フジテレビの新番組『水曜歌謡祭』初回視聴率が、7.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と惨敗だったことが話題となっている。この件については後半で触れたい。
当ブログの常連さんには言わずもがなだろうが、当ブログの管理人ミジンコはしょーもない演出のC級以下映画などを好んで観る趣向・・・・というと多少マシなのだが実際のところはもはや習性があり、狙ってやったわけではない放送事故的なことは大好物だ。特に莫大な予算を投じているにも関わらずスポンサーが激怒するような制作側の途方もないセンスの無さを目撃したときにはついニヤニヤしてしまう。そう、自分が関係ないところで起きるクソ番組という名の悲劇は蜜の味なのである。それも予算が大きければ大きいほど面白い。これだけの大予算、つまりスポンサー企業様にとんでもない負担を強いておいて、出来上がった番組がまるで事故のようなケース、これが笑える。実際の事故やスキャンダルを野次馬根性で見るのはどうかと思うが、大予算番組がつまらないという奇跡は見逃せない。
ところがここ数年、日本ではそういう番組が少なくなく、むしろ大予算クソ番組がベルトコンベアー式に垂れ流されている。例えば世界の衝撃映像集なんてものを見続けているとちょっとやそっとの映像では心がピクリとも動かなくなる。それと同じような感じがするのだが、今や日本でテレビ番組を見ても「つまらない」や「くだらない」が当然のような気さえしてしまって、本来ならば放送事故ともいえるような出演者のグダグダなノリや微塵も笑えないお笑いトーク、そして歌がヘタな歌手という恐るべき矛盾を抱えた映像でも驚かなくなってしまった。テレビをつければ放送事故が流れる、そんな日常に慣れてしまうと相当なハプニングが起きない限りは驚けない。視聴者としては良いことではないがこれが日本のテレビ放送の現状だろう。
勿論、全ての番組がおかしいわけではないがその割合の問題だ。時間帯によってはどのチャンネルに合わせても過去だけではなく現在進行形で不祥事を起こしている出演者たちを見るなんてこともある。スポンサー企業から尋常ではない金額を無利子で借金して高級タワーマンションの最上階を購入して借りたベントレーで通勤していたアナウンサーが今も朝の情報番組に出演している。同じ時間帯で石鹸テロとも揶揄されるあの「茶の雫石鹸」の広告塔となっていた女優が司会を務める番組が放送されている。どちらの番組もあくまでも朝の情報番組という報道番組とは異なるカテゴリーとはいえ、実際にはニュースを放送する番組だ。つまり社会問題を取り扱う番組の顔たちが社会問題そのものに加担した上でなんの贖罪もないまま番組で事件・事故のニュースを語るわけだ。使う側も使われる側も尋常ではない厚顔無恥さだ。
さて、本題。そんな放送事故が通常運行のような昨今のテレビ放送ではあるが、やはり鳴り物入りで制作され、しかも大予算ともなるとやはり事故の程度が天災レベルと化し、放送事故に慣れていたとしても一際大きなサプライズとして面白い。フジテレビの「水曜歌謡祭」はそういう意味で注目している。番組タイトルからして昭和の香り。生放送で歌手たちに持ち歌以外の楽曲まで歌わせ多重事故を誘発する企画。なんとか口説き落としたとされるMCの森高千里の硬直具合。そして初回、最初の歌い手が和田アキ子というチャレンジ精神。AKBのメンバーたちに生歌を強要するという言語道断、放送倫理無視の暴挙。「イヤなら見るな!」というフレーズがイヤでもアタマに浮かぶがパニック・モンスター映画大好きな自分としてはグダグダなパニック展開があると分かっていて見ないわけにはいかないのだ。
実は録画までしたものの、最初の30分ほどしか見ていない。想像を絶するほど酷い熱唱の数々で耐えられなかったのだ。どんなクソつまらない映画でもそれをおいしいと感じる自分がここまで「ダメなこと」に抵抗を示すとは意外なほどだ。特にAKBメンバーの歌唱力と人工的な顔立ちはもうホラーの領域。正直、一緒に歌わされていた工藤静香を気の毒に思うほど、自分たちの楽曲なのに歌えていないAKBメンバーたちの責任感の欠如はプロの域に達していない。歌詞を覚えているのだろうか?ボイトレをしたことがあるのだろうか?とまるで素人に感じるような違和感を感じた。
司会の森高千里の無機質な感じが不気味ですらあった。緊張しているということはあるにしても、出演者たちというよりも人間に興味がないのかと思わせるほど対応が素気ない。本当にMCという立ち位置ではなくて番組のイメージアップの為の起用なのではあろうが、出演者にも番組にも思い入れがないことが伝わって来るMCというのはどうかと思う。番組中に頻繁に流れるプリン体ゼロのビールのCMでの明るさが微塵もない。
もう一人の司会のアンジャッシュ渡部は・・・・・特に(感想が)なし。コントをやるほどの尺を今のテレビ業界は与えてくれない境遇は気の毒に思う。アンジャッシュのコントはホンモノだ。問題はその長尺のコントは漫才やリズム系のギャグ(?)ほど短くすることは難しく、例えお笑い系の番組ですら放送が難しいことだ。佐々木希とどうのという話は許さん。ざけんなよ、渡部!
以上、今後の「水曜歌謡祭」も注視していきたい。その内、歌のコラボ企画でベテラン歌手がアイドルを張り倒すのではないかと見ている。そういう意味では工藤静香はよく我慢した。
同番組での「ひと夏の経験 / 山口百恵」を歌うAKB。本当に国民的だった歌手の唄が汚された気分になった。
[11回]
PR