IOC総会で最も注目したことはオリンピック招致についてよりも安倍首相が日本国の首相としてお汚染水問題をどう語るのかということだった。結論から言えば大失望。説明をしていないどころかファンタジーのようなことを述べていた。はっきり言えば安倍首相はIOC総会でありもしない嘘をついた。
「(福島第1原発の)状況はコントロールされている。東京にダメージが与えられることは決してない」と 安倍首相は説明した。ここで先ず最初の嘘。日本人の誰でも知っている。福島第1原発の状況は完全にコントロールされているとは言い難いお世辞にも誉められた管理体制では無いからこその汚染水の流出だ。
その安倍首相の発言を受けてIOC委員から「東京に影響がないという根拠はなにか?」と疑問が呈された。これに対し安倍首相は、「汚染水は0.3平方kmの港湾内で完全にブロックされている。抜本解決のプログラムを私が決定し着手している。」と答えた。むむむ?液体を港湾内で完全にブロックするような工事が行われたのだろうか?港湾で汚染水を完全にブロックしているとは初耳だ。つまり汚染水が流出した区域は完全に隔離されたという説明なわけなのだが、原発事故現場の周辺海域にそんな形跡は全く見当たらない。
海岸をつたっていく汚染水の画像は皆さんもよくご存知のことだろう。あれは衝撃画像だった。更に地下に洩れた汚染水が海に流れ出ている可能性も非常に高い。それら海に流出した汚染水、つまり海水に混ざった汚染水を完全にシャットアウトしていると安倍首相は説明したわけだが湾の形状すらしていない海に対してそんな大規模な工事が可能とも思えないし、そもそもそんなことを日本はしていない。
安倍首相はニュースのヘッドラインばかりを信じることに疑問を投げかけていた。そこは同意なのだが本当のことを伝えているヘッドラインはある。そんなヘッドラインに書かれている真実から目をそむけさせて汚染水問題を煙に巻くことが正しいとは思えない。アベノミクスの第3の矢の説明以降、安倍首相は基本的に「テキトー」という印象が強くなった。なんの根拠もないのに過程にかかる負担を無視して結果だけ断言するからだ。今回の汚染水についての説明についてはもはやテキトーを通り越して嘘だ。汚染水は港湾内で完全にブロックされているという事実は無いはずだ。そんなことができるのならばこれだけ汚染水が世界から懸念されているわけがないだろうに。
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