JAZAが日本全国の動物園、水族館に投票を求めたWAZAへの残留か脱退かの決議。昨晩、その決定が発表され、JAZAはWAZAに残ることを選択した。まるで脅迫のごとき会員資格停止処分と数々の圧力に屈したかのようにも見えるJAZAの決断ではあるが、国内の動物園、水族館がおかれている状況を考えれば残留は致し方のない決断だったようにも思える。要は今後の経営に関わることなのだ。WAZAから次から次へと圧力をかけられては日本の動物園、水族館は運営すらもままならない。断腸の思いで和歌山県太地町からのイルカを諦めて園の延命を望んだというまさに人質を取られた被害者家族が誘拐犯の要求を次々と飲んでいるという状況だ。その行動が正しくないにしても人質、つまり園の運営が先細りになるとはいえ取り敢えず今は続けられる。
現実的にはイルカの調達が非常に難しくなっていくと画期的なイルカ繁殖技術の確立や海外のブローカーを介してのイルカ調達などという現実的には相当に困難な道筋しか見えず、もう水族館でのイルカショーは減少傾向が確定的だ。今の子供たちの子供の世代では国内では水族館でイルカショーが見られなくなるかもしれない。海洋国とも言えるこの日本でイルカショーが見られなくなるということは日本の子供たちはイルカが調教次第では凄い演技をするということを生で見たことがないまま大人になるかもしれない。そういうイルカの凄さを知らない大人がこの日本から増える状況をイルカを守りたいと称する人々、つまりWAZAを動かした活動家たちは作り出したということだ。なんと皮肉で愚かなことだろう。
イヌイットの社会が非常に荒んだものになっているということはご存知だろうか?ネイティブアメリカンやイヌイットなど膨大な人口を有するアメリカ合衆国やカナダにおける先住民族、いわばマイノリティーたちはその存在が無視されがちだ。少数であるが故にあまり注目もされず、どんな苦境におかれても救いの手が差し伸べられない。社会保障、いわば日本でいうところの生活保護が与えられるのだからそれで満足しろと国や社会から言われているような存在になっているのが今の北米の先住民族たちだ。イヌイットがなぜそこまで衰退、社会が崩壊してしまったのかといえば、生活の糧となっていたアザラシ漁を禁猟とされてしまったからだ。一部例外はあるものの、もうイヌイットは簡単にはアザラシを捕獲できない。何百年も続けていた漁ができないのだ。そしてそんな状況が長く続けばもう漁そのものができる若者がいなくなる。まさに動物愛護団体の思うツボで伝統漁の衰退だ。
カナダの商業アザラシ漁が残酷であるとの動物愛護団体などからの猛抗議の後、ポール・マッカートニー氏やブリジット・バルドーさんなど著名人たちが参加して大規模なアザラシ漁キャンペーンが展開された。80年代、動物愛護団体の標的にされたのはアザラシ漁だった。その反アザラシ漁キャンペーンは長年続き、それにイヌイットも巻き込まれた。要はアザラシは殺すなという理不尽な展開となったのだ。乱獲ならば非難も分かるがイヌイットたちは必要最低限の狩りしかしていなかった。結局は反対派の大勝利だ。イヌイットたちは先祖代々続くアザラシ漁を「残酷だ」という理由で奪われた。今、太地町で起きていることとそっくりだ。当時この抗議キャンペーンに異様なほど精力的に取り組んでいたIFWAという動物愛護団体・ブライアン・デービス会長は、この活動で一気に知名度を上げた。こう言ってはなんだがただの動物愛護団体の会長が月給数十万ドルとなったと報じられまさにセレブの仲間入り、動物愛護とやらの世界の重鎮となったのだ。そしてこのIFWAは今や動物愛護団体の大手だ。もう1名、この件で知名度を上げたのがグリーンピースのパトリック・ムーア氏だ。今、グリーンピース本部は余りにも同じ質問(追及)を多くされたのか、パトリック・ムーア氏についてテンプレート回答を用意している。「パトリック・ムーア氏は1980年代前半、グリーンピース・カナダの事務局長を務めていましたが、内部での意見の対立のため、1985年に辞任し、グリーンピースを離れました。その後の彼の活動や発言に関しては、グリーンピースと一切関係がありません。」という回答だ。つまり仲たがいしたということだ。グリーンピースの幹部が仲たがいで離脱することは珍しいことではない。あのシーシェパートのポール・ワトソン海賊団長も元々はグリーンピースにいた。なんでここまでグリーンピースがこのムーア氏のことを拒絶するかのように表現するのかといえば、同組織には都合が悪い存在だからだ。