リスクはあっても稼働させ、その間に景気回復を実現して万が一のときにも原発に頼らないエネルギー政策に緩やかにシフトしていく、これしかまともな方法はないと断言できる。繰り返すが「まともな方法」だ。「今すぐ」の脱原発を唱える人々はその「まともな方法」どころかなんのアイデアもないまま、代替エネルギー開発の現状も知らず、しかし脱原発だけは叫ぶ。
自民党時代、更に言えばそれほど悪い政策とは思えなかった麻生政権を散々批判して党を飛び出した人物。その後の民主党政権誕生、すっかり見なくなった人物だ。
自分が総裁選に出たところで苦戦するような状況に陥っていたからといって自民党を逆恨みして自分が総理大臣になったら民主党から閣僚を7割も選びたいと述べるとは器が小さい。実際、この候補が総理大臣の可能性があったとは思えないが、仮に総理になっていたとして民主党から7割も閣僚を選んだ内閣がどういう事態になったのかは民主党政権を経験した今の日本人には容易に想像できることだろう。
自民党も情けない。自民党を散々かき回して離党した人物を支持する動きはどうかしている。勝てる候補に相乗りしようなどとは政権与党のやることか?独自候補を擁立できないようでは民主党を笑えない。
ちゃんと物事を分析して自分なりの見解をハッキリ述べる、その人間性は好きなタイプなのだが都知事選で国政分野の軍事関係の話ばかりなのはいかがなものか?都政でなにを行いたいのかを述べるべきであって国防の話をしたところで管轄が異なる。幕僚長だったキャリアは誇って良いとは思うのだが都政が先ず必要なのは財政再建だ。国防については防衛省と自衛隊に任せるべきだ。
そもそも保守だとか右だとか左だとか都知事選で議題に上がることに疑問だ。石原元都知事がこの候補者を支持表明しているし、数多くの保守系の著名人たちが支持しているようだが、保守だから盲目的に支持というのはおかしい。保守の代表格のような石原元都知事がどのくらい都の財政に負担を強いたのかを思い出すべきだ。保守的な発言で喜ぶ都民はいたようだがその真っ最中に都民の税金で巨大な銀行を作りずさんな管理で破綻させて莫大な財政負担を都民に強いている。保守だのなんだの言う以前に少なくとも赤字を出さない財政を行ってからだろうに。
今のところ、ミジンコは田母神俊雄候補に一票を投じることにしている。この候補者のすべてを信用していないし核武装論も断じて受け入れられないが単純に東京オリンピックまでの都内を標的としたテロ活動に対して毅然とした対応をすると期待していることが最大の理由。今、ソチでは世界中の民間軍事会社の精鋭部隊が集結している。ロシア軍が警備はしているものの、ロシア軍はそこまで各国のVIPに信用されていないからだ。かといってどの国の首脳もVIPもソチに自国の大規模な軍隊を連れていくわけにはいかない。ロシア軍がそれを求めていないし、そもそもそれをやってしまうとロシア軍の面子がつぶれるというくだらない理由があるからだ。そういう事情で元特殊部隊員たちで構成される民間軍事会社の警備員たちがソチで各国のVIPを警護し、不測の事態が起きたときにはすぐに退避できるようにと近場の空港の格納庫はすでに航空機でギッシリだとか。平和の祭典とはいうもののオリンピックとはテロを起こすには表現は悪いが絶好の場ということだ。そんなオリンピックの警備に関しては猪瀬前知事よりもむしろ田母神候補だと考える。
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