いつものように帰国。
いつものように色々あったがそれはそれとして全て飲み込んで日本での生活に戻る。
いつものように疲労困憊だがそれでも普段通りにやるしかない。最近は随分と気持ちの切り替えが上手くなった気がするがそれが良いことなのか悪いことなのか判断が難しい。
死体を見ても、暴徒が襲って来ても、その晩ぐっすり眠れるようになってから数年経つ。たまに元のように、もっと怖がったり、ショックを受けたりする方が人間らしいと思ったりもするのだが、いちいち衝撃を受ける自分に戻ったら戻ったで“現地で使えない人間”に戻ってしまうわけでそれは受け入れ難い。
アフリカ滞在中にずっとハイチのことが気にかかっていた。本音を言ってしまえがハイチ人の心配では無い。ハイチに赴いている友人たちのことが心配だったのだ。その友人たちもミジンコのことを心配していたのだろうが・・・・・。
お互い治安の悪い地域ワースト10に入る場所に自らの意思で行っておいてお互いを心配している。
現地での不正を告発するための写真を整理する。以前よりはハーグの国際法廷が与える圧力が増したような気がする。独裁者や虐殺を指令する司令官たちの避けられない行き先は国際法廷なのだと以前よりも浸透してきたということか。
そういうわけで、世界平和まで3,000年くらいかかりそうな気がしていたが、最近は500年くらいで実現できるような気がしてきた。
マスメディアに提供する資料も大量にある。フランスやドイツのジャーナリストたちは命を張って撮った写真を自分たちも命を張って使ってくれる。
mixiでハイチに千羽鶴を贈るという企画があるとか。輸送手段もまだ確保していないらしい。
冒頭で述べたように、いつものように帰国して、いつものように色々あったがそれはそれとして全て飲み込んで日本での生活に戻った。
ハイチへの千羽鶴について語るには今は余りにも疲れている。
なにも語ってはいないが、もう皆さんには伝わったと思えるから不思議だ。
紛争地帯、危険地域への輸送はコスト面からも安全面からも相当に難しい。そういうことができるのは政府や各国にパイプのある財団、大企業など限られている。1キログラムの物資を運ぶために膨大なエネルギーが必要となる。日本で40トンの物資を運ぶのと紛争地帯で40kgの物資を輸送するのならば前者の方が遥かに容易なのだ。
ミジンコは毎度、渡航前の身体測定直前に太ることにしている。その後、普通に生活しているだけでも何キロか痩せる。その測定時と痩せたときの誤差何キロか分のスポーツドリンクの粉を携行品としている。ヘリや小型機に乗る機会が多いのでミジンコの総重量(体重ではないところがポイント)は申告通りでなくてはならない。
衰弱した乳児はサラサラのミルクでさえ飲めない。僅かなミルクの粘着性がノドにからむことが衰弱し切っているときには苦しいらしい。だから水に近いスポーツドリンクの方がラクに飲めるとのこと。スポーツドリンクは栄養分も豊富なので良い。勿論、粉末をスポーツドリンクにするには、きれいな水が無いとならないという難しさはある。
空輸した5トンのドリンクになる粉末にプラスしてミジンコのポケットから6kgの粉末を追加。僅かな追加だが体力を落とさない程度に毎晩夜ごはんはサラダ系のみにした成果。その反動で現地の食べ物に困っていない地域でガンガン食べたら太った・・・・・・(-_-;)自分でもビックリした。
正直言って、ハイチへの千羽鶴の件は知らないでいたほうが幸せだった気がしている。ミジンコの生き方としては、なんでも知って逃げない方が死ぬときに満足できるはずという方針なのだが、さすがにボロ雑巾状態の帰国直後にはこういう話は堪える。
千羽鶴が総重量何グラムなのか何キロなのかは知らない。
ただミジンコが言いたいことが皆さんには伝わっていると信じたい。
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