初めて当ブログをご覧になる方々には先に説明しておかなければならないことがある。当ブログの管理人は男であるということ。どんなテーマを語るにしろ、そこに筆者の性別は関係ないと言いたいところではあるけれど、現実は残念ながらそうとも限らない。女性差別問題を語る上で「まったく同じこと」を女性が述べた場合と当ブログの管理人のような性別が男である者が語るのとでは捉えられ方が異なってしまう場合があるのだ。本来はどのようなテーマであろうが男女平等な社会であるのならば、男女別によって発言の捉えられ方が異なる時点でおかしいわけなのだがなかなかそう簡単にはいかないのだ。そんな状況を踏まえても敢えて述べなければならない。「日本はそこまで女性を差別している国ですか?」と。
先ず先に述べておきたいことがある。塩村都議の外国特派員協会への会見には賛同しかねる。そんな会見が開かれたことを異国の地にて後から知ったが、そのような都議によるジャパン・ディスカウント(世界に向けて日本の評判をわざわざ下げるキャンペーン)への加担は看過できない。
勿論のこと、この塩村議員が議会で発せられた言葉の暴力の数々は酷いものだと認識している。現在、野次を飛ばされた側、つまり被害者である塩村議員の方が「上げて下げる」がお得意のマスコミの餌食になりつつある状況だ。ほとんど無名の都議であった塩村議員の過去のテレビ番組などでの言動にスポットライトが当たっているからだ。番組の台本通りという声も多いが、そもそも婚約破棄で慰謝料1,500万円だとか、交際中の男性に妊娠していると嘘をついた等、番組の演出だと言うには無理がある内容だ。ああいった下世話な内容しかないバラエティー番組でも出演者たちにアンケートを取り、そのアンケート内容に則って放送作家が台本を作るのだ。さすがに全てが事実無根だとしたらそれはそれで別の大問題発生だ。そんな塩村議員ではあるが都議会で受けた言葉の暴力に関しては完全に被害者であることには変わりがない。どんな過去があろうが結婚や出産をしていないことを非難される理由にはならない。これが当ブログの管理人(性別:男)の考え方なのではあるが、そこから外国特派員協会への会見を決断した姿勢は支持できない。
なぜ外国特派員協会での会見を支持しないのか?理由は単純明快だ。元々日本を蔑む機会を窺っている海外の記者たちにエサを提供することは日本にとって利がないからだ。日本のネガキャンが成功すれば利する国は数多いのだ。「日本ってこんな酷い国なんですよー!」と大声で世界に向けて発信すれば、自国の低品質な製品が日本製品のシェアに食い込めると目論む国は1国や2国じゃない。外交的にも日本の発言力が低下して欲しいと願っている国は数多いことだろう。
↓これが外国特派員協会に所属している記者たちなのだ。率直に言えば「敢えて驚いたフリをしている」といった印象を持った。日本に駐在して長い間日本の実情を取材してきたジャーナリズムのプロたちがあの都議会で起きたことが本当に日本の現状を表していることなのかどうかは本当は分かっているはずだ。
塩村議員の会見に出席した外国人記者たちの感想:
デンマーク紙・トーマス・デイビッドソン記者
「先進国の日本でこんなことが起きるなんて本当にびっくりした。50年前の話かと思った。2020年の東京五輪開催で注目を集める中、「日本の恥を世界にさらした。」
フランスのRTL放送のジョエル・ルジャンドル・小泉記者
「日本には男女平等の法律もあるのに、今だに社会が女性を不平等に扱っているということを示した。」
ドイツ人ジャーナリスト・ジークフリード・クニッテル氏
「ドイツで同じことをやったら議会はストップし、議員は直ちに辞職する。 日本社会全体でもっと怒りを示すべきだ。」
米国女性記者
「あんな野次を言うなんて子どもみたい。」
シンガポールの聯合早報の女性記者・符祝慧さん
「日本に女性差別が残っていることはみんな知っている。」「安倍政権が女性の活躍をベースとする成長戦略を進めようとする中、この問題が起きたので注目している。自民党は自ら早急に差別の問題を解決しないといけない。」
上記のデンマーク、フランス、ドイツ、アメリカ、シンガポールに日本人女性が渡ったとしても必ずしも日本よりも女性差別に遭わないとは思わない。これが上記全ての国に数を把握できないほど渡航し滞在し仕事もしてきた当ブログ管理人の率直な感想。塩村議員はこういった本当に日本を客観視できているか甚だ疑問な外国人記者たちに日本をディスカウントする為のかっこうの言質を与えた。塩村議員には確かに注目が集まったが日本の国益を考えるととても賢いやり方とは思えない。
世界男女格差指数というものが2006年から作られている、世界経済フォーラムが調査・発表しているまだ歴史の浅い指数だ。世界136ヶ国(世界人口の93%)を対象に、国際労働機関、国連開発計画、世界保健機関から提供されたデータを基に算出した男女間格差の指数だ。調査項目は主に以下の4つ。
- 経済社会への関与 … 給料、社会への参加、管理職、専門職の男女比
- 教育 … 初等・中等・高等教育の男女比
- 政治への参加 … 国会議員や官僚などの男女比
- 健康 … 出生時と平均寿命の男女比
この指数で日本は世界105位という酷い順位となっている。なんとこの指数で言えば日本は男女差別の酷い国ということになる。日本の女性はそこまで虐げられているのだろか!?