過激な発言を含め数々の発言は寄付金ありきのグリーンピースという組織には有難くないということ。そして皆さん、ムーア氏は反アザラシ漁活動後に億万長者になったのをご存知だろうか?サケの養殖業で成功を収めたのだ。サケは殺さないで出荷しているんだろうか?百歩譲って養殖を言い訳にするにしても、反アザラシ漁はアザラシの減少というよりもその残酷さをキャンペーン展開の主軸としていたことは明らかだ。つまり、残酷だと許さない、残酷ではないから殺しても良いと言っているようなものだ。実際に残酷なのか否かを狩猟で言い切れるだろうか?人間の勝手な解釈で命をいただく行為の残酷性を定義することは生物として傲慢だ。魚はかわいそうではなくて哺乳類はかわいそうだと誰が決めるのだろうか?伝統漁についてイヌイット族の猟師たちに残酷だから止めろ、残酷ではないから続けろと異文化の人々が押しつけるべきだっただろうか?おや?ここでも太地町で今まさに起きていることのデジャブのような感じがする。
漁を失ってからのイヌイット族のすべてとは言わないが多くは僅かな生活保護で生計を立てている。いきなりアザラシ猟師の再就職先が見つかるわけもなく、そういうことになってしまうことは自明の理だ。そしてその子の世代の自殺率は異常に高く、麻薬やアルコール中毒患者で溢れている。それが何百年も続いていた猟(漁)を奪われた猟師たちとその子孫の末路だ。イヌイットの村を崩壊させた動物愛護団体は組織を拡大し次の標的(日本はその標的の常連)を探し、そのキャンペーンを主導していた活動家たちは富豪となった。元々大金持ちの道楽のように著名人たちもあのキャンペーンの乗って、そして今のイヌイット族の窮状には見向きもしないどころか知らない可能性すらある。アザラシ守ってイヌイット殺しだ。漁を行う側の人生や先祖から引き継がれた伝統については見ようともせずにひたすら漁を止めろと叫ぶ著名人たち。億万長者たちは、先住民族が収入源が無くなるということについて余りにも無関心だ。伝統文化を失うということは民族の誇りも失うことだと社会に多大な影響力を有する著名人たちは知るべきだ。ポール・マッカートニー氏はこの反アザラシ猟の後、エコ活動にも興味を示し日本のトヨタに注文したハイブリッドカー(リムジン)がイギリスまで空輸されたことに激怒している。エコを意識して船便で注文したのだが空輸で届いたのだそうだ。空輸よりも船での輸送の方がエコという発想らしい。ジェット燃料の消費量やタンカーの燃料使用量を考慮したようだが短絡的過ぎて失笑ものだ。タンカーを建造するときの技術者も部品も全て船便だろうか?トヨタはこの件でノーコメント。当時、世界的な著名人のトヨタ批判に沈黙を守るしかなかったのだろう。そういう時は正論を言ったところで自称エコロジストたちは発狂する。で、先日の来日公演、ポール・マッカートニー氏はどんな乗り物で日本まで来たのだろうか?そもそもその発注した1,700万円のレクサス・リムジンだってハイブリッドカーといえども排気ガスは出る。都合の良いときだけ、動物をかわいそうだと言い、都合の良いときだけエコを叫ぶ、こういうのを欺瞞という。ブリジット・バルドーさんに至っては「人種差別と憎しみを誘発した罪」で有罪判決を受けたことがあるのだ。彼女の場合はそういう差別発言の常習犯で何度も罰金、有罪判決を受けている。イスラム教で羊を用いた儀式が彼女にとっては残酷だと映ったようで事あるごとにイスラム教徒への差別発言を続けている。動物愛護をやるなとは言わないが先ずは人間への差別を助長するようなことを長年続けるその生き方を省みるべきだ。先ずは遠くの国の命を軽んじているわけでもない伝統狩猟批判よりも自分の周囲の家族や隣人、地域社会の人々への愛こそが必要な著名人たちがいる。
WAZAは日本の動物園や水族館をまるで脅迫するようなかたちを取り、遂には日本中の水族館から太地町からのイルカ入手を諦めさせた。今後、水族館によってはJAZAの決定を不服として単独でWAZAからの脱退を表明するところが出るかもしれない。そうしないとイルカショーの存続が難しいからだ。イルカショーは多くの水族館の目玉だ。それを失うと集客力を失い経営の危機となるやもしれない。そもそもイルカショーの代替などを考え工夫しても「次は何が標的にされるのか?」という不安感が拭えない。次はペンギンだろうか?アシカだろうか?そもそも魚を水槽に入れていることを批判されるかもしれない。