「進撃の巨人」という漫画が大嫌い。漫画の1・2巻が同時発売されたときにすぐに購入してその後7巻までは購入して読んだけれどどうしても受け付けない内容と絵だった。一応、書店で平積みされるような売れ筋の小説や漫画は全て目を通すようにしている。自分の趣味に合わないからといってその作品が駄作とは思わない。むしろ自分が時代に追いつけていないのだろうと焦る。「進撃の巨人」、この作品については自分が時代に追いつけていなくて構わないと思った。こんな作品を受け入れなければならないのならば時代遅れの自分で結構だ。
そうは言っても実のところ原作1巻のインパクトは相当なものであって作家の執念を感じた。「進撃の巨人」が大ヒットしていることが異常現象だとも思わない。薄っぺらい作品が多い中、とてつもなくグロテスクな巨人たちが人間を食べるという描写だけでも反響は相当なものだったことだろう。しかも世界は知能が低いと思われる巨人たちがほとんど支配する世界で人間は高い壁で防御したたったひとつの都市でしか生き残っていないという。物語の冒頭でその都市の一番外側の外壁が超大型巨人の襲撃により破壊され、人間たちは更に都市の内側でしか生きられないこととなる。人類が絶望的な状況から始まる物語の数々の中でもかなり絶望的な部類だ。
こうやってミジンコが書いていると作品に興味をひかれる方々もいることだろう。多分、その期待は巨人族の絵によって打ち砕かれる。全裸の巨人たちには大まかに大・中・小のサイズ別けがあるのだがどれも人間に近いもののどこかいびつな容姿をしている。気持ち悪がらせることが狙いなのだからそのデザインは成功とも言えるのだが単に絵が下手クソな面も否めない。正直いって自分には描けない絵だ。あんなにバランスが崩壊した絵は描けない。更に口裂け女のような女性タイプの巨人や筋肉繊維剥き出しの大型巨人など、ひたすら気持ちが悪い巨人たちが数多く登場する。
で、いつまで、そしてどこまでこの「進撃の巨人」という作品を普通に日常生活を送っているときに目にしないとならないのだろうか?「進撃の巨人」がヒットするのも原作の愛読者やアニメ版のファンがいるのも別にそのこと自体を否定するつもりはない。問題だと感じ、自分も迷惑をしていることは日常生活でいちいちグロテスクな巨人たちが目に飛び込んでくることだ。なんであそこまで気持ち悪い巨人たちの絵だの映像などを頻繁に目にしなければならないのか?ちょっと限度を超えている。
一番良く見かけるのはこの巨人。物語の冒頭で都市の外壁を破壊した超大型巨人だ。皮膚がなく筋肉剥き出しな姿が痛々しい。この数年、ウンザリするほどこの巨人を街の大型ポップなどで見る。最近では漫画ボックスという漫画配信サービスのCMにも登場している。
スバルのフォレスターのCMにこんな巨人たちが登場する。
テレビCMでこれをやるというのか・・・・。テレビの電源をうっかりつけられないことになった。スバルのCMなのでゴールデンタイムから深夜あたりに頻繁に流れるんだろうか?元々離れ気味だったテレビから尚更遠ざかる必要がありそうだ。
ホラー映画のメイキングみたいだ。実際、実写映画化も予定されているようだが別に映画やドラマの中でどのような描写があっても見る側が選択した上で見ているものなのだから異論はない。つまりこちらが「見ない」と選択できる上で漫画やアニメや実写でどんな描写やどんなグロテスクなモンスターが出てこようがそれはそういう作品もあるだろうってぐらいのものだ。だがCMは勘弁してもらいたい。こんな口裂け女をふとテレビを流し見していたときに見たくはない。見ている側が「今から見る映像」の選択権がないCMで流す映像には一定の線引きが必要だろうに。CM中に目を瞑れなんて意見は絶対に許されない。CM製作側と広告を出す企業が持つべき最低限の倫理観というものがあるはずだ。
目立てば良い、インパクトがあれば勝ち、そんな発想で作られるCMは結局は広告対象の評判を下げるだけだ。スバルのフォレスターは巨人から逃げるには良いクルマなのかもしれないが、自分は巨人のいるところを走る可能性がない。むしろフォレスターに乗ると巨人に狙われるような印象すらあるのでフォレスターは絶対に買わない。
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