大手ファミレスチェーン・ロイヤルホストは禁煙化を促進、遂に10月からは全店舗・全席禁煙を実施した。これはデフレと不況の中、苦戦の続く外食産業に於いては驚くべき決断だった。煙草を吸わない身としては歓迎すべきことではあったがファミレスが全席禁煙にすることは難しい決断だったことだろう。
段階的とはいえ、ずっと禁煙化を促進し、最終的には全席禁煙化を実現したロイヤルホストを支持したい。食事を楽しむ場で他の客もいるというのに煙草を吸う神経がそもそもおかしい。煙草を吸わない身からしてみればファミレスの分煙なんてあって無いようなもの。空港にある喫煙スペースのように壁とエアーで煙を外に漏れないようなスペースでも人の出入りのときに結局は煙が外に漏れている。ましてや単純に席が離れただけの喫煙席から発生する煙草の煙も臭いの被害も禁煙席に及んでいる。分煙という言葉を逃げ文句にしているが完璧な分煙なんてものは存在しない。結局は全面禁煙以外では煙草を吸わない人間は被害を被る。そもそも煙草を吸わない人間を非喫煙者だとか、煙草を吸うことを禁止することを禁煙だとか、今の時代に煙草を吸うことを基準にした「非」だとか「禁」の文字に違和感を感じる。どう考えたって煙草を吸わない方がまともだ。
そうは言ってもミジンコは人間が煙草を吸うことを否定していない。別に人に迷惑をかけない吸い方ならば好きなだけ吸って不健康になればいい。他の人間のいる場所や歩きながらの煙草は迷惑という言葉を超えて相手を傷つける行為だということ。受動喫煙でいったいどれだけの人が被害を被っていることか、そんなことを知らない愛煙家はいないはずなのだがそれでも人前で煙草の箱を出して吸うんだからもう病気レベルで図々しいということ。いきなり人に殴りかかることは暴行罪だが、いきなり人に発がん性物質を吹きかけることは今のところは犯罪では立件できないようだ。煙草の煙が死ぬほど苦しい身からしてみればどっちも暴行だ。
結局は煙草を吸っている人間たちが自らの首を絞めたのだ。飲食店で煙草に火をつければ周囲の煙草を吸わない人間たちが苦しいことを分かっているくせに止められない配慮の欠如。煙草が周囲の人へも有害だというのに止められない意思の弱さ。駅から降りたと同時に煙草に火をつけるバカ。後ろに人が歩いていてもお構いなしだ。ミジンコはずっと前から歩きタバコをしている人間は後ろにいる人たちが自由にハリセンで叩いて良いとする法案提出を呼びかけている。どの国会議員も動こうとしないが何年も同じことを言っている。誰かやらんかな?
さて話はロイヤルホストの全面禁煙化に戻る。結果はこの通り↓。素晴らしい!売上高、来客数、客単価の全てが右肩上がりとなっているのだ。微増に見えるかもしれないが%表記なのでこの売上増は今の外食産業に於いてはかなり成功していると言える。
全面禁煙にしたらすべての数値が上昇傾向なのだ。しかも外食産業に於いて非常に重要視される客単価の上昇は大きい。むしろこの数値を見ると煙草の煙が非喫煙者の注文への意欲を削いでいたのではないかとさえ思える。
実は今年馴染みの洋食屋さんが全面禁煙にした。そうするまでにミジンコは相談を受けた。客層としては学生が多い店だったので喫煙者が非常に多かったのだがお店を経営するご夫婦もアルバイトさんたちも煙草の煙に参っていた。ご主人が体調を崩されたこともあり、思い切って全面禁煙にすると3ヵ月前から告知して遂に今年全面禁煙となった。ミジンコはもしそれで来客数が減った場合はいつものように全力でそのご夫婦を支援する覚悟で全面禁煙に賛成した。正直不安だったがご主人の健康面がどうにも心配だった。
結果はどうなったかというと来客数はまったく減らなかった。定食を食べるせいぜい長くとも30分くらいの時間、煙草を我慢できないほどの煙草中毒者はほとんどいなかったのだ。煙草を吸えなくとも食べたいメニューがその店にはあるということ。地元の大学の学生一同から伝統的に毎年感謝状を贈られるような素晴らしい店なのだ。禁煙くらいで客足は遠のかなかった。
よく煙草を止めた人が「飯が旨くなった」と言う。実際は飯は元々旨かったのに喫煙者の舌が味覚オンチになっていただけのことだ。実際驚くべきことだが喫煙者の料理人はいる。アホかと思うがいる。有難いことに世界屈指のシェフやパティシエと交流がある身なのでひとつ確実に分かっていることがある。彼等は全員煙草は絶対に吸わないし弟子たちにも喫煙は許さない。料理する側の当たり前のことなのだろう。では食べる側はどうだろう?そりゃ煙草の煙が舞っていないところでゴハンを食べた方が美味しいに決まっている。
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