ニューヨーク市のLサイズ飲料禁止措置、最高裁でも敗訴(ロイター)
[ニューヨーク 26日 ロイター] - 米ニューヨーク州の最高裁は26日、ニューヨーク市のブルームバーグ前市長が肥満防止策として導入しようとしたラージ(L)サイズの甘味飲料の販売禁止措置をめぐり、市側が敗訴した下級審判決を支持する判断を下した。
この販売規制は、レストランや映画館などに対し、16オンス(約470ミリリットル)以上の甘味飲料の販売を禁止するという内容。飲料業界やレストラン、映画館経営者などが反対し、施行予定だった昨年3月12日の前日に州地裁が無効判断を下した。その後、州高裁も昨年7月に同様の判断を下していた。
ニューヨークのデブラシオ現市長は声明を発表し、失望したと表明。当局は肥満問題に取り組む責任があると強調した。
デブラシオ市長の願い届かず。ニューヨーク市は肥満が起因すると思われる成人病の増加で医療費が圧迫されてもはや限界を超えている状態。ニューヨーク市の肥満率は尋常ではなく7割超、健康的な体型の人たちの方が少数派となってしまっている。成人病疾患の増大も問題だが単純に労働力としてカウントできずに延々と社会保障、つまり生活保護で生きていく人々の増加も深刻な問題だ。なにしろ太り過ぎていると通常の労働にはなにかと支障が出る上に、日本のような国民皆保険が無いアメリカ社会では雇用主が属している医療保険組合もその負担を深刻に受け止めて最初から肥満の従業員を雇わないように仕向けている向きもある。これを雇用主も保険組合も絶対に認めないだろうが現実としては重度の肥満の人は雇用されないし解雇対象にもなっているのが現状だ。
今回のLサイズ禁止法案は最高裁でも敗訴となった。映画館などでのLサイズ禁止が肥満対策に実効性があると考えられての法案提出では無かったように思う。あくまでもこんな法案を出さなければならないほどニューヨーク市の肥満問題は深刻なのだと市民に訴えかけるものだったように感じた。Lサイズドリンクを禁止したところで飲みたい人はMサイズを何杯も飲んだであろうし、そもそも肥満の原因はドリンクだけの問題ではない。そうは言っても↓この差なのだ。
アメリカ人に日本とアメリカのドリンクの大きさの差を伝えるときに役立っている比較画像だ。日本のマクドナルドのS・M・Lサイズとアメリカの映画館で販売されているドリンクS・M・Lの差だ。単純にマクドナルドと映画館という販売場所での差もあるとは思うのだが、それにしたって日本とアメリカではS・M・Lサイズ感がまったく異なることは明らかだ。ノンカロリーならばまだしも加糖されているドリンクを1リットルも飲んだら血糖値が大変なことになる。運動もせずにそんな糖分摂取は危険だ。
Lサイズ法案が最高裁でも敗訴したことは仕方のないこともかもしれないが、そんな最高裁判決を喜んでいる肥満のアメリカ人たちの姿はどうかしていると思う。ミジンコは基本的にモデルなどの過度なダイエットに反対するキャンペーンにも参加しているほど無理なダイエットには批判的なのだが、ことニューヨークなどのアメリカの大都市では本当にダイエットが必要な超肥満な人々が妙な権利ばかりを主張して肝心のダイエットには一切取り組まないその姿勢はどうかと思うのだ。
ちなみにアメリカの映画館ではLサイズドリンクをおかわりしている人たちも見かける。映画館は3人くらい座れそうな一人用のシートを用意してドリンクやスナックをガンガン販売する。チケットの売上よりもそういうフード・ドリンクの販売こそが経営のキモなのだそうな。なにか病んでいる気がしてならない。
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