100年以上の歴史を誇るリングリングサーカス団はつい先日、動物愛護団体の圧力に疲れ果て象のショーを諦める発表した。象たちは本当にサーカス団で不幸だったのだろうか?サーカス団を去る象たちはもっと不幸になりはしないだろうか?イルカで折れた日本は動物愛護団体としてはやり易い相手だ。余り反撃しない日本は悪役に仕立て上げるには好都合だ。日本は殴っても殴り返してこない相手として動物愛護団体の寄付金集めに利用され続けている。世界の動物園や水族館の連合組織が日本の伝統漁の未来を決める権限すらないというのに延々と長きに渡り脅迫は続き、JAZAの会員資格停止といった高圧的な態度の末に遂には昨日の決定だ。まるでJAZA、いや日本そのものが脅迫に屈したようなものだ。
海洋国・日本は海洋生物の研究においては世界屈指であり、魚介類や海洋哺乳類の研究で世界に貢献してきた。養殖技術に至っては日本が世界を牽引する存在だ。また、とかく批判されている捕鯨についても、世界で最も海洋資源の維持について理解している日本の調査捕鯨が実のところまだなんとか行われているおかげで、なんとかイワシなどの小型魚類の劇的な減少を僅かとはいえ食い止めている可能性が高い。数値を見れば明白なのだが鯨類の頭数上昇と小型魚類の漁獲量減少の因果関係がもっと議論されるべきだ。捕鯨反対派はその件には触れようともしないでひたすら捕鯨を叩くが、実は鯨類がエサ不足である可能性すら浮上している。何もクジラはプランクトンだけを捕食しているわけではなくイワシなど口に飛び込む魚類はなんでも食べているのだ。鯨種間の競合という問題に注目しているのも日本だ。要は頭数が回復した鯨種が他の鯨種と同じ生物、例えばオキアミなどを捕食している場合、エサ不足となった鯨種が生息域を拡大といえば聞こえは良いが実際は追いやられる可能性があるという懸念だ。これも反捕鯨団体などはまったく無視して議論すらしていない。つまり反捕鯨活動そのものが鯨のみならず他の生態系すらも危うくしている可能性があるということだ。冗談みたいな話だが増えた鯨がペンギンのエサを枯渇させるなんて悪夢も有り得る。たぶん、このエサの奪い合いで、人間が最後まで残るのだろうが馬鹿丸出しだ。
そしてこれは余談ではあるが・・・・
日本人は平均的に痩せている。運動の効果なども多少はあるにしても基本的にカロリー摂取量が少ないのだ。特に女性の痩せすぎについては問題となっており、終戦前後の食糧不足の時代と大差ないカロリーしか摂取していないので健康維持にすら支障が出ている。本当に貧困国でもないどころか食べ物に困らない先進国であるというのに、これほどまでに食べない国民もそうはいない。その食べないこと自体は必ずしも褒められたことではないが、無駄にバクバク食べて異様な肥満になるよりかは地球に優しいということは事実だ。なにしろ野菜を作るにも水や肥料、そして燃料も膨大に使用するのが人類だ。ましてや家畜に至っては食べられる大きさに育てるまでに大量の穀物などを飼料として消費し、ウシのゲップなどは環境破壊となっている始末だ。それでも人間は食べないとならない。耕作をし、家畜を飼い、漁なども行い、そして食べる。そういう負担を地球にかけているわけだが人間だって生物なので仕方がない。草食動物が草を食べ、肉食動物が狩りを行い、人間も手に入れた食べ物を食べる。その行為について非常に控え目な国民性である上に環境問題についても世界屈指の技術立国である日本。その日本、そして日本人を超肥満国であるアメリカやオーストラリアが主導する動物愛護軍団が何だって?ブクブクに太った、つまりは限度なく必要以上にカロリー摂取をしたが故に肥満率が7割にもなっている国が何だって?肉、魚、穀物などなど食べまくっている国が日本に何だって?厚顔無恥にもほどがあるということだ。太地町に居座って住民を怯えさせ警察の仕事を増やしているシーシェパードなどの活動家たちの中にも肥満体型な連中を何人も見かけた。太地町の人々は総じてスリム体型だ。そもそもシーシェパードの代表のポール・ワトソンは皆さんもご存知のようにとても太っている。地球環境により負荷をかけている食生活の人間たちがどの面下げて太地町の人々を非難し脅しているのか、許せない傲慢さだ。日本の伝統漁に難癖つける前に先ずは自分たちの国の消費カロリーを見るべきだ。口に食べ物を頬張ったまま、日本に漁をするな食べるな!ってよく言えたものだ。
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