クルーグマン教授、ダイエット大成功おめでとうございます。・・・・いきなり脱線したがウォーキングで20kgものダイエットに成功したとかで劇的にスリムになっており、見た目は健康的なのだがいささか病気を心配していた次第。ウォーキングならば安心した。かく言うミジンコも痩せたというよりも「小さくなった」とこの1年言われっぱなし。器が小さくなったのか!?
安倍政権や最近では中山副外務大臣へのなんの根拠もない誹謗中傷について当ブログでは怒り心頭だった写真週刊誌FRIDAYににわかには信じがたい取材記事が掲載されているとのご連絡をいただいたので買って確認してみた。驚いた。あの世界で最も影響力があるであろう経済学者でありノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授が日本のFRIDAYの独占インタビューを受けているのだ。ちょ、ちょっと教授!FRIDAYがどんな雑誌だかご存知なのか!?と言いたくもなる。そうは言っても事実は事実。FRIDAYがちゃんと教授と取材交渉をして教授のオフィスに招かれてインタビューを受けているのだ。それも教授ならではの日本の消費税増税延期についての裏話付き。クルーグマン教授のこういうインタビュー記事は貴重だ。
話は若干それるがクルーグマン教授はプリンストン大学を去り、今、ミジンコの母校ニューヨーク市立大学に移籍している。我が母校をこう言ってはなんだが、なぜに市立大に?とは思ってしまった。確かに過去にはイェール大で教鞭をとっておられた有名な日本人教授の方(経済学)がニューヨーク市立大で教授を長年務めておられ、よく日本のテレビでも中継による解説でお見かけしていたので、経済学については世界でも高レベルな大学なのかもしれないが・・・・・正直、あのクルーグマン教授が!?とは思ってしまった。なにしろ教授のスカウティングなどを頑張れるほどの力(予算)がある大学とは思えないのだ。ミジンコ在学中にはエスカレーターや蛍光灯が電気代節約の為に停止していたほど財政的に逼迫していたのだ。
クルーグマン教授がアイビーリーグ(東海岸の名門私学8校)からド貧乏公立大学に移っているその姿勢に尚更のこと尊敬の念を覚えた。世界中の名門大学から引く手あまたであろうに、なぜにニューヨークの市立大学なのか?そうは言っても今の教授は自他ともに認めるほどに健康的に見え表情も明るくなったように思える。権威などのしがらみから解放されて純粋に経済学の発展に寄与していることが幸せなのだろう。既に溢れるほどの名声を得ている教授ではあるが生粋の研究者であり、世界経済の発展に寄与したいという気持ちが強いのだろう。権威や権力よりも学術的な証明を優先したいが故に移籍先の大学を選んだという気がしないでもないのだ。我が母校、ド貧乏(しつこい?)だが、ノーベル賞受賞者を多数輩出しており、権威よりも「いかに死ぬほど勉強(研究)したか」で勝負する学生たちを育てる学び舎なのだ。そう、ド貧乏ではあるけれど根性としつこさだけは全米屈指のド貧乏大学グループなのだ。ド貧乏だけど!
