日本企業の海外移転が急増している。高品質な製品を作り続けていた国内メーカーが政府の酷い仕打ちに悲鳴を上げているからだ。国民の誇りとさえ言える世界屈指の国内メーカーたちにどこまで日本政府は鞭を打つのだろう?
もう国内メーカーも我慢の限界に達している。倒産か、海外移転の二択ならば海外移転に決まっているじゃないか。なんで鳩山由紀夫以下、今の政府はそれを解らないし、解ろうという努力さえしないのか。鳩山政権は、京セラやキッコーマンの意見ばかりを聴くのではなく、もっと国内を代表する企業の声に耳を傾けるべきだった。過去形で書いたのはもはや手遅れの感があるから。もう国内屈指のメーカー群の海外移転は止めようがないほどに進んでいる。
国内メーカーの日本からの脱出の影響はすぐに出ることだろう。日本人は好条件の雇用を失い、モノづくりに長けた日本人としての誇りも失う。このことを考えるたびに今の政府の愚策にハラワタが煮えくりかえる。「子ども手当て」なんぞにかまけている間に日本は大事なものを失い続けている。
とても心にズシリとくる寄稿文を拝読した。世界屈指のモーターメーカー日本電産の永守重信氏のものだ。
出て行けというのなら…(日本経済新聞)
どの行も大変に興味深い内容なので一部抜粋はできない。日本電産は、5000人規模の技術開発センター付の工場を中国に建設する計画を決定したとのこと。これを皮切りに続々と海外にR&Dセンターや工場を建設していき、人材は現地調達する計画らしい。企業としては当然の判断だろう。日本電産のような世界のトップシェアを誇るメーカーは国内で頑張れば頑張るほど苦境に立たされている。余りにも高い法人税となんの優遇措置も講じない政府の愚鈍さに企業は呆れ果てているのだ。
政府も日本人の多くも中国や韓国の企業と熾烈な競争を展開している日本企業を声だけの応援、つまり声援を送るのみ。政府から手厚い優遇政策と低い税率に守られているアジアの企業たちとどう戦えというのか?
性能の良いものを作れば生き残れるというのは妄想に過ぎない。実際の市場はそうは動いていないのは明らかだ。安い原価、安い人件費、政府の援助、そんなものにガチガチに保護されている外国企業と延々と戦わされている国内に拠点を構えるメーカーももう限界だ。
この厳しい環境の中、国内の雇用創出に尽力した日本企業たちに鳩山由紀夫が放ったのが温室効果ガス25%削減案だ。こんなものを勝手に世界に約束したのだ。CO2が本当に温暖化に影響しているのかまだ議論が別れている段階で正気の沙汰では無かった。そりゃ特に中国や韓国の企業は拍手喝采だろう。ライバル企業が次々と陥落していくことが目に見えているからだ。
日本企業、いや敢えて言えば日本生まれのグローバル企業は海外移転を進めていけば生き残る道もあるだろう。今後、更に市場シェアを獲得する企業も現れるだろう。安い人件費に支えられた日本生まれの企業はもっと巨大な企業に成長するかもしれない。日本で雇用が増えるわけでもなければ、法人税収入が増えるわけでもない未来だろうが、それが日本政府の望んだことなのだから致し方ない。馬鹿に「おまえは馬鹿だ」と説明することほど疲れることもない。
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