格付け会社3社の評価は上記のとおり。特にムーディーズとS&P(スタンダード&プアーズ)は2大格付け会社と呼ばれ、世界の投資機関に影響力を有する。
皆さんはこの評価が妥当だと思えるだろうか?国債の信用度、つまり国家の経済安定性について日本よりも上位にいる国々が本当に日本よりも経済が安定しているように思えるだろうか?当ブログは毎度発表される格付け会社たちの国債ランキングに失笑している。理由は単純明快だ。これ等の格付け会社各社はあの破綻したリーマンブラザーズの破綻を見抜けなかったどころか太鼓判を押していたのだ。他にも上記格付け会社3社が直近の経済的変動について予想どころか真逆の見解を示していたといった事例は枚挙に暇がない。
評価はAaa(トリプルA)が最高で、Aa1、Aa2、Aa3、A1(日本は今ココ)、A2、A3、Baa1、Baa2と続く。さてその最高のAaaなのだが、ムーディーズはあのサブプライムローン関連債権やCDO(債務担保証券)などに、最上級であるAaaなどの非常に高い評価を下していた。ところが!それらの債権の雲行きが怪しくなったら僅か数日で一挙にジャンク格、つまり債券が紙切れ扱いになるほどの急激な格下げを行ったのだ。そして市場は大混乱。いわゆるサブプライムローン問題と呼ばれた経済危機の火に油を注いだのがこのムーディーズだ。そんな格付け会社が日本の国債を正当に評価できているとは到底思えない。
しかも、このムーディーズは、格付けの対象である債券発行側から手数料収入を得て格付けを行っている。評価対象からの金銭授受がある機関の格付け評価が今もってここまで重用されていることに疑問ではあるが、結局のところ世界中の金融機関はなんらかの言い訳や稟議を通すときに使いやすい「目安」を必要をしているということだ。「ムーディーズの格付けでは・・・・」という事実が投資案件にとっての免罪符のように機能することもあるということだ。そうは言っても、このムーディーズなどの格付け会社の収益の構造は問題視されており、また金融危機を引き起こした原因の一角として米国では公聴会が開かれ格付け会社の責任が問われる事態となった。
日本国債が消費税増税を見送ったことで信用度を下げたといった見方は「そう思いたい」もしくは「そうなって欲しい」と願っている勢力の願望でしか無い。前述のとおり、ムーディーズは債券発行側から手数料を取っているのだ。債権発行元、そしてウォーレン・バフェットのような大株主に真っ向から逆らっての格付けをしているとは言い難い。日本はいくらこき下ろしても、アメリカ合衆国に逆らうことは無い企業なのだ。そんな企業の格付けを日本国内の報道機関まで重用して格付けが下がったことをこの世の終わりのように報道することは愚かなことだ。ムーディーズについては、あくまでも妙なバランス調整が施されたが故に誤差が出まくる体重計ではあるが、痩せている人はそれなりの、太っている人もそれなりの大雑把な体重は測ることができるといった捉え方が妥当だろう。
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