昨年の仕分け作業も仕分けをする側の知識不足、分析力の欠如、傲慢なモノ言いなど散々批判されたわけだが、今回の仕分け人たちは前回もメンバーも含めてダウングレードしている感すらある。
仕分け人たちが仕分け作業をするに足る知識がないのだ。
天下り・渡りを根絶し無駄を無くすことは応援したいくらいなのだが、折角仕分け作業中継を視聴しても、どうにも「税金の無駄を無くす作業」という側面よりも「仕分け人たちが慇懃無礼な態度で答えようのないような質問を繰り返して回答する立場の人々を失望・脱力させている」そんな光景がやたらと目立つ。
仕分け人たちが専門知識が無いことが明らかで、更に悪いことに、仕分け人がいったいなにを訊きたいのか不明な質問が飛び出しており、会場が?????となるシーンがある。正確に言えば「ナニが訊きたいのかわからない」ではなくて「質問の程度が低過ぎて、解ってもらうためにはどのように丁寧に答えれば良いのか回答者が困り果てる」といったところ。
ミジンコも世の中にまだ普及していないテクノロジーを先ずは自分が理解し、そして企業人や政治家に説明することもあるので、その「説明すること」の大変さは理解できる。それでも丁寧に説明すればなんとかなるのだが、大前提として聞き手のある程度の予備知識は必要となってくる。勿論、やれと言われれば一から説明はできるのだが時間の制約があるということ。
もっと具体的に説明すると・・・・・
「日本では光回線が普及しています」というテーマでテクノロジーの話をするとする。
聞き手が「光回線ってなに?100Mbpsは速いの?」という知識の場合、先ずはそこから説明しなくてはならない。日本の企業人でそんな人はシルバー世代でもお会いしたことが無い。
まぁ、大抵は・・・・・
「そうNGN(NTTが推進する次世代型高速ネットワーク、色々と迷走中)に弊社も・・・・・」といった具体的な話しか出てこない。聞き手はその道の専門家であり、専門家が専門家に説明するからこそ手短に次の技術、次の構想についての話が進むのだ。
聞き手にも最低限の予備知識がないと「ナニが必要で、ナニが無駄なのか」その議論にすら到達しないのではないだろうか?
shiwake20100427B-17(仕分け作業中継録画)
1:15:49からのやり取り:
仕分け人:
さきほど光ルータの話がありましたが、もし仮に、明日光よりももっと速い、光を使わなくても速くて、熱効率も良くてですね、そうしたものがどっかからポンと出て来た時に、これは続けられるんですか? こうした事業というのは?
内藤副大臣:
(苦笑い)そういう、夢、夢の仮定の話があれば、結構なんですが、そういうのがあれば、その時々に応じて、そうする価値はあると思います。
仕分け人:
つまり何を言いたいかというと、比較優位性がなくなった段階で、どうされるのかということなんですが・・・。
内藤副大臣:
少なくとも研究者の皆様がたは、オール光が今の目指すべき方向性だと信じてやってるわけです。
現状の光回線網よりも高速なネットワークがいつか普及するときはあるかもしれない。まぁ数年後にどうのって話では絶対にない。数十年先の未来にはあるかもしれない。
しかしながら、残念ながらというべきかアホと言うべきか、この仕分け人はそういうことを質問しているのではない。
光よりも速い通信がいつか発見・開発(?)されたとして、そんな既存の光通信網を凌駕するような通信網が普及したときにどうするんですか?と質問しているのだ。
内藤副大臣も「おまえ、馬鹿か?」と言わないところが大人だ。ミジンコならば言っている。仕分け人は、光よりも速く熱も発しないナニカ(←笑うところじゃないが笑える)を想定して、それができたら今の光通信網が古い技術となるので普及させるのがMottainaiと言っているのだ。
更に仕分け人の知識の無さが露呈したのが同じ会議でのこと↓
43:33頃からのやり取り:
仕分け人:
普通、我々、まあ、自然科学系、ご存知だと思うんですれども、海外ですと、1ギガ、2ギガが平気で、例えば、シンガポールなんかもそうなんですけど、国立シンガポール大学、日本だと100メガバイトぐらいがせいぜいなんですけど、いまお見せ頂いた研究成果が、世の中のどこに使われているんでしょうか?日本の優位性というのは?