さて、ちなみにこの指数の現在の1位から10位までを発表しよう。1位アイスランド、2位、フィンランド、3位ノルウェー、4位スウェーデン・・・・って寒いところばっかりじゃないか!
5位フィリピン、やっと暑い国がきた。フィリピンは確かに女性議員や女性管理職が多い。6位アイルランド、7位ニュージーランド、8位デンマーク、9位スイス、10位ニカラグア、以上ベスト10。さて、日本の女性の皆さん、ベスト10の国々も素晴らしい国々だとは思うのだが本当にそれらの国よりも日本の女性は差別され虐げられていると感じておられるだろうか?男である当ブログの管理人・ミジンコがこのランキングでなにを言ったところで暴言になってしまうのだろうが、それでも言いたい。女性たちよ、この指数ベスト10の国々と105位の日本、そんなに女性差別について差があると思うの!?と。
このベスト10に日本を加えた11ヶ国で一番ラクそう、そう権利が守られている云々ではなく、この指数では抽出していない「女性として生きるのにラクそう」というファクターを入れたら日本が最もラクそうだ。ベスト10の国々も結構なことだが権利が守られるということはそれ即ち義務を果たさなければならないのだ。ベスト10の国々の女性に生まれたら、よく学び、よく働き、厳しい競争社会で生きていかねばならない面も多々ある。ラクではない。
この指数、ドイツが14位、アメリカが23位、中国が69位、女性に優しいというかなんというかとにかく女性大好きであろう国民性のイタリアは71位。女性に優しいと女性差別をしないとは別問題ということなのだろうか?本当にこの指数は女性をバリバリ働かせている国が上位に来ているだけのことなのでは?ちなみに日本より1つ上の104位はカンボジア、1つ下の106位は我が友ウィの母国であるナイジェリア。ナイジェリアは皆さんご存知のようにアフリカ屈指の経済大国。そしてカカア天下大国でもある。女性蔑視が根強く残るアフリカに於いてもナイジェリアでは女性が強い。この指数では表れていないが、例えばボコ・ハラムへの抗議デモの映像などをご覧いただければ分かり易いのだが男ではなく女性陣が先頭に立ってデモを行ったりもしているのだ。それでも106位。
塩村都議が沈痛な面持ちで外国特派員協会で会見を行い、それを何年も日本に滞在している外国人記者たちが鬼の首を取ったかのごとく「日本は遅れている!」と世界に向けて発信する。どうにもこの状況は受け入れ難い。塩村都議、あなたは本当にそんなこと望んでいるのか?本当に日本は女性差別の酷い国だと感じて今まで生きてきたのだろうか?慰謝料1,500万円請求も虚偽妊娠報告も、更にいえば水着姿でメディアに出ることを仕事とすることも、国によっては一族の恥さらしと親族に命を狙われる事態となることだ。日本ではずっと安全でいられる。男女両方から呆れはされ嫌われることはあるだろうが、なにかの権利を奪われることもなく、なんと都議選に出馬し当選することだってできたじゃないか!日本ってそんなに酷い国だろうか?
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