この21世紀にまだ侵略戦争が通じると思っている愚かな大統領がいる。ロシアのウラジミール・プーチン大統領だ。どうも西側の拒否反応が思ったよりも強かったのだろうか、クリミア半島の併合は無いと今更ながらに発表しているロシア政府。併合する予定はないのだから侵略は許せと?ふざけた態度だ。元々、ロシアがクリミア半島を併合する権利なんて微塵も存在しない。併合するか否かの選択肢なんてものは元々存在しない。勿論、ロシアが自国の都合でウクライナの領土に軍隊を侵攻させる権利もない。侵攻させたロシア軍6,000名について自衛の為の軍隊、つまり自衛団だと称しているロシア政府。これもまたふざけた物言いだ。ウクライナに攻撃されたわけでもないというのにクリミア半島の要所を全て抑えて、ウクライナ軍からは武器を押収しておいて「自衛」だと称しているのだ。強盗が民家どころか警察署に押しかけて警察官たちから全ての武器を奪い取っておいて「強盗の自衛のためだ!」と叫んでいる。
先日、ウクライナ出身の友人から何度も連絡があった。昨年、彼女が来日したときに会ったばかりだ。彼女はずっと以前にパリの市民権を得ており、10代の頃からパリ在住な彼女はモデル業で大成功をした後に女優業もこなしている。正直いってミジンコは彼女がウクライナ人だという認識も大してしていなかったが、彼女がウクライナ生まれであることを改めて実感した。もし有事の際にはミジンコの民間警備(軍事)会社を使ってウクライナ人たちが避難する手配ができないものかといった内容だった。「毎度あり!」とはならない。逃がす人数、警護する対象の数がいかに少なくとも個人で支払えるような予算では到底無理な話だった。彼女は支払うと言う。支払えるような金額ではないと答えた。それでも支払うという彼女。そもそもこちらのリスクが高過ぎて受けられない話だと伝えた。受けたらミジンコが取締役会で解任動議にかけられるような案件だ。彼女はこちらに迷惑はかけないと言った。彼女は自分の資産について話し、世界で活躍するウクライナ出身の同朋たちが今いかに動いているのかを力説した。確かに凄い話だった。ウクライナ人たちの血が流れてしまったらロシアも無事には済まないということだ。彼女のような資産もあり世界へのパイプもある有力者たちが外からもウクライナを守ろうとしていることを考えるとロシアはクリミア半島を手に入れられないどころかむしろ侵攻前よりも窮地に立たされるのだと確信した。
これらの写真はプーチン大統領が自分に不都合なことは報道しないいわゆる息のかかった記者たちを集めて行った記者会見の様子だ。
記者会見というよりはロシア版茶番だ。気になったのはプーチン大統領の焦燥感溢れる表情と覇気のない小声だった。なにかに怯えるかのような喋り方でいつものプーチン大統領らしくなかった。EUやアメリカがちらつかせる経済制裁が少しは効いたこともあるだろうし、G8から孤立するロシアにプーチン大統領は焦っていることもあるのだろう。そしてそれとは別の単純な不安があるのだと見ている。歴史を振り返ればすぐに分かる侵略国が毎度陥る泥沼だ。ロシアが全力を挙げて例えクリミア半島を焦土と化したところでクリミア半島はウクライナの領土なのだ。旧ソ連時代にアフガニスタンから撤退した悪夢が再びだ。チェチェン人たちが今ロシアにとってどういう存在なのか、ウクライナ人たちまでロシアに牙をむく民族となるのだ。ロシアの敵ばかりが増えている。ロシアは自らの暴力によりとことん恨まれて追い詰められる国家となってしまったのだ。今更になってプーチン大統領は「クリミア半島を併合するつもりがない」だの「軍を使う必要が無くなった」だのと言い訳を始めた。当初はクリミア半島を占領するつもりの侵攻とウクライナ軍幹部たちの懐柔策を行っていたというのに今更になって振り上げた拳の落としどころが無くなっているのだ。いっそその拳は自分の頭の上に落とせばいい。
「プーチンは地獄の扉開く」 露の「侵略」に怒りと恐怖 市民は徹底抗戦の構え (msn 産経ニュース)
↑このニュースの内容を見ればロシアが取り返しのつかないことしてしまったのだと良く理解できる。プーチン大統領は電撃的にクリミア半島を掌握する予定だったのだろうがそうはなっていない。皆さんもニュース映像で見ただろう。非武装のウクライナ兵士300名がロシア人数人が守る検問所にウクライナ国家を歌いながら行進していく姿を。威嚇射撃をするロシア兵士たちの方が怯えていた。検問所の近くの草むらにロシアの狙撃手たちが隠れていることをウクライナ兵士たちは知っていたはずだ。元々は旧ソ連時代には共に戦った兵士たちなのだ。お互いのやり方を知り尽くしている。自分たちが照準器に収められていることを知っていても行進を止めなかったウクライナ兵士たちは最初から映像を撮る取材陣たちを連れていた。近くにいたウクライナ市民たちが動画を撮影できるスマートフォンを所持していることも知っていた。あの300名の行進はロシア兵に撃たれなくてもウクライナの勝利であり、撃たれてしまったとしてもウクライナ人たちと世界の人々の怒りに火をつける結果となり結局はウクライナの勝利となったはずだ。最初からウクライナの勝ちなのだ。
このロシアの侵攻でロシアが得たものは僅かだ。国内のテレビなどでは評論家(?)たちがしきりにロシアの黒海でのプレゼンスがなんのと解説しているが侵攻前と侵攻後での差がどこにあるというのか?リース契約とはいえ元々使えていた軍港だ。黒海艦隊は元々使えていたのだからプレゼンスの強弱に変化は起きていない。むしろウクライナの恨みという負の要素が増えて黒海艦隊はリスクを負っただけだ。ウクライナにだって強力な海軍はある。就任1日で寝返った海軍司令官に全てのウクライナ兵が従うと思う方が図々しい。ロシアは侵攻前に比べてなにを得たのだろうか?せいぜいクリミア半島でリトアニア軍と共同使用していた空港を独占できたことだろうか?それも元々使えていた空港だ。
EU・アメリカが揃ってのウクライナへの巨額の支援策発表を行った。EUからは速報で1兆1,500億円とあった。これはウクライナがずっと求めていた経済支援の額に等しい。財政破綻を免れたウクライナはEU加盟に加速することだろう。ロシアがバックアップしていたあの金ピカ御殿を作ったヤヌコビッチ前政権は汚職に塗れていた。ヤヌコビッチ前大統領だけではなく閣僚が揃って大富豪のような贅沢三昧であり、それを支えていたのはロシアだ。そんな汚職政権を追い出してやっとウクライナ人のための政治をやりそうな政権が誕生したら、西側に近いという理由でロシアは軍事侵攻だ。愚かなのはプーチン大統領だ。負けたのはプーチン大統領だ。ウクライナのEU加盟を阻止したかったというのにそれを加速させる理由をロシア自らが作ったのだ。ウクライナ国民からしてみれば今回のロシアの侵攻により、ウクライナはEUに加盟することによるNATO軍や米軍の後ろ盾は絶対に必要なものとなったことだろう。
ウクライナの勝利は日本にとっても大事な歴史の刻印だ。侵略の脅威に晒されているのはウクライナだけではなく日本も同じだ。尖閣諸島を見ても竹島を見ても日本は常に侵略の脅威に晒されている。侵略した側が時間を要すれば正義となるような世界を絶対に許してはならない。今回のロシアのように侵略国が世界から糾弾され経済的にも軍事的にも得るものはなく失うものばかりだという前例を大歓迎するべきだ。
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