「トラストミー(Trust me)」とはなかなか簡単には言えない言葉だ。
ミジンコはアメリカ人の若手起業家と年間で150回ほどの面談をする。多い日には1日で8面談なんて日もある。短い面談では15分ほど長い場合は90分ほど、こちらが忙しいのでそれほどの時間はよほどの起業家でないと割けない。彼らに興味が無いわけではなくて実はもっと話したいときもある。それでも必要なプレゼンテーションをやってもらって後はQ&Aの時間。あまり親密にはならないようにしている。
相手に過度の期待を与えることは上の立場でいる者としてはやってはならないことだと考えるからだ。言い方は悪いが「エサ(希望)をチラつかせる」ってことは相手にとってこれほど残酷なことはない。
だから「トラストミー」なんて言葉は絶対に発しない。交渉相手に「トラストミー」なんて言ってしまったときには相手は「自分の望みが叶うと約束してくれた」と思ってしまうからだ。交渉の段階なのに「トラストミー」では、内々では「もう交渉はあなたの望む通りに進みますよ、約束します。」と言ったことになる。
今回の普天間基地の移転問題に関わる鳩山首相のオバマ大統領に発した「トラストミー」。これは国家元首としても、オバマの自称友人としても酷い。
発言自体も酷いのだが、更に鳩山首相はアメリカを裏切っている。別にミジンコはなんでもかんでもアメリカに同調しろとは思わない。日本が譲れないことは毅然としてつっぱねる事案だってあって良いと考えている。ただし、その場合は最初からつっぱねるべきだ。最初に「トラストミー」すなわち「信じてくれ」と言っておいて、それを反故にするのは鳩山首相だけではなく日本の信用を落とした。
海外でも日本人は誠実で約束を守る民族だという印象が強いとミジンコは誇りに思っている。実際にハリウッド映画で描かれる日本人たちはそういうキャラクターが多い。アメリカ人には「ラストサムライ」の渡辺謙や「ヒーローズ」のマシオカが嘘をつく姿なんて想像もできないはず。
ところが鳩山由紀夫って男はどうしたことか。首相になってから発言がブレるどころか診療が必要に見受けられるほど荒唐無稽な発言が目立つ。あの「トラストミー」とはなんだったのか?日本人のミジンコでも理解できない。温暖化問題についての25%(正確には33%)削減もそうだが、この男には“後のことは考えていない”という傾向が顕著だ。いつも後で誰かがなんとかしてくれた人生だった男が国のリーダーになることとは、なんと恐ろしいことなのだろう。
「トラストミー」と言葉にしたら相手を裏切るべきではない。もうその後の関係はどう取り繕おうと修復はできないのだから。「トラストミー」なんて最初から安易に口に出すべき言葉ではなかった。この首相の軽さが国民を殺す。
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