オバマ大統領はもはやアメリカではすっかり悪者扱い。勿論、今もって多くの支持者がいるし、ミジンコは今でもオバマ大統領を支持している。オバマ大統領には人の痛みや当たり前の人情というものが通じるように感じているし人間的に尊敬できる。その政策には反対しているものも多数あるのだが大統領としてのオバマさんを応援した方が世界は良くなると信じている。そうは言ってもオバマ大統領の今までの実績ではノーベル平和賞には値しないとは思う。先に賞が授与されてしまったかたちだがちゃんと平和賞に値するような実績を残してから政界を引退していただきたいものだ。
オバマ大統領が就任した直後は共和党員ですら大統領の人格を賞賛していた。その前の大統領が余りにも愚かで恥ずかしいことばかりやっていたのでオバマ大統領の凛々しい姿と真っ直ぐな言動はそりゃ誰が見たって支持したくなるものだった。この人、欠点があるの?といった印象で、まさに欠点が服を着て歩いている状態なのに直そうともしないで馬鹿街道まっしぐらだったジョージ・W・ブッシュと対極の存在に見えた。
そんなオバマ大統領の人気は急降下中。このところのアメリカの混乱も結局のところはオバマケアと総称される国民皆保険をアメリカでも実施するか否かの大論争、いやもはや内戦状態に起因する。アメリカ人は日本人よりも正直に本音を外向きに発するのだとつくづく感じるここ数年だ。要はアメリカ人の多くはこう言っているのだ。「他人の医療費まで負担できるか!」と。
日本ではとっくの昔から存在する国民皆保険計画がアメリカをデフォルト寸前まで追い詰めた原因だ。国民そっちのけのアメリカ議会もたいがいだが、その揉めた原因は国民皆保険だ。日本人ですら味わっていないほどの重税の数々、そして法人税も日本よりも高いときている。その上で今度は医療費をみんなで分担・・・・と言えば聞こえは良いが実際のところは収入のある人たちが収入の無い人たちの医療費を負担して全員が医療を平等に受けられるようにしようという公平なようでいて納税者にはまったく公平ではない制度を始めようとオバマ政権は言っているのだ。つまり日本と同じことをしようということ。これにアメリカ人たちは反発した。
アメリカではフードチケットの受給者が5,000万人を超えた。人口3億人ほどの国で5,000万人だ。6人に1人がフードチケット。日本でいうところの生活保護需給だ。日本は恐るべきことに現金支給なのでアメリカよりも更に恵まれている。アメリカはもう貧困層を支えることでヘトヘトなのだ。6人に1人がフードチケットというと5人が1人を支えていることになるがこれは正確ではない。実際は若年層とシルバー世代の非納税者もこの6人に含まれているので4人かそれ以下の人数で1人の毎日の食費を賄っていることになる。もう限界値を超えているのは明らかだ。
日本では連日、生活保護受給者たちが困窮しているといった内容のニュースが流れ紙面を埋めている。納税者の不満などはほとんど扱われず、いつも生活保護受給者が困っているという悲鳴のような記事で溢れている。悲鳴を上げたいのは納税者の方だろう。アメリカで今起きている大混乱は納税者たちの素直な怒りだ。オバマ大統領の理想は崇高なものではあるが納税者たちからしてみれば「まだ我々から奪うのか!?」という驚きと憎しみが生まれるのも無理はないと思う。散々各種税金で搾り取られている最中に「医療費まで!?」という気持ちは理解できる。そしてその未来のアメリカの納税者たちが受ける過酷な環境を日本人は既に経験中だ。そんな状況の中でも日本人は大暴れすることもなく納税し、そして生活保護受給者たちがデモ行進をしようとも襲いかからない。
アメリカが大混乱しているニュースは流れるものの日本の報道では日本で既にやっている制度をアメリカ人たちが猛烈に拒絶し怒っていることにほとんど触れない。日本の生活保護受給者たちの側に立った報道という名の刷り込みに必死な日本の自称・報道機関はなぜアメリカでは国民皆保険が拒絶されているのかその本質をまったく伝えない。要は国民皆保険はフェアじゃないとアメリカでは叫ばれているのだ。実際そうだ。フェアじゃない。フェアじゃないが不慮の事故で働けなくなった人や人生のいっときどうしても上手くいかない時期の人たちを支えることに賛成だ。路上で人が倒れても救えないとか、病院から治療が必要な患者が放り出される社会なんてものよりも納税額が増えても国民皆保険制度には賛成だ。それが多くの日本人の総意だろう。そんな恵まれた環境にあるのに生活保護受給者とその支援団体、そしてアメリカでなにが起きているのか不都合なことは報道しない自由を行使する日本のマスメディアは文句ばかりだ。少しは支える側への感謝があって然るべきなのにいつもいつも文句ばかり。あろうことか元気にデモ行進までする始末だ。生活保護受給者たちの全員が文句を言っているわけではないことは承知している。ただ余りにも文句の声が大き過ぎる!図々しいにもほどがあると言っているのだ。アメリカでは国民皆保険制度の実現が果たされる前にこの大混乱と大論争だ。日本では既に夢の国民皆保険制度があるというのにその制度を無料で受けている生活保護受給者たちがデモ行進だの抗議活動だのだ。現状それがおかしいと感じない生活保護受給者たちはなにか人としてのピントがズレている。そういえば病院でのモンスター・クレーマーたちの多くは生活保護受給者だったっけか。そういうモンスターたちがアメリカの現状を伝えるニュースを見たところでなにも響かないんだろうがそれでもしつこく日本でも流すべきだ。皆保険制度をまだ経験していないアメリカ人よりも日本の納税者の方が本当は怒ってもいいはずだ。
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