そういう上記の余談を語り、改めて考えてみるとクルーグマン教授の大学移籍は至極自然なもののような気もしてきた。いかに経済学を浸透させ、国の経済の中枢を担う為政者たちに助言し景気を良くする方へ導き、そしてなにより国民に富が正しく分配されるようにする、これこそが真の経済学者の職責というものだ。クルーグマン教授は確かに世界中を飛び回ってそれを実践している。
FRIDAYへのインタビューでクルーグマン教授は昨年の来日の際に安倍総理と1時間の会談があったことを明かしている。日本での講演の際に官邸のある人物から安倍総理に会う気持ちがあるのか否かの問い合わせがあり、YESと快諾したのだそうだ。この件についてクルーグマン教授は安倍政権内の増税反対派の傀儡となっていたのかもしれないと述懐している。確かにその通りだろう。あの当時に政権内に安倍総理に物申してそれが受け入れられる閣僚などは一人もいなかったことだろう。クルーグマン教授ならばさすがに安倍総理でもその意見を無視するわけにもいかないだろうと増税反対派も踏んだのだと既にクルーグマン教授は見抜いていたようだ。
クルーグマン教授の助言がどのように作用したのかは分からないが、その会談から2週間後、安倍総理は消費税増税の延期を発表した。まぁ、あの発表も結局は1年半後にはやりますよってな酷い内容なので支持はできないが、ともかく8%への増税時につまづいたアベノミクスの破綻は先送りにはなったと思う。
クルーグマン教授はインタビューで提言している。消費税を5%に戻すべきだと。アベノミクス初期にあった「景気が良くなりそうだという期待感」を取り戻す為には5%に戻すべきだと教授は訴えている。それに伴って日銀・黒田総裁による無制限の追加刺激策の発表、国民の期待感が高まり、インフレ率が上昇、実質金利が下がれば景気拡大となるという分析だ。まさにその通りだと当ブログも考える。消費税5%への引き下げこそが景気回復の引き金になる。当ブログではその後の0%までも可能だと考えている。今の日本の現状で8%や10%なんてことはまさに愚かなアベノミクス崩壊の引き金だ。消費税の割合が高い福祉国家などと単純に日本を比較することがおかしいのだ。日本は住宅も高くまさに人生を賭けた買い物となり、老後の面倒を国が見てくれるわけでもない上に年金すらも働くに難しい年齢になっても支給されるかどうかも怪しい国となってしまった。外国とでは社会状況が異なるのだ。国民が自分でほとんど全部やらなくてはならない国と60歳で貯蓄0でも生きていける国の消費税を単純比較することほど愚かなことはない。オレゴン州ポートランドは今や全米一の移住希望者数を誇る大人気の都市だ。街は美しく、治安も比較的良く、富裕層の移住が毎年3万人となっている。そして消費税は0%だ。ミジンコがカリフォルニアだけにこだわらずに会社をポートランドに置いた理由がお分かりになることだろう。要はポートランドは人材が集まる場所となっているのだ。実際、ポートランドには数多くの世界的企業が拠点を構えている。都市の快適さがそうさせているのだ。日本は経済が冷え切っている欧州の福祉国家よりも、ポートランドを目指すべきなのではないだろうか?
クルーグマン教授はムーディーズが日本の格付けをA+に引き下げたことについても「悲観することはない」と述べている。当ブログでもあのムーディーズの格付けについては
記事にしたことがある。クルーグマン教授は国債を自国で買っているが故にデフォルトの心配がないことを挙げて、もし教授が日本を格付けするのならばAAAAと、実際には存在しないが最高ランクのAAA以上の評価と述べている。リーマンショック以降、それまでの経済学者たちの信用が失墜する中、クルーグマン教授の評価は高いままだ。それは2008年のノーベル賞受賞も大きいが、教授の客観性を確保した冷静な分析と、要は「教授は世の中を良くしたいんだな」という意思が見え隠れして、経済学者によくありがちな自分の利益を確保するためのポジショントークではない学者としての信念が支持を得ている理由だと思う。そりゃ日本がAAAAなんて述べたら、先ずはムーディーズなどの格付け会社(アメリカ企業)は恥をかかされて心地よくはないだろうし、そもそもアメリカだけではなく、ほとんどの国が日本よりも格付けが下になることを良くは思わないことだろう。それでも素直に情報だけを見て日本の格付けをAAAAとして、アベノミクスは消費税増税で失敗すると断言しているのだ。日本の消費税増税を不可避としているIMFやアメリカなどからしてみれば、クルーグマン教授の説は邪魔で仕方がないことだろう。それでも地球はまわっている、もとい、それでも社会保障費確保などという理由での消費税増税はアベノミクスの失敗を確定させてしまう。クルーグマン教授の見解がどう考えたって正しい。日本に住んでいる我々こそがそれを現在進行形で実感中だ。
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