内藤副大臣:
この、テ、ギガというのは、末端の話であって、総量のトラフィックの話です。
仕分け人:
じゃあ、末端には恩恵が無いということですね?
内藤副大臣:
いやぁ、あ、ぁ、ぁ・・・・(苦笑)
他の仕分け人の「そこは議論が違う」というツッコミが入る。
仕分け人が「回線速度」と「トラフィックの総量」をごっちゃにしているのだ。この程度の知識で仕分け作業に参加することが恐ろしい。
仕分け人を仕分けしたいくらいだ。
日本が米国などのライバルに対してかなりの優位性を誇っている回線速度、つまり光回線のインフラについて語っているときに、全く議論とは関係のないシンガポール大学の技術を例に出している時点でこの仕分け人はそこまでの44分余りの時間、なにを議論していたのか把握していなかったということだ。
更に、大学のIP(知財)を生かすことの相談を日米で受けるミジンコとしてはかなり気になった仕分け作業がある。大学機関、ましてや国公立ともなるとアカデミックな面と経営とを両立させることに苦労するのだ。国民は国立大学付属病院が儲けを優先して欲しいと願っているのだろうか?
「事業仕分け第2弾」前半戦 151事業のうち36事業が廃止、51事業が規模縮減の判定(FNN)
一部抜粋:
国立大学に施設整備費を貸し付ける事業などを行う、国立大学財務・経営センターの豊田長康理事長は「わたしはですね、今回、財務経営センターの理事長の公募に応募しまして、4月1日に就任したばかりなんですよね。来た途端にこういう結果になりまして、わたしとしては非常に残念」と、悲痛な声を上げた。
豊田氏は、官僚OBの独立行政法人への再就職を原則禁止する鳩山政権の方針にともなって行われた公募で、理事長となったばかり。
しかし、豊田理事長が、「実は、付属病院の運営交付金が、めちゃくちゃ削減されているんです」と述べたのに対し、仕分け人は「負担が大きいから、このセンターが必要なんですか? そういう問題じゃないでしょ? そういう問題じゃないって言ってるんです」と述べた。
結果は、俎上(そじょう)に乗ったすべての事業が廃止と判定された。
民間からの応募で理事長になった豊田氏の説明を仕分け人がピンときていないのだ。ここで豊田理事長の説明不足だと断ずるのは乱暴だと思う。国立大学の現状、国立大学付属病院の現状を少しでも理解していれば、仕分け人の
「負担が大きいから、このセンターが必要なんですか? そういう問題じゃないでしょ? そういう問題じゃないって言ってるんです」という発言がいかにナンセンスなのか解るやり取りなのだ。
これ国立大学の話をしているのだ。仕分け人はそれを解った上で本人はそこまで言ったつもりがなくとも、国立大学を税金で助ける必要はないと言ったことになる。国立大学を国が支援しないで民間企業が支援するべきだってことか。いったいなにを言っているんだ、仕分け人は・・・・・。
もうミジンコには実際に事業廃止になったときの未来が見える。国立大学付属病院が経営難になる。もう今でも大変な状況なんだが・・・・・。東大付属病院でさえ医師不足で執刀医たちが地獄のようなローテーションでなんとか踏ん張って患者を受け入れている今このときにだ。国立大学付属病院への交付金が減らされている中、今度は支援機関を廃止、これが仕分け人が現状を知ってか知らずか言ったこと。
「そういう問題じゃないでしょ?」と仕分け人は言うが「そういう問題だ」、このバカタレが・・・・・(本当に呆れて開いた口が塞がらない)
仕分け作業というものは国民にとって必要なものを仕分ける作業ではないはずだ。あくまでも無駄を削減する作業のはずだ。
知識不足・勉強不足な仕分け人たちの説教タイムでは決してない。今の仕分け作業ではまるで回答者たちが、受験して受かったわけでもない生徒たち(仕分け人たち)に講義をして、なんでか生徒が逆ギレしているかのようだ。
[40回]
PR