ちょっと前のニュースなんだけれど、どうにも、記事中で出てくる「派遣社員300人の契約更新はしない」という部分に、この会社の経営者の言っていた「社会貢献」や「地域活性化」ってなんだったのかと脱力感を感じざるを得ないニュース。
タレントの田中義剛さんが経営する花畑牧場(十勝管内中札内村)は、同社札幌工場(札幌市中央区)を8月31日で一時閉鎖する。生産体制の効率化を図るためで、製造する商品や工程などを見直した上で、年内にも再開する方針。
札幌工場の製造分は、販売動向を見ながら夕張工場や十勝工場で補う。社員・パート60人は主力の夕張工場や札幌市内直売店へ異動し、派遣社員300人の契約更新はしない。
ソース元: 北海道新聞
マスコミのダブルスタンダードをよく表わしている事例のテンプレートにでも入れたい出来事だ。
不況に苦しむ大手企業が派遣社員の契約更新をしない場合は「派遣切り」と名付けて「企業に貢献していた労働者を切った」と称したマスコミ。
特にテレビ局が目立ったが、散々っぱら花畑牧場と田中義剛とのコラボ企画を打ち上げ、その商品を絶賛していたマスコミは今回の花畑牧場の「派遣契約更新せず」は一切取り上げない。
いったいマスコミの「派遣切り」と「派遣更新せず」の違いってなんなんだろうか?
地域活性化やら、地元への還元やらを高らかに謳っていた企業があっさりと工場を1つを閉鎖して派遣社員300人もの契約を更新しなかったのである。これがどんなことを意味するのか、マスコミは見て見ないふりをしているかのようだ。
3年間勤めれば正社員への道があったはずの300人は本当に一時的な労働力としてしか見られなかったらしい。確かにそのほとんどはキャラメルをかき混ぜるという労働従事者であったであろうことから、花畑牧場の営利を追求する姿勢としては間違った判断とは言えない。
だが、これが花畑牧場だからこそ、ミジンコはこうやってブログの記事に取り上げた。
なぜか?花畑牧場は常に「(地域の)雇用創出をウリに商品を売っていた」からだ。
花畑牧場の商品を購入した消費者の中には少なからず、花畑牧場、つまり社長であり広告塔でもある田中義剛の地域活性化を応援する意味で商品を買った人々がいたはずだ。
花畑牧場は地域に貢献しているのだから・・・という思いで購入した消費者たちの思いやいかに?むしろ、そういう人たちはよく言う情報弱者にあたるので、派遣社員300人が切られたところで気にもしないどころか、知りもしないということか。
ところでこのニュースソースは7/24付けのものなのだが、花畑牧場は7/1に十勝管内の音更町に新工場を設置している。
そして、その新工場では250~300名の雇用しているとのこと。ソースはコレ→
花畑牧場が音更に新工場 来月1日 250〜300人を雇用(47NEWS 北海道新聞)
これでは、あっちでは派遣を雇い、こっちでは派遣を切るってことを実際にやっているということになる。
これがただの利益追求型の企業ならば、さしてミジンコも取り上げない。そういういつかは自滅する企業があるんだなぁというくらいの印象にしかならない。
もう一度言うが、これがあの花畑牧場だから問題視している。あれだけ北海道に貢献すると約束していたはずの企業だからこそだ。
花畑牧場はもう「地域貢献」や「雇用創出」といった類の言葉をウリ文句にするべきではない。ただの食品メーカーであることは明白なのだから、よくある“誰も救われない募金”のような白々しい台詞を吐いて、さも他のメーカーよりも善意に溢れているかのような自画自賛は即刻止めるべきだ。
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