ミジンコラム | 画像をちょっとだけ斬る! | ニュースをちょっとだけ斬る! | ハケンジャーたちよ、聞け! |
首相官邸発表の「チェルノブイリ事故との比較」、この発表の題名を知ったときになにかの冗談かと思った。被害状況について、チェルノブイリと比較する意味が今この時にあるとは思えない。この国民を不安にさせるだけの発表をした政府の真意は掴みかねるが、とにかく確実なことはひとつある。チェルノブイリの原発事故と今の福島原発の状況を比較して数値的に福島原発事故の方が少ない部分があったとしても、それが福島原発事故の被害状況が軽微であることの証明にはなんらならない。
原発周辺の住民だけではなく、本来は放射線被害を被る可能性のある人々は全て退避するべきなのだ。それが本来は国民の命を守る義務がある政府が取り組むべきことだ。安全ではないことを安全だと言い張ることでは決してない。
以下は首相官邸の発表した「チェルノブイリ事故との比較」の全文。
チェルノブイリ事故の健康に対する影響は、20年目にWHO, IAEAなど8つの国際機関と被害を受けた3共和国が合同で発表し、25年目の今年は国連科学委員会がまとめを発表した。これらの国際機関の発表と福島原発事故を比較する。
1.原発内で被ばくした方
*チェルノブイリでは、134名の急性放射線傷害が確認され、3週間以内に28名が亡くなっている。その後現在までに19名が亡くなっているが、放射線被ばくとの関係は認められない。
*福島では、原発作業者に急性放射線傷害はゼロ、あるいは、足の皮膚障害が1名。
2.事故後、清掃作業に従事した方
*チェルノブイリでは、24万人の被ばく線量は平均100ミリシーベルトで、健康に影響はなかった。
*福島では、この部分はまだ該当者なし。
3.周辺住民
*チェルノブイリでは、高線量汚染地の27万人は50ミリシーベルト以上、低線量汚染地の500万人は10~20ミリシーベルトの被ばく線量と計算されているが、健康には影響は認められない。例外は小児の甲状腺がんで、汚染された牛乳を無制限に飲用した子供の中で6000人が手術を受け、現在までに15名が亡くなっている。福島の牛乳に関しては、暫定基準300(乳児は100)ベクレル/キログラムを守って、100ベクレル/キログラムを超える牛乳は流通していないので、問題ない。
*福島の周辺住民の現在の被ばく線量は、20ミリシーベルト以下になっているので、放射線の影響は起こらない。
一般論としてIAEAは、「レベル7の放射能漏出があると、広範囲で確率的影響(発がん)のリスクが高まり、確定的影響(身体的障害)も起こり得る」としているが、各論を具体的に検証してみると、上記の通りで福島とチェルノブイリの差異は明らかである。
長瀧重信 長崎大学名誉教授
(元(財)放射線影響研究所理事長、国際被ばく医療協会名誉会長)
佐々木康人(社)日本アイソトープ協会 常務理事
(前 放射線医学総合研究所 理事長)
この発表に携わった専門家たちは生涯に渡って福島原発被害者からの恨み・怒りを受け止める覚悟があって、こういう発表に手を貸したのだろうか?
本当にそこまでの覚悟があってのこの発表だろうか?
今ここでチェルノブイリの事例を持ってきて、被害の拡大につながるかもしれない発表をしていることを人間として是としているのだろうか?
ミジンコは言いたい。チェルノブイリの原発事故での被害者、その後の被害者数なんてなんの信憑性もないのだから、その旧ソ連が隠蔽に隠蔽を重ねた少ない数値を基にして「福島原発事故の被害は大したことがない」としていることがおかしいのだ。信憑性のないデータを基に比較検証している時点で導き出される結論が正しいわけがない。
そもそも旧ソ連でチェルノブイリ原発事故との因果関係を主張するような診断を医師が簡単にはできるような状況では無かったことは明白であるし、真実を発表、追及しようとした学者たちや医師たちがどうなっていたのかも今となっては闇の中だ。
現実のチェルノブイリ原発事故による被害は現在進行形であるし、旧ソ連が発表している犠牲者数の比ではない膨大な数の犠牲者が出ていることも明らかじゃないか!
もう今の政府にはなにも期待できない。こんな馬鹿げた政府発表をしてしまうのだ。次の政府にどうしてもやって欲しいことがある。やって欲しいというよりも当然やるべき次の政府の義務だ。
福島原発による今までの被害と今後の被害が少ないであろうというミスリードを実行した首相や官房長官を含めた政府関係者ならびに首相官邸付きの原子力災害専門家グループを構成する専門家たちへの刑事訴追だ。死刑も妥当と思える大犯罪を今の政府も官邸付きの専門家たちも犯した。彼等が裁かれない日本ならば先が無いとさえ言い切れる。ここまでの犯罪は日本史上でも太平洋戦争を強行して多くの国民と当時の敵国だった国々の人々の命を奪った軍部くらいしか思いつかない。数百万人単位での犠牲者、被害者が何世代にも渡って継続するのだ。それをチェルノブイリよりはどうのって言っている場合だろうか?国民の死に無関心どころの話ではない。政府が国民の死亡者数はカウントしないでなるべく政府への批判を回避することに専念しているのだ。その位の狂気が今まさに日本政府から発せられている。
このブログをご覧の方々の中に、このミジンコの考えが大袈裟だったり過激だと感じる方々が今の段階でいるかもしれない。現実的な被害が明るみになるにつれ、どんなに弾圧されても暴動を起こさない日本人でさえ許せないような健康被害が次々と明るみになることだろう。その時には今の政府や御用学者たちへの評価どころか公開裁判すら求められる時がくるかもしれない。
放射線被害はそんなに甘いものじゃない。チェルノブイリ原発事故が大したことがないような発表を日本政府がしたことが日本人として恥ずかしい。こんなこと世界に知られたくないほど恥ずかしい。