戦争反対と言うだけならば本当に簡単だ。当たり前のことだ。独裁者たちですら結果的に自分たちが失脚するのだから戦争なんぞ望んでいない。
女・子供にもサリンを撒いた狂人が一国の大統領をやっていることを世界は知ってしまった。その独裁者の取り巻きたちはほとんど親族で固められていて政権幹部たちも独裁者のイエスマンしかもう生き残っていない。世界最悪とも言われる秘密警察が言論の自由を許さないものだからシリアで今までなにが起きていたのか世界のほとんどの人たちが知らない。北朝鮮やイラクのようにはまったく報道されていない国なものだから日本人、そしてアメリカ人さえもシリアが今までどんな国であったのかなどはほとんど知らない。
オバマ大統領が苦悩するのも分かる。今日、かつての大統領選でオバマ大統領を追い詰めたマケイン上院議員が実質的なオバマ支持である巡航ミサイル攻撃を容認する姿勢を見せた。皆が皆、シリアについて悩み苦しんでいる。アメリカは戦争をやり過ぎた。次のシリアでもアメリカから戦死者が出ることをアメリカ人は望んでいない。巡航ミサイルだけで解決せずにイラクのように泥沼化したらもう悪夢だ。
誰も戦争を望んでいないがシリアを攻撃しなければ世界はもっと酷いことになることが容易に想像できる。化学兵器を国民に使用した独裁政権がそのまま存続できるという前例を作れば独裁国家は化学兵器をこぞって作り出し、そして使用する国が続くことだろう。先進国の平和なところで生きている人々には想像できない戦場が世界には数多く存在し、政府軍と反政府軍が対立している地域も数多く存在する。銃やミサイルよりも安価な武器を躊躇なく使う司令官なんていったい何人いるのか想像するのもイヤになるくらい山ほどいる。そして作りに作られまくった化学兵器、もっと具体的にいえばサリンは今度は売られる。買い手が想像つかない人はいないだろう。テロ組織だ。
安価な大量虐殺兵器が普及すると武器産業が困るという面をよく見聞きするが、そんな単純な利害関係よりも恐ろしい現実はAK-47やRPG-7といったテロ組織が容易に入手している武器と同じようにして化学兵器が普及するということだ。それを食い止めないことには9・11が何度でも起きる。ミサイルでもなく航空機の特攻でもなく化学兵器によるテロが起きるやもしれない。化学兵器による同時多発テロは取材VTRを必死に撮っている取材班が倒れるところも写すかもしれない。そのくらい逃げようがない。WTCの巨大なビルの倒壊からは走って逃げられたかもしれないがサリンを上空から散布されて逃げ出せる可能性は低い。
日本はサリンによるテロが実行された世界で初めての国だ。どれだけなんの罪もない人たちが命を奪われたのかをよく知っているのが日本人だ。サリンが人を選ぶわけはなく触れた人たちは全員酷いことになる。シリア政権へのアメリカの姿勢で今後の世界の命運が決まるといっても過言ではない。だからこそ今、アメリカの議員たちは苦悩している。議会でどう投票しようとも確実な正解が言い切れず、かといってアサド政権をこのままにしておけば化学兵器が世界に蔓延する。ミジンコもなにが正解かは分からない。ただなにかが決まった後で嘆くよりも覚悟を持ってその時に閃いた自分が信じる正しい行動を取りたい。なにしろ世界中で足長おじさんをやって法的な扶養家族が二桁を超えたのだ。自分の子供たちと称するほど育てた覚えがないのでそうは呼んでいないが彼等、彼女等はミジンコのことを父と呼んでいる。勿論、大学に入るときなども書類はそうなっている。そういう自分がこの世を去った後に残る世代が今よりもちょっとだけでもマシな世界で生きられるようにしたくて四苦八苦している。
ごく単純にシリアが悪い!攻撃しろ!と言えれば簡単なのだが巡航ミサイルの届く先にはアサドのクソッタレが用意しているであろう人間の盾があるかもしれない。アサド政権は先ず間違いなくそういうことをやる。それでも化学兵器工場を破壊しないという前例は前述のとおり世界の今後に暗雲をもたらす。ああ、もう、どうすればいいのやら!
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