代議士という肩書きがある。正確には、職業としての代議士というものは存在せず、衆議院議員のことを代議士と呼ぶ。つまり参議院議員は国会議員ではあるが代議士ではないのだという。これは参議院は元々は貴族院であったことに起因する。貴族出身の国会議員は国民の代表というわけではなく、衆議院こそが国民の代表として国政に携わるという発送から衆議院議員のみを代議士と呼ぶのだそうだ。つまり、代議士とは有権者の声を国会で代弁することから代わりに議を行う士なのだ。
ところが今の日本の代議士の面々はどうだろうか?お世辞にも国民の声を代弁する役割を担っていない。悪夢の民主党政権時代に限らず、自民党政権だって過去も今もこの代議士がいるのか否かについては褒められたものじゃない。景気対策にしろ、(特に中韓との)外交にしろ、ロシアや北朝鮮への国防問題にしろ、そして消費税にしろ、有権者の声を代弁した施政なんてむしろレアケースだ。正直いって当ブログではもう「日本の代議士は絶滅した」として代議士という呼び名は死語にしてしまって差し支えないと考えている。そう感じられている衆議院議員たちは、その代議士の死語化を恥と捉えて、再度、衆議院議員が代議士と広く呼ばれるべく民意を国政に反映するべきだ。
さて、ここからが本題。独メルケル首相が来日して勝手なことを言いたい放題で帰って行った。正直、当ブログは同首相の数々の無責任発言に怒り心頭だ。ただし、メルケル首相の持論はあまりにも日本の状況を理解していない稚拙なものであり、なんとも同じ土俵に上がって反論すること自体がそのメルケル発言にほくそ笑んでいる中国、韓国という日本にとってはやっかい極まりない隣国を更に喜ばせるような気がして、なんともメルケル発言を取り上げるのも難しいと感じていた。単に「ギリシア!」
※1と叫ぶだけでもメルケル首相の数々の日本に対しての高圧的な発言が全てドイツという国に返るわけなのだが、そういう「おまえに言われたくない」という趣旨の発言では、まるで日本が何か中国か韓国にまだまだまだまだ何かしらのお詫びと賠償をしなければならないと取られかねないので危険だ。そんな悩ましい状況の中での岸田外相の発言が痛快だ。
本日午前の記者会見にて岸田外相は、メルケル首相が日独首脳会談の際にドイツによる戦後の周辺国との和解に言及した上でまるで日本が周辺国への配慮が足りないかのような発言をしたことに触れて、「安倍内閣としては、歴史認識に関する歴代内閣の立場全体を引き継いでいくということを表明している」と重ねて述べ、
「日本とドイツでは、先の大戦中に何が起こったか、どういう状況下で戦後処理に取り組んだか、どの国が隣国なのかという経緯が異なり、単純に比較することは適当ではない」と延べた。
岸田外相の一言一句に同意する。メルケル首相の今回の来日での数々の支離滅裂な発言は、結局のところ日本にいながらも視線は中国に向いており、経済的にお先真っ暗なユーロ経済圏の筆頭として是が非でも大口の商売相手になって欲しい中国へのリップサービスに必死という印象が強い。もうドイツとしてはなりふり構っていられないのだろう。なんでかいつもドイツは日本に対して上から目線なのだが、別にドイツを見本とも目指すべき国とも考えていない日本としては毎度のことながらドイツの高圧的な態度に困惑しきりだ。
「どの国が隣国なのか」←これに尽きる。ドイツはギリシアからの「戦後保障おかわり」をつっぱねたばかりだ。日本は賠償おかわりを何度もされており、何度謝罪したところで何度でも謝罪要求をされている。中国では、愛国無罪なんて異常な法律の下、領事館に投石されても我慢し、毎度毎度の中国人民の共産党批判をかわすための官製反日デモだ。日本を非難する中国海軍が日本の船舶をレーダーロックオン、戦場ではこれはもう攻撃と見なされるわけなのだが日本はひたすら反撃もせずに我慢だ。韓国では前大統領が天皇陛下を侮辱し、従軍慰安婦像設置など事実無根のジャパン・ディスカウントを世界で繰り広げている。米大使が襲撃されても日本のせいと政権与党が公の場で発言する被害妄想の被害国が日本だ。もしドイツに戦後賠償を求めていた国々が中国や韓国であったならばメルケル首相は今のような他人事発言ができるとは到底考えられない。
第二次世界大戦の結果、ドイツは、1945年に合意されたポツダム協定で、連合国へ生産設備や動産による現物賠償を行っている。が!しかし!以下のドイツの実際の賠償内容を見てから、再度、メルケル首相の日本の賠償保障が足りないかのごとき一連の発言を見てみると尚更のこと腹立たしい。
1953年、西ドイツはロンドン協定において再統一までの賠償支払いを凍結することを宣言し、1953年8月には東ドイツ(ドイツ民主共和国)とソビエト連邦の間で、賠償請求権の放棄が合意された。冷戦期の駆け引きなどもあっただろうが、賠償請求権を有する国々に随分と優しい対応をされているドイツだ。ドイツの政治家の上手さはあるだろうが、とにかく賠償責任ということに関してドイツが日本に偉そうに言える立場であろうか?
1990年9月12日、ドイツ最終規定条約により、ドイツ政府は戦後処理が最終的に解決したとしているが、ナチスによる被害者に対する賠償問題は個別に扱われている。 ドイツの国家間での戦後賠償は20年以上前に終了しているのだ。それは一重に賠償のおかわりが無かったからだ。ドイツは言われたことがあるだろうか?莫大なODAを受け取っている国からの罵詈雑言を。漢江の奇跡と語りつがれる経済復興に天文学的な経済支援を行った挙句の誹謗中傷を。
戦後、日本は各国との個別の合意により、総額1兆300億円の賠償金を支払っている。それも今の通貨価値とは異なった上でのこの金額だ。これ以外での世界各国への経済支援を含めたら日本は顔が地面にめり込むほどの土下座をしている。で、ドイツは?日本よりもドイツが謝っているとドイツ人たちが勝手に解釈している現状はどちらがどうのという話を含めてハラが立つ。ドイツが日本にあーしろ、こーしろと言える立場だろうか?
岸田外相は外務大臣として言うべきことを言ったまでだ。外務大臣として国民の気持ちをよくぞ代弁してくれたといった思いだ。まさに隣国によるということだ。
※1 ドイツは1941~1944年、ギリシャを侵略、占領した。ギリシャは戦時融資の返済や、占領による損害を22兆円と算出しドイツに賠償を求めている。しかし、ドイツはこれに応じる姿勢を見せていない。
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